19 / 27
19
しおりを挟む
「それじゃあ、また明日会おう。さっき言った通り、君が受けた脅しについてはこっちでも調べておくよ」
「よろしくお願いします」
私が頭を下げるとレオナルト殿下は「任せて」とだけ言ってほとんど人が残っていない教室を去って行った。
自分の中で渦巻いていたモヤモヤはほとんど消えてなくなり、今は胸がとてもすっとしている。もし彼が話しかけてくれなかったら、今も一人で悩み続けていたかもしれない。
その気分の良さから少しゆっくりとした動作で教科書を仕舞っていると、廊下から視線を感じて目を向けると、そこにはクラーラとエルケの姿があり、二人ともじいっとこちらを見つめていた。
教室に誰も残っていない事を確認した私は二人にこちらへ来るよう手招きしてみると、何か感じ取ったような表情を見せてこちらへと駆けて来る。
「何か良いことあった?」
「うん、何があったのか話せるようになった」
私がそう言うと二人は少し驚いたような声を上げ、近くの席に腰掛けて聞く姿勢を取る。
「じゃあ、あの人に連れて行かれた時の話なんだけどね……」
私は出来るだけ詳しく、連れて行かれた後にフロイデンから話された内容と、レオナルト殿下から教えられたことを話した。
静かに話を聞いていた二人は全て聞き終えると、最初にクラーラが怒りを露にして口を開いた。
「愛してると言いながら脅すって、狂ってるじゃないですか。しかも捏造かもしれないって……」
怒りと同時に呆れも湧いたらしく、言葉を失った様子で頭を抱える。
エルケはそんな彼女の落ち着かせるように背を優しい手付きで摩りながら、こちらに強い眼差しを向けて。
「何か手伝うことは私たちには出来ないけど、相談に乗るくらいなら出来る。だから、もっと私たちを頼ってね」
「ありがとう」
思わず礼を口にした私に、二人は真剣な眼差しを見せる。
何とも言えない心強さに背を押されるようなものを感じながら私は立ち上がり、二人と共に空腹を満たすべく教室を出て、食堂の方へと向かった。
「よろしくお願いします」
私が頭を下げるとレオナルト殿下は「任せて」とだけ言ってほとんど人が残っていない教室を去って行った。
自分の中で渦巻いていたモヤモヤはほとんど消えてなくなり、今は胸がとてもすっとしている。もし彼が話しかけてくれなかったら、今も一人で悩み続けていたかもしれない。
その気分の良さから少しゆっくりとした動作で教科書を仕舞っていると、廊下から視線を感じて目を向けると、そこにはクラーラとエルケの姿があり、二人ともじいっとこちらを見つめていた。
教室に誰も残っていない事を確認した私は二人にこちらへ来るよう手招きしてみると、何か感じ取ったような表情を見せてこちらへと駆けて来る。
「何か良いことあった?」
「うん、何があったのか話せるようになった」
私がそう言うと二人は少し驚いたような声を上げ、近くの席に腰掛けて聞く姿勢を取る。
「じゃあ、あの人に連れて行かれた時の話なんだけどね……」
私は出来るだけ詳しく、連れて行かれた後にフロイデンから話された内容と、レオナルト殿下から教えられたことを話した。
静かに話を聞いていた二人は全て聞き終えると、最初にクラーラが怒りを露にして口を開いた。
「愛してると言いながら脅すって、狂ってるじゃないですか。しかも捏造かもしれないって……」
怒りと同時に呆れも湧いたらしく、言葉を失った様子で頭を抱える。
エルケはそんな彼女の落ち着かせるように背を優しい手付きで摩りながら、こちらに強い眼差しを向けて。
「何か手伝うことは私たちには出来ないけど、相談に乗るくらいなら出来る。だから、もっと私たちを頼ってね」
「ありがとう」
思わず礼を口にした私に、二人は真剣な眼差しを見せる。
何とも言えない心強さに背を押されるようなものを感じながら私は立ち上がり、二人と共に空腹を満たすべく教室を出て、食堂の方へと向かった。
168
お気に入りに追加
6,354
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ?
青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。
チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。
しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは……
これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で
す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦)
それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今、婚約破棄宣言した2人に聞きたいことがある!
白雪なこ
恋愛
学園の卒業と成人を祝うパーティ会場に響く、婚約破棄宣言。
婚約破棄された貴族令嬢は現れないが、代わりにパーティの主催者が、婚約破棄を宣言した貴族令息とその恋人という当事者の2名と話をし出した。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
[完結]婚約破棄したいので愛など今更、結構です
シマ
恋愛
私はリリーナ・アインシュタインは、皇太子の婚約者ですが、皇太子アイザック様は他にもお好きな方がいるようです。
人前でキスするくらいお好きな様ですし、婚約破棄して頂けますか?
え?勘違い?私の事を愛してる?そんなの今更、結構です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
他の人を好きになったあなたを、私は愛することができません
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私シーラの婚約者レヴォク第二王子が、伯爵令嬢ソフィーを好きになった。
第三王子ゼロアから聞いていたけど、私はレヴォクを信じてしまった。
その結果レヴォクに協力した国王に冤罪をかけられて、私は婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。
追放された私は他国に行き、数日後ゼロアと再会する。
ゼロアは私を追放した国王を嫌い、国を捨てたようだ。
私はゼロアと新しい生活を送って――元婚約者レヴォクは、後悔することとなる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
穏便に婚約解消する予定がざまぁすることになりました
よーこ
恋愛
ずっと好きだった婚約者が、他の人に恋していることに気付いたから、悲しくて辛いけれども婚約解消をすることを決意し、その提案を婚約者に伝えた。
そうしたら、婚約解消するつもりはないって言うんです。
わたくしとは政略結婚をして、恋する人は愛人にして囲うとか、悪びれることなく言うんです。
ちょっと酷くありません?
当然、ざまぁすることになりますわね!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】「妹が欲しがるのだから与えるべきだ」と貴方は言うけれど……
小笠原 ゆか
恋愛
私の婚約者、アシュフォード侯爵家のエヴァンジェリンは、後妻の産んだ義妹ダルシニアを虐げている――そんな噂があった。次期王子妃として、ひいては次期王妃となるに相応しい振る舞いをするよう毎日叱責するが、エヴァンジェリンは聞き入れない。最後の手段として『婚約解消』を仄めかしても動じることなく彼女は私の下を去っていった。
この作品は『小説家になろう』でも公開中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる