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第6話 侵入者
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バッグの中に入ってた鍵で家に入り、玄関の明かりをつけた。
「ただいまー」
いつものように言うが、「おかえり」と言ってくれる家族はいないのだ。少しさみしい気分になる。しかしその時、
「おかえりー」
と、確かに声がした。幻覚かなと思い、
「だ、誰かいるんですかー」
っと大声で聞くと、
「いないよー」
っと返ってきた。奥の部屋からだ。靴を脱いで家に上がり、声のした部屋に向かった。暗い廊下に光が漏れてる部屋があり、そこにだれかいる筈だ、と迷わずその部屋に入った。
惨状だった。部屋中にポテトチップスやチョコ菓子が散乱していた。コーラの2Lペットボトルに囲まれ、テレビの前で座ってゲームをしている同い年くらいの女の子がいた。淡い紫色の長い髪をなびかせ、肌は驚くほど白かった。彼女はポテチを頬張りながら
「おかえり」
とモゴモゴ言った。俺は唖然としていた。
その女の子は頑張ってポテチを咀嚼し、飲み込んだ。次の瞬間、彼女は俺の目の前に飛び込み、土下座をしてこう叫んだ。
「人の家に勝手に入り込んで申し訳ありませんでした!!」
俺は立ち尽くすしかなかった。何が起こっているのかわからなかった。彼女は土下座しながらこう泣き叫ぶ。
「私、ホームレスなんです!誰もこの家を何年も使ってなかったからこっそり住もうと思ったんです!どうか警察には言わないでください!お願いします!体で払いますから!警察だけは!」
そう泣きながらその子は俺の腕にしがみついてきた。
「あぁ、もうわかった落ち着けって。両親はどこのいるの?」
俺はその腕を振り払った。
その子はしょんぼりとした顔でこう答える。
「両親はいないんです。私は捨て子なんです」
急にこの子が不憫に思えてきた。
「お金ないのか」
と聞くと、その子は頷いた。
俺はそこで我ながら素晴らしいアイディアを思いついた。
「じゃあこういう契約をしよう。俺はお前を養ってやる。その代わりお前は俺の言うことをなんでも聞け」
「なんでも...」
とその子は頬を赤らめる。
「いや、そう言う『なんでも』じゃなくて!俺はお前に色々手伝って欲しいことがある。俺は海外から引っ越してきたばかりで、わからないことだらけなんだよ。オーケー?!」
そう。この世界はわからないことだらけだ。仲間は最初のうちから欲しい。
「お...オーケー」
契約成立だ。
「じゃあ明日からバンバン働いてもらうからな」
「最新のゲーム機と、パソコンと大量のポテチとコーラを今買ってくれたらいいよ」
なんてひどい要求なのだ、と思うが、承諾せざるをえない。
「わかった」
俺はすぐにスマホから通販サイトを開き、自分のベルツカードの番号や地図に書いてある住所を入力した。その子に言われた通りの商品を注文し、購入完了画面をその子に見せつけた。
「どうだ。これで仲間になってくれるか」
「おお!やったー!新型PPだ!」
その子は立ち上がって大喜びしている。
どうやら俺のことよりもゲームのことで頭がいっぱいらしい。
「俺は稲越陸斗。年は十七歳。これからこっぴどく使い倒してやるから覚悟しな」
「私は木神玲奈。年は同じ。よろしく」
俺は木神玲奈と固く握手した。
さっきのポテチに囲まれて泣き喚く姿だと分からなかったが、顔立ちがよく、目も大きい。普通にしていれば華奢で可愛いという印象を受けた。
「ただいまー」
いつものように言うが、「おかえり」と言ってくれる家族はいないのだ。少しさみしい気分になる。しかしその時、
「おかえりー」
と、確かに声がした。幻覚かなと思い、
「だ、誰かいるんですかー」
っと大声で聞くと、
「いないよー」
っと返ってきた。奥の部屋からだ。靴を脱いで家に上がり、声のした部屋に向かった。暗い廊下に光が漏れてる部屋があり、そこにだれかいる筈だ、と迷わずその部屋に入った。
惨状だった。部屋中にポテトチップスやチョコ菓子が散乱していた。コーラの2Lペットボトルに囲まれ、テレビの前で座ってゲームをしている同い年くらいの女の子がいた。淡い紫色の長い髪をなびかせ、肌は驚くほど白かった。彼女はポテチを頬張りながら
「おかえり」
とモゴモゴ言った。俺は唖然としていた。
その女の子は頑張ってポテチを咀嚼し、飲み込んだ。次の瞬間、彼女は俺の目の前に飛び込み、土下座をしてこう叫んだ。
「人の家に勝手に入り込んで申し訳ありませんでした!!」
俺は立ち尽くすしかなかった。何が起こっているのかわからなかった。彼女は土下座しながらこう泣き叫ぶ。
「私、ホームレスなんです!誰もこの家を何年も使ってなかったからこっそり住もうと思ったんです!どうか警察には言わないでください!お願いします!体で払いますから!警察だけは!」
そう泣きながらその子は俺の腕にしがみついてきた。
「あぁ、もうわかった落ち着けって。両親はどこのいるの?」
俺はその腕を振り払った。
その子はしょんぼりとした顔でこう答える。
「両親はいないんです。私は捨て子なんです」
急にこの子が不憫に思えてきた。
「お金ないのか」
と聞くと、その子は頷いた。
俺はそこで我ながら素晴らしいアイディアを思いついた。
「じゃあこういう契約をしよう。俺はお前を養ってやる。その代わりお前は俺の言うことをなんでも聞け」
「なんでも...」
とその子は頬を赤らめる。
「いや、そう言う『なんでも』じゃなくて!俺はお前に色々手伝って欲しいことがある。俺は海外から引っ越してきたばかりで、わからないことだらけなんだよ。オーケー?!」
そう。この世界はわからないことだらけだ。仲間は最初のうちから欲しい。
「お...オーケー」
契約成立だ。
「じゃあ明日からバンバン働いてもらうからな」
「最新のゲーム機と、パソコンと大量のポテチとコーラを今買ってくれたらいいよ」
なんてひどい要求なのだ、と思うが、承諾せざるをえない。
「わかった」
俺はすぐにスマホから通販サイトを開き、自分のベルツカードの番号や地図に書いてある住所を入力した。その子に言われた通りの商品を注文し、購入完了画面をその子に見せつけた。
「どうだ。これで仲間になってくれるか」
「おお!やったー!新型PPだ!」
その子は立ち上がって大喜びしている。
どうやら俺のことよりもゲームのことで頭がいっぱいらしい。
「俺は稲越陸斗。年は十七歳。これからこっぴどく使い倒してやるから覚悟しな」
「私は木神玲奈。年は同じ。よろしく」
俺は木神玲奈と固く握手した。
さっきのポテチに囲まれて泣き喚く姿だと分からなかったが、顔立ちがよく、目も大きい。普通にしていれば華奢で可愛いという印象を受けた。
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