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第12話
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私たちは射撃場の中へ入った。室内だから射撃音が異常にうるさく聞こえる。
「とりあえず習うより慣れろ、だ。これ撃ってみろ。DAにしてある。弾は三発。撃つ時はイヤーマフをするように」
そう言って海馬は私たちに銃を渡した。
私たちが渡されたのはガーマメント社製EMR9。小型レールガンの拳銃だ。弾速が速く、精度が非常に良い銃だ。
私たちはそれぞれレーン1、2を使った。どちらも25メートル。
右のレーンにいる遥の方をちらりと見ると、構え方が常人並ではなくうまかった。経験者なのか才能なのかわからない。
私は三発ともすべて真ん中に命中させた。この銃と距離であれば朝飯前だ。
遥の方を見ると、真ん中ではないが、すべて命中していた。やはり経験者なのか。
ガラス越しにいる海馬の方を見ると愕然とした表情でこちらを見ていた。初心者のはずの二人がプロ並の射撃をしたのだからごもっともだ。
射撃場から戻ると、海馬が満面の笑みを浮かべて待っていた。
「君たち経験者だってなんで言ってくれなかったんだ!あのレベルだったらレギュラー即戦力だよ!」
私と遥はお辞儀をした。
「さあ今日はもう遅いから帰りなさい。基本的に毎日練習日だから明日も絶対来なよ」
「明日からよろしくお願いします!」
遥が大声で挨拶する。
本当にこの部活でいいのかという疑問はあるが、正直言って私にお誂え向きの部であることは間違いない。
「よろしくお願いします」
私もそう言ってお辞儀をし、部室を後にした。
*
時刻は18時。
西に爛れた赤空が広がっていた。
遥と途中まで帰り道が同じだということがわかり、一緒に帰ることにになった。
私は思い切って聞いてみる。
「遥さんってさ...銃撃ったことあるよね」
遥は少しの間渋ってからこう答えた。
「父さんが民間軍事会社勤めなの。だからt-sportsについても知ってたし銃も撃ったことある。隠してたわけじゃないんだけど、ごめん」
ぺこりと遥が謝った。
私は遥が正直に言ってくれたことが嬉しかった。
「実は私の父さんも民間軍事会社勤めだったんだよ。
日警っていう会社」
「あっ知ってるよ!私の父さんはユビケーンってとこで働いてるんだけど知ってるかな?」
自分の表情が一瞬固まったのを感じたが、すぐに微笑み返した。
「知ってる知ってる!超一流企業じゃん!
私もさ、父親に小さい頃に射撃場に連れていかれてハマったんだよね~。私こっちだけど遥も?」
私は自分の帰り道を指差す。
「いや、私こっち。また明日ね~今日付き合ってくれてありがとう!」
「こちらこそ!」
そして私たちは互いに何回も振り返りながらバイバイと手を振った。
「とりあえず習うより慣れろ、だ。これ撃ってみろ。DAにしてある。弾は三発。撃つ時はイヤーマフをするように」
そう言って海馬は私たちに銃を渡した。
私たちが渡されたのはガーマメント社製EMR9。小型レールガンの拳銃だ。弾速が速く、精度が非常に良い銃だ。
私たちはそれぞれレーン1、2を使った。どちらも25メートル。
右のレーンにいる遥の方をちらりと見ると、構え方が常人並ではなくうまかった。経験者なのか才能なのかわからない。
私は三発ともすべて真ん中に命中させた。この銃と距離であれば朝飯前だ。
遥の方を見ると、真ん中ではないが、すべて命中していた。やはり経験者なのか。
ガラス越しにいる海馬の方を見ると愕然とした表情でこちらを見ていた。初心者のはずの二人がプロ並の射撃をしたのだからごもっともだ。
射撃場から戻ると、海馬が満面の笑みを浮かべて待っていた。
「君たち経験者だってなんで言ってくれなかったんだ!あのレベルだったらレギュラー即戦力だよ!」
私と遥はお辞儀をした。
「さあ今日はもう遅いから帰りなさい。基本的に毎日練習日だから明日も絶対来なよ」
「明日からよろしくお願いします!」
遥が大声で挨拶する。
本当にこの部活でいいのかという疑問はあるが、正直言って私にお誂え向きの部であることは間違いない。
「よろしくお願いします」
私もそう言ってお辞儀をし、部室を後にした。
*
時刻は18時。
西に爛れた赤空が広がっていた。
遥と途中まで帰り道が同じだということがわかり、一緒に帰ることにになった。
私は思い切って聞いてみる。
「遥さんってさ...銃撃ったことあるよね」
遥は少しの間渋ってからこう答えた。
「父さんが民間軍事会社勤めなの。だからt-sportsについても知ってたし銃も撃ったことある。隠してたわけじゃないんだけど、ごめん」
ぺこりと遥が謝った。
私は遥が正直に言ってくれたことが嬉しかった。
「実は私の父さんも民間軍事会社勤めだったんだよ。
日警っていう会社」
「あっ知ってるよ!私の父さんはユビケーンってとこで働いてるんだけど知ってるかな?」
自分の表情が一瞬固まったのを感じたが、すぐに微笑み返した。
「知ってる知ってる!超一流企業じゃん!
私もさ、父親に小さい頃に射撃場に連れていかれてハマったんだよね~。私こっちだけど遥も?」
私は自分の帰り道を指差す。
「いや、私こっち。また明日ね~今日付き合ってくれてありがとう!」
「こちらこそ!」
そして私たちは互いに何回も振り返りながらバイバイと手を振った。
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