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69話 村までの道
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「それにしても、あんなボロボロな家で何をしていたんですか?」
ようやく気分が落ち着いて来た様子の猫田さんが前を歩く老人改め佐藤さんに尋ねると、彼は振り返らずに答える。
「あの家は随分前に一家心中があってねぇ……時々、塩を撒きに行ってるんだよ」
「じょ、冗談ですよね?」
「冗談だ」
「……」
顔を真っ青にしたと思ったら次は真っ赤にさせる猫田さんを見て思わず笑っていると、少し先に古民家が見え始めた。
それと同時に川の流れる音がさっきよりも大きく聞こえ始め、道が川の方へ近付いているのが分かる。
と、「そういえば」と呟きいた佐藤さんはこちらを振り返り、私たちに問いを投げかける。
「こんな辺境の村に来ようと思ったのか聞いても良いかな?」
「実は、私の先祖がこの先の村に住んでいた事が分かって、色々と調べたいことがあって来たんです」
「へぇ……ちなみに苗字は?」
「深川です。何か知ってますか?」
知っていたりするのだろうかと期待を寄せての問いに、彼は腕を組んで考える素振りを見せる。
どっちの言葉が出て来るのだろうと少しドキドキしていると、彼はこちらを向いて。
「悪いねえ、全く聞いたことが無い」
「やっぱり、そうですよね」
「暇な連中は何人もいるから、そいつらと一緒に記録を探してみようか」
「ありがとうございます!」
思わぬ言葉に少し驚きながら礼を言うと、佐藤さんはどこか嬉しそうに笑う。
まさか私たちの調査を手伝ってもらえるなんて驚きだ。調べて見ても連絡先が分からず、連絡を取ることが出来なかったため、どこまで調査できるのか少し不安だったのが、どうやら杞憂だったらしい。
心配事が一つ消え去ってくれたおかげで安堵していると、話を聞いていた猫田さんが佐藤さんに問いかける。
「あの、この地にあやかしなどの伝承ってあったりしますか?」
「詳しい事は知らないが、神社が一つある。そこを調べれば何か見つかるかもしれないな」
「その神社の名前って何ですか?」
「大蛇神社だ。でも、正しい名称が分からないし、昔から呪われていると言われていて、私としてはあまり関わることは勧めない」
「そうですか……」
呪われた神社とは少し恐ろしいが、もしそこに私の先祖についてのヒントがあるのなら、入ってみる価値はあるだろう。
今後の事を考えて一人ワクワクしていると、猫田さんが何か察した様子でジト目を私に向ける。
「もしかして、神社に入るつもりか?」
「私の先祖について分かるなら入る価値はあると思うな」
「恐くないのか?」
「猫田さんがいれば怖くないかなって」
私の遠回しな言葉に断ろうにも断れなくなった様子を見せる彼に思わず笑っていると、前を歩いていた佐藤さんがこちらを振り返って。
「ご夫婦で行ってみるのも良い思い出になるかもしれないぞ?」
「「夫婦じゃないです」」
口を揃えて同じことを言った猫田さんと私を見て、佐藤さんは面白そうに笑う。
それを横目に私たちは互いに顔を見合わせ、何とも言えない気まずい空気が流れた。
ようやく気分が落ち着いて来た様子の猫田さんが前を歩く老人改め佐藤さんに尋ねると、彼は振り返らずに答える。
「あの家は随分前に一家心中があってねぇ……時々、塩を撒きに行ってるんだよ」
「じょ、冗談ですよね?」
「冗談だ」
「……」
顔を真っ青にしたと思ったら次は真っ赤にさせる猫田さんを見て思わず笑っていると、少し先に古民家が見え始めた。
それと同時に川の流れる音がさっきよりも大きく聞こえ始め、道が川の方へ近付いているのが分かる。
と、「そういえば」と呟きいた佐藤さんはこちらを振り返り、私たちに問いを投げかける。
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「実は、私の先祖がこの先の村に住んでいた事が分かって、色々と調べたいことがあって来たんです」
「へぇ……ちなみに苗字は?」
「深川です。何か知ってますか?」
知っていたりするのだろうかと期待を寄せての問いに、彼は腕を組んで考える素振りを見せる。
どっちの言葉が出て来るのだろうと少しドキドキしていると、彼はこちらを向いて。
「悪いねえ、全く聞いたことが無い」
「やっぱり、そうですよね」
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「ありがとうございます!」
思わぬ言葉に少し驚きながら礼を言うと、佐藤さんはどこか嬉しそうに笑う。
まさか私たちの調査を手伝ってもらえるなんて驚きだ。調べて見ても連絡先が分からず、連絡を取ることが出来なかったため、どこまで調査できるのか少し不安だったのが、どうやら杞憂だったらしい。
心配事が一つ消え去ってくれたおかげで安堵していると、話を聞いていた猫田さんが佐藤さんに問いかける。
「あの、この地にあやかしなどの伝承ってあったりしますか?」
「詳しい事は知らないが、神社が一つある。そこを調べれば何か見つかるかもしれないな」
「その神社の名前って何ですか?」
「大蛇神社だ。でも、正しい名称が分からないし、昔から呪われていると言われていて、私としてはあまり関わることは勧めない」
「そうですか……」
呪われた神社とは少し恐ろしいが、もしそこに私の先祖についてのヒントがあるのなら、入ってみる価値はあるだろう。
今後の事を考えて一人ワクワクしていると、猫田さんが何か察した様子でジト目を私に向ける。
「もしかして、神社に入るつもりか?」
「私の先祖について分かるなら入る価値はあると思うな」
「恐くないのか?」
「猫田さんがいれば怖くないかなって」
私の遠回しな言葉に断ろうにも断れなくなった様子を見せる彼に思わず笑っていると、前を歩いていた佐藤さんがこちらを振り返って。
「ご夫婦で行ってみるのも良い思い出になるかもしれないぞ?」
「「夫婦じゃないです」」
口を揃えて同じことを言った猫田さんと私を見て、佐藤さんは面白そうに笑う。
それを横目に私たちは互いに顔を見合わせ、何とも言えない気まずい空気が流れた。
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