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82話
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久しぶりの実家。
中からは相変わらず騒がしい声が聞こえ、いつも通りなのだと察してしまいながら中へと入る。
すると誰かが駆けて来る音が聞こえ、真っ白な影が私の元に飛び込んで来た。
「久しぶりだねー、ミワ」
「早く引っ越せ。ここはもう嫌だ」
「何があったの?」
ふんわりと良い匂いがするミワに尋ねながら抱っこする。
変な服を着せられているわけでも無ければ、髪の毛を弄られた様子も無く、どうしたのだろうと首を傾げる。
「水樹が勝手に吾輩の絵を描いてネットとやらやらに出しおった。吾輩の恥ずかしい姿が世界中の人間に見られているとかなんとかほざいておる!」
「あちゃー」
以前、ネットでそこそこの知名度があるようなことを話していた。この様子だとかなり人気が出てたくさんの人に拡散されてしまったのだろう。
ちょっと同情して涙目のミワをヨシヨシと撫でながら、騒がしい声の聞こえる居間へ入ると、いつも通りの家族がいた。
母はこちらに気付くとニッコリ笑って。
「おかえりー。どう? 彼氏さんとは上手く行ってる?」
「付き合ってること言ったっけ?」
「え?!」
母ではなく波瑠が素っ頓狂な声を上げ、全員の目が私に突き刺さる。
「な、何?」
「猫田さんに告白したの?」
「したのは猫田さんだけど……」
そこまで言いかけるが、妹全員が一斉に私の元へ駆け出し、興味津々な目で質問責めを始める。
相変わらず脳内ピンク色の家族に色々呆れてしまっていると、母がうるさい妹たちを引き剥がして。
「桂里奈は疲れてるんだから、質問は明日にしなさい」
「「はーい」」
ちょっと不貞腐れた様子で返事した彼女らは明日に何を質問するか話し合い始める。
聞こえてくる内容は私を辱めたいだけな気がするものばかりだが、ひとまず面倒事は明日の自分に押し付け、風呂に入ろうと廊下に出る。
「あの猫と付き合ってるのか?」
「うん、付き合ってる。ミワは私たちの養子ってことにする?」
「あの変態男と一緒にいるくらいならその方が良い」
自分をモデルにした絵を公開されたのが心底嫌だったらしく、私の冗談に対して意外な答えを出した。
猫田さんはなんだかんだでこの子のことを気に入っているみたいだし、相談してみるのも考えておこう。
「元気無いね?」
「吾輩がどれだけ苦労したと思ってる。一緒に連れて行けば良かったものを……」
段々と語尾が弱くなっていき、「しまった」と言い出しそうな顔をする。
「一緒に行きたかったんだ?」
「うるさい」
「まあ、私のご先祖様には合わせてみたかったかなー」
同じ蛇同士通じるものがあるかもしれないし、どちらもとんでもない長寿だから過去に関わりがあったかもしれない。
特に寅吉は雰囲気が似ているし、この子とかなり仲が良くなりそうだ。
と、興味を持った様子のミワが問いを投げかける。
「先祖は何だったんだ?」
「八岐大蛇って言う頭と尻尾が八つずつある龍神だった」
「知らんやつだな。そこらのちっこい妖怪じゃ無いのか?」
「昔は山より大きかったみたい。今は手のひらサイズだったからミワみたいに可愛かったよ?」
「本当にうるさい小娘だな」
不愉快そうに言った彼女だが、ぷいと逸らした顔は満更でも無さそうに見える。
前よりも感情が前に出るようになったなあと感心しつつ、脱衣所の扉を開けて中へ入る。
「ミワも一緒に入る?」
「暇だから入ってやる」
「お風呂嫌い克服したんだ?」
「波瑠に無理矢理連れて行かれてな……」
よく見れば棚に強く握り締めたような跡などが見えて、かなり悪あがきしていたのが見て取れる。
変なことで争わないで欲しいなあと思うのと同時に、こっちでは平和な日常が続いていたようで安心してしまう。
「よし、じゃあ一緒に入ったら寝ちゃおうか!」
「また抱き枕にするつもりか?」
「うん」
「潔いな」
抱き締めるには丁度良い大きさと良い香りがするおかげで、この子がいると安眠出来る。
やはり一週間の出張という名の旅行で疲れが溜まっているし、ミワを抱き締めて眠りたい気分だ。
