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第1話
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運不運と云う概念がどうにも馴染まないのはそれなら自分が不運でしかないからかもしれない。これまで僕は「幸運も不運も自分の行動の結果でしかない」と考えて生きて来た。幸も不幸もなく、ただ生きるんだ。そんな風に考えていた。今ではそれはそうでも思わなければ生きて行けない不運な男の精一杯の虚勢に感じる。
毎日生きているのが辛い。
この先に良い事なんて何もない気がする。美しかった僕が度重なる不運に少しずつ汚れ、今日僅かになんとか保っている微かな美はもう明日にはきれいさっぱりなくなってしまって、醜い生への執着の腐臭を半径10メートルに撒き散らしながらよろよろとただただ歩いては1分1秒醜悪さを加速度的にこの痩せた骨だけの身体に分厚い肉襦袢みたいに纏ってそのうち身動き取れず、ぶんぶん蝿さんお友達、蛆のわいた腐肉をぼとぼとアスファルトに落っことしながら行倒れ。あれれなかなか死ねないもんだね。見ないふりに鼻つまみ。そんな末路に、もう片足、いや、両足首までずぶりとめり込んでる。
今日きみに会いたかった。
会えない不運はちょっとのきみの労力で幸運に変わったかもしれない。それだけど、卑小な僕に払う対価として、その労力は法外に高い。暑さ、明日からの仕事、運転中の眠気。何より帰ってからのバタバタ。わかってる。きみに求めるべきじゃないって。けれども僕はどうしても求めてしまう。暑さも臭いも都合も蹴散らして惹かれあう心と身体。それが恋やら、ひょっとしたら愛だ。きみはおとなしすぎる。それでも僕はもっとおとなしい。それが僕を不運に導くのかもしれない。
もう会わない。ただ、好きだと言えばいい。きみと僕の関係性に於いてもう僕の望みは叶わない。それを求めない。ただ、与えられるものを与えよう。受け入れるしかない。思い知るが良い。僕はきみの下に居て、もう上に乗っかる事はないだろう。
暑さに想いが溶けて、重い。
夏バテに気をつけて。
やっぱり僕の恋は叶わない。それが僕を不運だと感じさせる。
毎日生きているのが辛い。
この先に良い事なんて何もない気がする。美しかった僕が度重なる不運に少しずつ汚れ、今日僅かになんとか保っている微かな美はもう明日にはきれいさっぱりなくなってしまって、醜い生への執着の腐臭を半径10メートルに撒き散らしながらよろよろとただただ歩いては1分1秒醜悪さを加速度的にこの痩せた骨だけの身体に分厚い肉襦袢みたいに纏ってそのうち身動き取れず、ぶんぶん蝿さんお友達、蛆のわいた腐肉をぼとぼとアスファルトに落っことしながら行倒れ。あれれなかなか死ねないもんだね。見ないふりに鼻つまみ。そんな末路に、もう片足、いや、両足首までずぶりとめり込んでる。
今日きみに会いたかった。
会えない不運はちょっとのきみの労力で幸運に変わったかもしれない。それだけど、卑小な僕に払う対価として、その労力は法外に高い。暑さ、明日からの仕事、運転中の眠気。何より帰ってからのバタバタ。わかってる。きみに求めるべきじゃないって。けれども僕はどうしても求めてしまう。暑さも臭いも都合も蹴散らして惹かれあう心と身体。それが恋やら、ひょっとしたら愛だ。きみはおとなしすぎる。それでも僕はもっとおとなしい。それが僕を不運に導くのかもしれない。
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暑さに想いが溶けて、重い。
夏バテに気をつけて。
やっぱり僕の恋は叶わない。それが僕を不運だと感じさせる。
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