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38話 到着
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今日も今日とてさっぱりとした寝起きに心地良さを覚えながら起き上がると、今日は珍しくミワは体を伸ばし切って眠っていた。
昨日より少し大きくなったように見える真っ白な体を撫でて、その硬くもありながら柔らかさもある感触を楽しむ。
しばらくしてそろそろ準備を始めないといけない時間である事に気付いた私は起き上がり、いつも通り洗面所へ入る。
いつも通り乾いた口の中を水でゆすぎ、顔面に冷水を浴びせて目を覚ます。
完全に頭の中も覚醒したところで朝ご飯の用意をしようと台所に立つと同時、こんな朝早くだと言うのにインターホンが鳴り、私は手に持っていたパンを台所に置いて玄関に向かう。
覗き穴から外を見てみれば、そこに映し出されたのは懐かしい顔で。
私は若干の戸惑いを覚えながら扉を開けた。
「おひさー、姉貴。さて、子どもは一体どこにいるのかな?」
「……こんな朝早くにどうしたの?」
目をキラキラさせ、妙にテンションの高い波留に恐る恐る尋ねてみると、彼女はにやりと笑みを浮かべてスマホを取り出す。
「この子に会いに来たの。それにしても、まさか未成年の内に子供作ってたなんてねー」
「待って待って、何を勘違いしてるの?」
唐突なその発言で思わず困惑していると、その後ろからのそのそ歩いて現れた兄の水樹がからかうような笑みを見せて。
「お前が昨日幼女の写真を送り付けて来たからこっちじゃ大騒ぎになってたんだぞ。親父なんて明日仕事なのに一睡もしないで家の中ウロウロしてたしな」
「何で知り合いの子を預かってるとかって想像が出来ないの?」
「「あっ」」
揃って間抜け面を見せる二人を見て、色々と抜けているのはあの頃から何も変わっていないのだと察する。
それに父がそのザマということは母はもちろんのこと、兄妹もその発想に至っていないと言う事だ。
……この家族は大丈夫か不安になって来る。
呆れて思わず溜息を吐いていると後ろから足音が聞こえ、振り返ると眠たげに眼を擦るミワの姿があった。
私は弁明して貰おうとミワにこっちへ来るよう手招きをして。
「この子の名前はミワ。詳しい説明は……面倒だから後で」
「はえー、本当に可愛いね。普通に考えてこんな可愛い子がお姉ちゃんから生まれるわけ無いよね」
「やかましい」
相変わらず癪に障る事を言ってくれる妹だ。今度虫の画像でも大量に送り付けてやる。
そんな悪だくみをしていると眠そうに二人を眺めていたミワが。
「神である吾輩を可愛いなどと言うな」
幼女の口から出るとは思えない一言で波留は一瞬目を見開くが、すぐに笑ってむぎゅと抱き締める。
「可愛すぎるよこの子。私に頂戴?」
「んー、じゃあ私が会社行っている間遊んであげてよ」
「んな?!」
鬱陶しそうにしていたミワが驚きの声を上げるが、波留は全く気にする様子無く喜ぶ声を上げる。
まさか兄妹が来るなんて思いもしなかったが、思わぬ形でミワをどうするかの問題が解決してしまった。
波留だけならまだしも、喧嘩で負けた所を一度も見たことが無い水樹がいるなら会社に行っている間、ミワの事は心配しないで大丈夫そうだ。
「まあ、二人とも上がって行きなよ。そこそこ距離あるし疲れたでしょ?」
心配事から解放されて安心した私はミワを撫で回す波留と、眠そうに欠伸をする瑞樹にそう声を掛け、二人と共に部屋の中へ戻った。
昨日より少し大きくなったように見える真っ白な体を撫でて、その硬くもありながら柔らかさもある感触を楽しむ。
しばらくしてそろそろ準備を始めないといけない時間である事に気付いた私は起き上がり、いつも通り洗面所へ入る。
いつも通り乾いた口の中を水でゆすぎ、顔面に冷水を浴びせて目を覚ます。
完全に頭の中も覚醒したところで朝ご飯の用意をしようと台所に立つと同時、こんな朝早くだと言うのにインターホンが鳴り、私は手に持っていたパンを台所に置いて玄関に向かう。
覗き穴から外を見てみれば、そこに映し出されたのは懐かしい顔で。
私は若干の戸惑いを覚えながら扉を開けた。
「おひさー、姉貴。さて、子どもは一体どこにいるのかな?」
「……こんな朝早くにどうしたの?」
目をキラキラさせ、妙にテンションの高い波留に恐る恐る尋ねてみると、彼女はにやりと笑みを浮かべてスマホを取り出す。
「この子に会いに来たの。それにしても、まさか未成年の内に子供作ってたなんてねー」
「待って待って、何を勘違いしてるの?」
唐突なその発言で思わず困惑していると、その後ろからのそのそ歩いて現れた兄の水樹がからかうような笑みを見せて。
「お前が昨日幼女の写真を送り付けて来たからこっちじゃ大騒ぎになってたんだぞ。親父なんて明日仕事なのに一睡もしないで家の中ウロウロしてたしな」
「何で知り合いの子を預かってるとかって想像が出来ないの?」
「「あっ」」
揃って間抜け面を見せる二人を見て、色々と抜けているのはあの頃から何も変わっていないのだと察する。
それに父がそのザマということは母はもちろんのこと、兄妹もその発想に至っていないと言う事だ。
……この家族は大丈夫か不安になって来る。
呆れて思わず溜息を吐いていると後ろから足音が聞こえ、振り返ると眠たげに眼を擦るミワの姿があった。
私は弁明して貰おうとミワにこっちへ来るよう手招きをして。
「この子の名前はミワ。詳しい説明は……面倒だから後で」
「はえー、本当に可愛いね。普通に考えてこんな可愛い子がお姉ちゃんから生まれるわけ無いよね」
「やかましい」
相変わらず癪に障る事を言ってくれる妹だ。今度虫の画像でも大量に送り付けてやる。
そんな悪だくみをしていると眠そうに二人を眺めていたミワが。
「神である吾輩を可愛いなどと言うな」
幼女の口から出るとは思えない一言で波留は一瞬目を見開くが、すぐに笑ってむぎゅと抱き締める。
「可愛すぎるよこの子。私に頂戴?」
「んー、じゃあ私が会社行っている間遊んであげてよ」
「んな?!」
鬱陶しそうにしていたミワが驚きの声を上げるが、波留は全く気にする様子無く喜ぶ声を上げる。
まさか兄妹が来るなんて思いもしなかったが、思わぬ形でミワをどうするかの問題が解決してしまった。
波留だけならまだしも、喧嘩で負けた所を一度も見たことが無い水樹がいるなら会社に行っている間、ミワの事は心配しないで大丈夫そうだ。
「まあ、二人とも上がって行きなよ。そこそこ距離あるし疲れたでしょ?」
心配事から解放されて安心した私はミワを撫で回す波留と、眠そうに欠伸をする瑞樹にそう声を掛け、二人と共に部屋の中へ戻った。
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