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65話 就寝
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布団に入って一時間が経った。
体も頭も疲れが溜まっていて、普段であれば既にぐっすりと眠っていてもおかしくは無いのだが、今は眠気なんて一つも感じられない。
その原因はと言えば――隣のベッドで眠る人の存在である。
と言うのも、この部屋に来た時は特に意識していなかったが、風呂に入る時になって初めて男の人と寝泊まりすることになると気付いてしまい、それからずっと気分が落ち着かないのである。
ホテルを決めたのは恐らく鬼塚社長なのだろうが、あの人が男女を同じ部屋に泊めようなんて考えるとはとても思えない。
きっと、どこぞの狐が余計な告げ口でもしたのだろう。帰ったら問い詰めてみよう。
「寝れないのか?」
「は、はい」
突然話しかけて来た猫田さんに驚きのあまり敬語が出た。
目を向けてみれば猫田さんはどこか申し訳無さそうで、こちらも何だか申し訳無くなってきてしまう。
しかし、この何とも言えない雰囲気に耐えられなくなった私は天井を見上げながら。
「誰が同室にしたと思います? 私はやっぱりあの狐かなって思うんですけど」
「俺もあの狐が何かやったと思ってる。社長が独断でやるとは思えないしな」
「会社に戻ったら問い詰めてみましょうね」
「ああ、そうしよう」
安心したような雰囲気を出しながらそう言った猫田さんの方を見ると笑みを浮かべて天井を見つめていて、この気まずい空気を変えられたことに少し安堵する。
と、さっきより眠たそうな目をしてこちらを向いた猫田さんは。
「深川の先祖、絶対突き止めような」
「はい、よろしくお願いします」
私が返事をするのと同時、猫田さんは静かに瞼を閉じて。
数分も経たぬ間にすやすやと寝息を立て始めた。
完全に緊張がほぐれたのかと言えばそんなことは無いが、これなら寝ることくらいは出来そうだ。
私は再び瞼を閉じて、早く寝るべく羊を数え始めた。
体も頭も疲れが溜まっていて、普段であれば既にぐっすりと眠っていてもおかしくは無いのだが、今は眠気なんて一つも感じられない。
その原因はと言えば――隣のベッドで眠る人の存在である。
と言うのも、この部屋に来た時は特に意識していなかったが、風呂に入る時になって初めて男の人と寝泊まりすることになると気付いてしまい、それからずっと気分が落ち着かないのである。
ホテルを決めたのは恐らく鬼塚社長なのだろうが、あの人が男女を同じ部屋に泊めようなんて考えるとはとても思えない。
きっと、どこぞの狐が余計な告げ口でもしたのだろう。帰ったら問い詰めてみよう。
「寝れないのか?」
「は、はい」
突然話しかけて来た猫田さんに驚きのあまり敬語が出た。
目を向けてみれば猫田さんはどこか申し訳無さそうで、こちらも何だか申し訳無くなってきてしまう。
しかし、この何とも言えない雰囲気に耐えられなくなった私は天井を見上げながら。
「誰が同室にしたと思います? 私はやっぱりあの狐かなって思うんですけど」
「俺もあの狐が何かやったと思ってる。社長が独断でやるとは思えないしな」
「会社に戻ったら問い詰めてみましょうね」
「ああ、そうしよう」
安心したような雰囲気を出しながらそう言った猫田さんの方を見ると笑みを浮かべて天井を見つめていて、この気まずい空気を変えられたことに少し安堵する。
と、さっきより眠たそうな目をしてこちらを向いた猫田さんは。
「深川の先祖、絶対突き止めような」
「はい、よろしくお願いします」
私が返事をするのと同時、猫田さんは静かに瞼を閉じて。
数分も経たぬ間にすやすやと寝息を立て始めた。
完全に緊張がほぐれたのかと言えばそんなことは無いが、これなら寝ることくらいは出来そうだ。
私は再び瞼を閉じて、早く寝るべく羊を数え始めた。
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