【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?

星野真弓

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「そんなに驚いたかい?」

「いきなり好きって言われたら驚きますよ」

 それも王族の人間なのだから尚更である。
 するとレオナルト殿下は意外だと言いたげな表情を浮かべて。

「てっきり君は気付いているものだと思っていたんだけどな。流石に時間が経ちすぎたか」

「もしかして、幼いころからずっと私の事を……?」

「恥ずかしいけど、そういう事さ」

 言いながら恥ずかしそうに目を逸らし、顔を少し赤くするレオナルト殿下を見ていると可愛らしく見えて来てしまう。
 すると彼は目を逸らしたまま話を続ける。

「それはさて置き、やっぱり兄には脅されたんだよね。誰にも話すなって言われた?」

「……はい」

「なら、それはどうせ嘘だから信頼出来る人達には話しちゃって良いだろうね」

「家だからと油断するな、と言われたのですが、それでも話して大丈夫なんですか?」

 周りに聞こえないよう声を抑えて尋ねると、レオナルト殿下はコクリと頷く。

「あの兄が誰にも話すなって言ってる時は、大抵捏造してる時だから気にせずに話して大丈夫。ただ、学園だと誰が聞いてるか分からないから気を付けるようにね」

「この会話、聞かれてません?」

 まだ休憩時間なだけあってガヤガヤと教室内は騒がしいが、周りにいる人たちには聞かれていそうな気がして恐ろしい。
 しかし、レオナルト殿下は余裕のある笑みを見せると、安心するように言って。

「兄の黒い噂はそこそこ知られていてね、あれでも友人はほとんどいないんだ。そして、この授業を取ってる人には友人がいない」

「だから話しても大丈夫、ということですか」

 レオナルト殿下の言葉を信じるのなら、思い切って話し見るのもアリかもしれない。
 と、彼は一つ疑問に思った様子で質問を私に投げかける。

「もし僕と出会わなかったらその話は家族にもしないつもりだったのかい?」

「……はい。もし全て本当だったらどうしようと思って」

「脅されたのは君でも、それは君だけの問題じゃない。一人で抱えるものじゃないよ」

 確かに彼の言う通りだ。
 父が横領したという話が仮に本当だったとしても、やはり相談する方が良いだろう。
 ……内通者のような人間がいる可能性を考えて、二人だけで話せる状態を作らなければならないが。
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