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第8話
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そんな予感はしていたが、近衛遥とは同じクラスだった。しかも席が後ろ。変な汗をかいてしまう。
担任が教室に入ってきた。
すごく優しそうな若い女性の教師だ。
身長は低めで顔も整っている。男子から人気が出そうだ。
「え~あなたたちの担任になります橘あかりといいます。一年間、あなたたちを精一杯シゴいていきたいと思っております。よろしくお願いします」
明るい顔しながら恐ろしいことを言う。
「ではまずは自己紹介を順にしてもらいます」
*
「次はええと...古賀ゆりなさん。自己紹介お願いします」
とうとう私の番が回ってきてしまった。
「はい。古賀ゆりな と言います。ゆりなと呼んでください。アメリカから引っ越してきました」
「おー」とみんなが感心の声をあげる。
「趣味は筋トレです。よろしくお願いします」
薄っぺらい拍手が起こる。
しくじった。趣味が筋トレのJKなどいるはずがない。
「次は...近衛遥さんお願いします」
「はい。近衛遥です。趣味は読書です。最近ここの辺りに引っ越してきたばかりで、知ってる人もいないので仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」
拍手が私の時よりも明らかに大きい。格差を感じざるを得ない。私も無難に読書と言えばよかった。
そのあとも二十人ほどが自己紹介し、ようやくオリバーの番がきた。
「オリバー・バーンスタインといいます。オリバーと呼んでください。アメリカから引っ越してきました」
またしても感心の声があがる。
「ミリタリー系が趣味なので、同じ人は話しかけてくれると嬉しいです」
趣味じゃなくて本業だろ、と心の中で突っ込む。
*
「では、明日から頑張りましょう。今日はこれで解散です」
やっと一日目が終わった。早く家に帰って映画でも見よう。
オリバーの方を見ると、数人の男子と話している。
多分同じミリタリーが好きな奴らだろう。
オリバーはもともと取っ付きやすいやつだから友達ができるのも早い。
「ゆりなさん」
後ろから肩を叩かれる。振り返ると近衛遥がいた。
「近衛さん...だったっけ」
違和感がないように知らないふりをする。
「そう、近衛遥。遥でいいよ。それより、このあと暇?」
私は急なお誘いに驚きを隠せない。
「あっ...うん!暇だよ」
一瞬オリバーのことが頭によぎったが、さっき見た感じだと放っておいても大丈夫だろう。
「じゃあ一緒に部活体験しにいかない?一緒に回る友達いなくてさ」
これはもしかすると近衛遥と仲良くなれるチャンスじゃないか?
スクールカーストの上位に立つであろう彼女と早いうちに仲良くなるに越したことはない。
「いいね。行こう行こう!」
私は笑顔でそう答えた。
担任が教室に入ってきた。
すごく優しそうな若い女性の教師だ。
身長は低めで顔も整っている。男子から人気が出そうだ。
「え~あなたたちの担任になります橘あかりといいます。一年間、あなたたちを精一杯シゴいていきたいと思っております。よろしくお願いします」
明るい顔しながら恐ろしいことを言う。
「ではまずは自己紹介を順にしてもらいます」
*
「次はええと...古賀ゆりなさん。自己紹介お願いします」
とうとう私の番が回ってきてしまった。
「はい。古賀ゆりな と言います。ゆりなと呼んでください。アメリカから引っ越してきました」
「おー」とみんなが感心の声をあげる。
「趣味は筋トレです。よろしくお願いします」
薄っぺらい拍手が起こる。
しくじった。趣味が筋トレのJKなどいるはずがない。
「次は...近衛遥さんお願いします」
「はい。近衛遥です。趣味は読書です。最近ここの辺りに引っ越してきたばかりで、知ってる人もいないので仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いします」
拍手が私の時よりも明らかに大きい。格差を感じざるを得ない。私も無難に読書と言えばよかった。
そのあとも二十人ほどが自己紹介し、ようやくオリバーの番がきた。
「オリバー・バーンスタインといいます。オリバーと呼んでください。アメリカから引っ越してきました」
またしても感心の声があがる。
「ミリタリー系が趣味なので、同じ人は話しかけてくれると嬉しいです」
趣味じゃなくて本業だろ、と心の中で突っ込む。
*
「では、明日から頑張りましょう。今日はこれで解散です」
やっと一日目が終わった。早く家に帰って映画でも見よう。
オリバーの方を見ると、数人の男子と話している。
多分同じミリタリーが好きな奴らだろう。
オリバーはもともと取っ付きやすいやつだから友達ができるのも早い。
「ゆりなさん」
後ろから肩を叩かれる。振り返ると近衛遥がいた。
「近衛さん...だったっけ」
違和感がないように知らないふりをする。
「そう、近衛遥。遥でいいよ。それより、このあと暇?」
私は急なお誘いに驚きを隠せない。
「あっ...うん!暇だよ」
一瞬オリバーのことが頭によぎったが、さっき見た感じだと放っておいても大丈夫だろう。
「じゃあ一緒に部活体験しにいかない?一緒に回る友達いなくてさ」
これはもしかすると近衛遥と仲良くなれるチャンスじゃないか?
スクールカーストの上位に立つであろう彼女と早いうちに仲良くなるに越したことはない。
「いいね。行こう行こう!」
私は笑顔でそう答えた。
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