91 / 100
日付不明・二年目
日付不明 狩人のポエム
しおりを挟む
『運命よ僕の大事な人に出会わせてくれてありがとう、運命よ頼むから僕たちを放っておいてくれ』
「うわあああああっ!! 何!?」
「何、はこっちの台詞だ。びっくりしたなもう」
何らかの文面を読み上げる棒読みの声と方向に反応して、どたどたと板間を走って吸血鬼を吹っ飛ばさんばかりにノートの端切れを取り返す。
「勝手に人の部屋の箪笥漁らないでくれる!?」
本命であるミニチュアの己の服は見当たらなかったことに、吸血鬼は落胆していた。現在ミニチュアの吸血鬼は分解され何やら石膏像のような白い塗料を吹きかけられて干されていて、とても服を着せられる状況ではない。
「今のポエムは……」
「見なかったことにして! 起きてたんなら言ってよぉ」
「お前部屋からこっちには居なかったじゃねえか」
「端っこのほう掃除してたの」
ノートの切れ端を胸に隠しつつ文机の引き出しに仕舞い、鍵を閉める。
「何?さっきのポエム……」
「やめて……」
「理人くんでも恥ずかしいことってあるんだぁ~?」
「ある。恥の多い人生を送ってきたんだ」
「ふぅ~ん?」
吸血鬼は狩人の顔を覗き込む。恥辱に塗れた赤い頬だ。すみれ色の潤んだ目を反らし、吐き捨てるように言う。
「君のこと好きになったせいで僕は大変なんだ。君も早くそうなればいい。僕のせいで恥ずかしいこといっぱい作ればいいんだ」
「とんでもねえこと言うのな」
「君には無いのか!? 僕に言えない恥ずかしいこと!」
「あったところで言うと思うか?」
「うわあああああっ!! 何!?」
「何、はこっちの台詞だ。びっくりしたなもう」
何らかの文面を読み上げる棒読みの声と方向に反応して、どたどたと板間を走って吸血鬼を吹っ飛ばさんばかりにノートの端切れを取り返す。
「勝手に人の部屋の箪笥漁らないでくれる!?」
本命であるミニチュアの己の服は見当たらなかったことに、吸血鬼は落胆していた。現在ミニチュアの吸血鬼は分解され何やら石膏像のような白い塗料を吹きかけられて干されていて、とても服を着せられる状況ではない。
「今のポエムは……」
「見なかったことにして! 起きてたんなら言ってよぉ」
「お前部屋からこっちには居なかったじゃねえか」
「端っこのほう掃除してたの」
ノートの切れ端を胸に隠しつつ文机の引き出しに仕舞い、鍵を閉める。
「何?さっきのポエム……」
「やめて……」
「理人くんでも恥ずかしいことってあるんだぁ~?」
「ある。恥の多い人生を送ってきたんだ」
「ふぅ~ん?」
吸血鬼は狩人の顔を覗き込む。恥辱に塗れた赤い頬だ。すみれ色の潤んだ目を反らし、吐き捨てるように言う。
「君のこと好きになったせいで僕は大変なんだ。君も早くそうなればいい。僕のせいで恥ずかしいこといっぱい作ればいいんだ」
「とんでもねえこと言うのな」
「君には無いのか!? 僕に言えない恥ずかしいこと!」
「あったところで言うと思うか?」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる