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第6話 黒騎士セリス
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黒騎士。
顔を覆い隠す黒い兜に全身鎧。
肌を全て鎧で包み隠し、大きな剣を構えた姿は畏怖の念さえも抱いてしまうほど。
噂によると邪悪極まりない人物だと聞いているが……見た目だけでは分からない。
「セ、セリス! お前だけが頼りだ!」
「…………」
黒騎士をセリスと呼ぶ男たち。
セリスと呼ばれた黒騎士は、重々しい足取りでモンスターに接近していく。
「ガァアアアアアアア!!」
力と力のぶつかり合い。
剣と拳が交わり、そして力が拮抗する。
あんな化け物と力が同等とは……やるな、あいつ。
力は互角。
しかし、動きの速さに関しては相手の方が速いようだ。
思い鎧をまとった黒騎士と、巨体ではあるが裸体であるモンスター。
巨体の素早い蹴りが、黒騎士を吹き飛ばす。
壁に頭を打ち付ける黒騎士。
だが攻撃はほとんど効いていない様子。
頭を少し振るだけで、またモンスターに突撃をする。
「セ、セリスでもダメなのか……」
「だからこんな深くまで来るのは止めておこうと言ったんだ!」
「今更何ってんだよ! 仕方ないだろ……【神器】を手に入れるためなんだから!」
男たちは黒騎士の戦いを眺めるばかりで戦闘に参加する気配はない。
完全に相手を恐れており、全身震わせて身動き一つ取れないでいた。
君たち仲間を目の前にどういうことだ。
俺は彼らを怒鳴り付けたい衝動に駆られるが……それより黒騎士をフォローしなければと思い留まる。
「!」
黒騎士の剣とモンスターの拳が再度衝突し、今度は黒騎士の剣が折れてしまう。
体より先に武器の限界が訪れてしまったか……
俺は黒騎士を助けるべく、モンスターへと接近する。
「あ、踊ってた奴が敵に向かって行くぞ!?」
そのことは忘れて下さい。
助けてあげるからお願いします。
俺は背後から聞こえてくる言葉を半ば強引に無視し、敵に飛びかかる。
「迅い! 凄まじい迅さだぞ、あいつ!」
空中で俺は『爆発する剣』を取り出し、【複製】する。
そのまま右手の『爆発する剣』で相手の右肩辺りに突き刺す。
爆発を起こし、吹き飛んでいく敵の右腕。
「あ、あの化け物の右手を吹き飛ばした……!」
「つ、強い……あいつ、とてつもなく強いぞ!」
「俺たちじゃ傷一つつけられなかったというのに……どうなっているんだ、あいつ」
呆然とする男たち。
敵はオーガより断然強いようだ。
でも勝てない相手じゃない。
むしろ勝機に満ち満ちているほどだ。
「おい、これを使え」
「!?」
地面に着地した瞬間に右手の剣を放り投げ、【複製】し、【複製】した剣を黒騎士に手渡す。
【複製】した物は俺の手元から離れれば三十秒で消滅してしまうが――
三十秒以内なら問題は無い。
『爆発する剣』を手にした黒騎士は、相手の腹を切り裂く。
そして起こす爆発。
敵の腹に穴が開く。
「グガアアアアアアアアア!」
だが仕留め切ることはできなかったようだ。
俺が止めを刺すとするか。
そう考えていたが、黒騎士はボロボロとなった刀身を、相手の傷口にねじり込む。
攻撃力を失い、壊れた剣ではあったが、腹の中に刺されたらたまったものではない。
敵は痛みに叫ぶ叫ぶ。
後は絶命を待つのみ。
「!!」
しかし、黒騎士の手から剣が消滅する。
三十秒が経過したようだ。
これはピンチ。
モンスターは最後の一撃を黒騎士に繰り出そうとする。
兜に左拳を食らう黒騎士。
だがそれと同時に黒騎士も、禍々しい色をした籠手を相手の腹の中に叩き込んでいた。
敵はその一撃で死亡し、黒騎士もまた気を失ってしまったようだ。
崩れ落ちる二人。
俺は黒騎士に駆け寄り、彼の安否を確認する。
「……命に別状はないみたいだな」
息をしているのを確認し、俺はホッと息を漏らす。
「セリスは大丈夫か?」
「大丈夫みたいだ」
「そ、そうか……ところで君は誰なんだ? 君ほどの実力者なら、噂ぐらいは耳にするはずなのに」
「俺のことは今はいいだろ。それよりこいつのことを心配してやれよ」
「あ、ああ……」
黒騎士のことを心配している素振りは見せるが……どうも少しよそよそしいと言うか、何か変な感じがする。
何か企んでるのか?
黒騎士を殺すつもりとか?