そんなことを考えながら私はミワを下ろし、くたびれた体を洗うべく服を脱ぎ、白蛇の姿に戻った彼女を片手に風呂へ入った。
中からは相変わらず騒がしい声が聞こえ、いつも通りなのだと察してしまいながら中へと入る。
すると誰かが駆けて来る音が聞こえ、真っ白な影が私の元に飛び込んで来た。
「久しぶりだねー、ミワ」
「早く引っ越せ。ここはもう嫌だ」
「何があったの?」
ふんわりと良い匂いがするミワに尋ねながら抱っこする。
変な服を着せられているわけでも無ければ、髪の毛を弄られた様子も無く、どうしたのだろうと首を傾げる。
「水樹が勝手に吾輩の絵を描いてネットとやらやらに出しおった。吾輩の恥ずかしい姿が世界中の人間に見られているとかなんとかほざいておる!」
「あちゃー」
以前、ネットでそこそこの知名度があるようなことを話していた。この様子だとかなり人気が出てたくさんの人に拡散されてしまったのだろう。
ちょっと同情して涙目のミワをヨシヨシと撫でながら、騒がしい声の聞こえる居間へ入ると、いつも通りの家族がいた。
母はこちらに気付くとニッコリ笑って。
「おかえりー。どう? 彼氏さんとは上手く行ってる?」
「付き合ってること言ったっけ?」
「え?!」
母ではなく波瑠が素っ頓狂な声を上げ、全員の目が私に突き刺さる。
「な、何?」
「猫田さんに告白したの?」
「したのは猫田さんだけど……」
そこまで言いかけるが、妹全員が一斉に私の元へ駆け出し、興味津々な目で質問責めを始める。
相変わらず脳内ピンク色の家族に色々呆れてしまっていると、母がうるさい妹たちを引き剥がして。
「桂里奈は疲れてるんだから、質問は明日にしなさい」
「「はーい」」
ちょっと不貞腐れた様子で返事した彼女らは明日に何を質問するか話し合い始める。
聞こえてくる内容は私を辱めたいだけな気がするものばかりだが、ひとまず面倒事は明日の自分に押し付け、風呂に入ろうと廊下に出る。
「あの猫と付き合ってるのか?」
「うん、付き合ってる。ミワは私たちの養子ってことにする?」
「あの変態男と一緒にいるくらいならその方が良い」
自分をモデルにした絵を公開されたのが心底嫌だったらしく、私の冗談に対して意外な答えを出した。
猫田さんはなんだかんだでこの子のことを気に入っているみたいだし、相談してみるのも考えておこう。
「元気無いね?」
「吾輩がどれだけ苦労したと思ってる。一緒に連れて行けば良かったものを……」
段々と語尾が弱くなっていき、「しまった」と言い出しそうな顔をする。
「一緒に行きたかったんだ?」
「うるさい」
「まあ、私のご先祖様には合わせてみたかったかなー」
同じ蛇同士通じるものがあるかもしれないし、どちらもとんでもない長寿だから過去に関わりがあったかもしれない。
特に寅吉は雰囲気が似ているし、この子とかなり仲が良くなりそうだ。
と、興味を持った様子のミワが問いを投げかける。
「先祖は何だったんだ?」
「八岐大蛇って言う頭と尻尾が八つずつある龍神だった」
「知らんやつだな。そこらのちっこい妖怪じゃ無いのか?」
「昔は山より大きかったみたい。今は手のひらサイズだったからミワみたいに可愛かったよ?」
「本当にうるさい小娘だな」
不愉快そうに言った彼女だが、ぷいと逸らした顔は満更でも無さそうに見える。
前よりも感情が前に出るようになったなあと感心しつつ、脱衣所の扉を開けて中へ入る。
「ミワも一緒に入る?」
「暇だから入ってやる」
「お風呂嫌い克服したんだ?」
「波瑠に無理矢理連れて行かれてな……」
よく見れば棚に強く握り締めたような跡などが見えて、かなり悪あがきしていたのが見て取れる。
変なことで争わないで欲しいなあと思うのと同時に、こっちでは平和な日常が続いていたようで安心してしまう。
「よし、じゃあ一緒に入ったら寝ちゃおうか!」
「また抱き枕にするつもりか?」
「うん」
「潔いな」
抱き締めるには丁度良い大きさと良い香りがするおかげで、この子がいると安眠出来る。
やはり一週間の出張という名の旅行で疲れが溜まっているし、ミワを抱き締めて眠りたい気分だ。
そんなことを考えながら私はミワを下ろし、くたびれた体を洗うべく服を脱ぎ、白蛇の姿に戻った彼女を片手に風呂へ入った。
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