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20話 映画鑑賞
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翌日。
昨日揃えた私服に着替え、朝の身支度を終えた私はこれからのことを考えると少し緊張してしまう。
ただ映画を見に行くだけ。そこに猫田さんが付いて来るだけ。
そう考えてみても、どうしても鼓動がうるさくて仕方ない。
この不安とワクワクが入り混じる感情の正体は一体何なのだろうか。
と、急にスマホが通知音を鳴らし、考え事をしていた私は思わず飛び跳ねる。
ただでさえうるさかった心臓の音が更にやかましくなりながら手に取るとそこには猫田さんのメッセージがあり。
『寝坊してないか?』
その短いメッセージを見て、私はクスリと笑いながらアプリを開き、ちゃんと六時には起きたことを伝え、再び鏡の前に立つ。
そこには七海のおかげもあって顔を除けば雑誌に載れそうな自分の姿が鏡に映り、それを見ていると不思議と自分なら大丈夫だという思いが湧き上がる。
と、鏡に映り込む時計が十時になりそうな事に気付き、私は慌てて鞄を手に取り家を飛び出た。
あちらこちらをカップルが歩く駅前までやって来た私は周囲を見回し、猫田さんが待っているという猫っぽいオブジェを探す。
するとそれらしきものを見つけ、そのすぐ近くに周囲をキョロキョロと見回す猫田さんの姿があった。
私はこっそりと近付いてこちらに気付く様子の無い彼に。
「お待たせしました」
「うお! ……脅かすなよな」
こちらを見るなり猫のように飛び跳ねた猫田さんは本当に驚いた様子で額の汗を拭う。
一瞬ではあったが化け物を見た時のようなその反応に、私は思わずジト目を向けながら。
「女の子に対して酷くないですか? まるで化け物みたいな反応しちゃって」
「悪かった悪かった。よし、それじゃ行くか」
「誤魔化しましたね?」
猫田さんは私のジト目から逃げるようにして歩き出し、色々文句付けてやりたく思いながらも、その後を追うように続く。
駅の最上階にある映画館の中に入ると休日な事もあってかそれなりに混んでいてガヤガヤと騒がしいが、久々にこんな光景を見た私は懐かしさばかり感じる。
最後に映画を見に来たのは高校生の頃だった。付き添いで一緒に行っては、よくホラー映画を見せられて泣かされた記憶しか無いが、それはそれで楽しかった覚えがある。
あの頃に戻れたりしないだろうかと、きっと誰もが願うようなことを考えながら猫田さんと共に券売機の前で出来た列に並ぶ。
今日はやはり休日なこともあって人が多く、券を買うだけでも一苦労だ。それに席を取れるかも心配だ。
と、スマホで何か調べていた猫田さんがそれを私に見せて。
「次始まるのは十時四十分だってよ。ニ十分って微妙な時間だよな」
「全くですね。まあ、ジュースでも買ってのんびり待ちましょうか」
私がそう言うと猫田さんは「そうだな」と笑う。
しかし、人気な映画シリーズなこともあって、見る予定だった時刻に始まる席はほとんどが見辛い席だけとなってしまっていた。
おかげで次の上映時間にずらすことになった私たちは下の階にあるコーヒーショップへと向かい。
映画が始まるまでの間、美味しいコーヒーを飲みながらのんびりと時間を潰した。
昨日揃えた私服に着替え、朝の身支度を終えた私はこれからのことを考えると少し緊張してしまう。
ただ映画を見に行くだけ。そこに猫田さんが付いて来るだけ。
そう考えてみても、どうしても鼓動がうるさくて仕方ない。
この不安とワクワクが入り混じる感情の正体は一体何なのだろうか。
と、急にスマホが通知音を鳴らし、考え事をしていた私は思わず飛び跳ねる。
ただでさえうるさかった心臓の音が更にやかましくなりながら手に取るとそこには猫田さんのメッセージがあり。
『寝坊してないか?』
その短いメッセージを見て、私はクスリと笑いながらアプリを開き、ちゃんと六時には起きたことを伝え、再び鏡の前に立つ。
そこには七海のおかげもあって顔を除けば雑誌に載れそうな自分の姿が鏡に映り、それを見ていると不思議と自分なら大丈夫だという思いが湧き上がる。
と、鏡に映り込む時計が十時になりそうな事に気付き、私は慌てて鞄を手に取り家を飛び出た。
あちらこちらをカップルが歩く駅前までやって来た私は周囲を見回し、猫田さんが待っているという猫っぽいオブジェを探す。
するとそれらしきものを見つけ、そのすぐ近くに周囲をキョロキョロと見回す猫田さんの姿があった。
私はこっそりと近付いてこちらに気付く様子の無い彼に。
「お待たせしました」
「うお! ……脅かすなよな」
こちらを見るなり猫のように飛び跳ねた猫田さんは本当に驚いた様子で額の汗を拭う。
一瞬ではあったが化け物を見た時のようなその反応に、私は思わずジト目を向けながら。
「女の子に対して酷くないですか? まるで化け物みたいな反応しちゃって」
「悪かった悪かった。よし、それじゃ行くか」
「誤魔化しましたね?」
猫田さんは私のジト目から逃げるようにして歩き出し、色々文句付けてやりたく思いながらも、その後を追うように続く。
駅の最上階にある映画館の中に入ると休日な事もあってかそれなりに混んでいてガヤガヤと騒がしいが、久々にこんな光景を見た私は懐かしさばかり感じる。
最後に映画を見に来たのは高校生の頃だった。付き添いで一緒に行っては、よくホラー映画を見せられて泣かされた記憶しか無いが、それはそれで楽しかった覚えがある。
あの頃に戻れたりしないだろうかと、きっと誰もが願うようなことを考えながら猫田さんと共に券売機の前で出来た列に並ぶ。
今日はやはり休日なこともあって人が多く、券を買うだけでも一苦労だ。それに席を取れるかも心配だ。
と、スマホで何か調べていた猫田さんがそれを私に見せて。
「次始まるのは十時四十分だってよ。ニ十分って微妙な時間だよな」
「全くですね。まあ、ジュースでも買ってのんびり待ちましょうか」
私がそう言うと猫田さんは「そうだな」と笑う。
しかし、人気な映画シリーズなこともあって、見る予定だった時刻に始まる席はほとんどが見辛い席だけとなってしまっていた。
おかげで次の上映時間にずらすことになった私たちは下の階にあるコーヒーショップへと向かい。
映画が始まるまでの間、美味しいコーヒーを飲みながらのんびりと時間を潰した。
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