もしそうなら俺が阻止してやろう。
絶対そうしよう。
「で、お前たちは何を考えてるんだ?」
「な、何とは……どういう意味だ?」
「意味が分からないか? 仲間であるはずの黒騎士。こいつのことを心から心配していないように見える」
「そ、そんなことは……」
「そんなことある顔してるんだよ。こいつをどうしようってんだよ」
「どうもしないさ……俺たちにどうにかできるような奴じゃないし、そんなつもりもない」
「ふーん。ならいいけど。とりあえず、こいつの治療をしてやらないと」
俺は倒れる彼の重々しい兜を取り外す。
「……?」
そして仰天する俺。
最近の出来事で一番驚いたと思う。
ゲイツらに裏切られたことより驚いた。
兜の中から現れたのは――男ではない女だったのだ。
黒騎士の正体が女だったとは……
顔を覆い隠す黒い兜に全身鎧。
肌を全て鎧で包み隠し、大きな剣を構えた姿は畏怖の念さえも抱いてしまうほど。
噂によると邪悪極まりない人物だと聞いているが……見た目だけでは分からない。
「セ、セリス! お前だけが頼りだ!」
「…………」
黒騎士をセリスと呼ぶ男たち。
セリスと呼ばれた黒騎士は、重々しい足取りでモンスターに接近していく。
「ガァアアアアアアア!!」
力と力のぶつかり合い。
剣と拳が交わり、そして力が拮抗する。
あんな化け物と力が同等とは……やるな、あいつ。
力は互角。
しかし、動きの速さに関しては相手の方が速いようだ。
思い鎧をまとった黒騎士と、巨体ではあるが裸体であるモンスター。
巨体の素早い蹴りが、黒騎士を吹き飛ばす。
壁に頭を打ち付ける黒騎士。
だが攻撃はほとんど効いていない様子。
頭を少し振るだけで、またモンスターに突撃をする。
「セ、セリスでもダメなのか……」
「だからこんな深くまで来るのは止めておこうと言ったんだ!」
「今更何ってんだよ! 仕方ないだろ……【神器】を手に入れるためなんだから!」
男たちは黒騎士の戦いを眺めるばかりで戦闘に参加する気配はない。
完全に相手を恐れており、全身震わせて身動き一つ取れないでいた。
君たち仲間を目の前にどういうことだ。
俺は彼らを怒鳴り付けたい衝動に駆られるが……それより黒騎士をフォローしなければと思い留まる。
「!」
黒騎士の剣とモンスターの拳が再度衝突し、今度は黒騎士の剣が折れてしまう。
体より先に武器の限界が訪れてしまったか……
俺は黒騎士を助けるべく、モンスターへと接近する。
「あ、踊ってた奴が敵に向かって行くぞ!?」
そのことは忘れて下さい。
助けてあげるからお願いします。
俺は背後から聞こえてくる言葉を半ば強引に無視し、敵に飛びかかる。
「迅い! 凄まじい迅さだぞ、あいつ!」
空中で俺は『爆発する剣』を取り出し、【複製】する。
そのまま右手の『爆発する剣』で相手の右肩辺りに突き刺す。
爆発を起こし、吹き飛んでいく敵の右腕。
「あ、あの化け物の右手を吹き飛ばした……!」
「つ、強い……あいつ、とてつもなく強いぞ!」
「俺たちじゃ傷一つつけられなかったというのに……どうなっているんだ、あいつ」
呆然とする男たち。
敵はオーガより断然強いようだ。
でも勝てない相手じゃない。
むしろ勝機に満ち満ちているほどだ。
「おい、これを使え」
「!?」
地面に着地した瞬間に右手の剣を放り投げ、【複製】し、【複製】した剣を黒騎士に手渡す。
【複製】した物は俺の手元から離れれば三十秒で消滅してしまうが――
三十秒以内なら問題は無い。
『爆発する剣』を手にした黒騎士は、相手の腹を切り裂く。
そして起こす爆発。
敵の腹に穴が開く。
「グガアアアアアアアアア!」
だが仕留め切ることはできなかったようだ。
俺が止めを刺すとするか。
そう考えていたが、黒騎士はボロボロとなった刀身を、相手の傷口にねじり込む。
攻撃力を失い、壊れた剣ではあったが、腹の中に刺されたらたまったものではない。
敵は痛みに叫ぶ叫ぶ。
後は絶命を待つのみ。
「!!」
しかし、黒騎士の手から剣が消滅する。
三十秒が経過したようだ。
これはピンチ。
モンスターは最後の一撃を黒騎士に繰り出そうとする。
兜に左拳を食らう黒騎士。
だがそれと同時に黒騎士も、禍々しい色をした籠手を相手の腹の中に叩き込んでいた。
敵はその一撃で死亡し、黒騎士もまた気を失ってしまったようだ。
崩れ落ちる二人。
俺は黒騎士に駆け寄り、彼の安否を確認する。
「……命に別状はないみたいだな」
息をしているのを確認し、俺はホッと息を漏らす。
「セリスは大丈夫か?」
「大丈夫みたいだ」
「そ、そうか……ところで君は誰なんだ? 君ほどの実力者なら、噂ぐらいは耳にするはずなのに」
「俺のことは今はいいだろ。それよりこいつのことを心配してやれよ」
「あ、ああ……」
黒騎士のことを心配している素振りは見せるが……どうも少しよそよそしいと言うか、何か変な感じがする。
何か企んでるのか?
黒騎士を殺すつもりとか?
もしそうなら俺が阻止してやろう。
絶対そうしよう。
「で、お前たちは何を考えてるんだ?」
「な、何とは……どういう意味だ?」
「意味が分からないか? 仲間であるはずの黒騎士。こいつのことを心から心配していないように見える」
「そ、そんなことは……」
「そんなことある顔してるんだよ。こいつをどうしようってんだよ」
「どうもしないさ……俺たちにどうにかできるような奴じゃないし、そんなつもりもない」
「ふーん。ならいいけど。とりあえず、こいつの治療をしてやらないと」
俺は倒れる彼の重々しい兜を取り外す。
「……?」
そして仰天する俺。
最近の出来事で一番驚いたと思う。
ゲイツらに裏切られたことより驚いた。
兜の中から現れたのは――男ではない女だったのだ。
黒騎士の正体が女だったとは……
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