残念賞

双葉紫明

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第2話

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 今度こそダメかな?
 さすがのわたしもそう思ったよ。
 あのひと、壊れちゃった。
 お酒、飲みすぎてないかしら?
 心配だわ。
 長生きしてもらわなきゃ、わたしが困るんだ。
 あがって来る作品も、やけっぱちなのばっかり。
 上手になってるよ。
 そうそう体験出来ない負の側面。
 それを晒す勇気。
 わたしには、ないもの。
 だからわたしたち、一緒になれるのに。
 それなのにあのひとわざとわたしの悪いとここれでもか?ってLINEして来る。
 離れたがってる。
 わたしを不幸にする事が辛くて。
 けど、わたしと離れるのが辛くて。
 死んじゃうかもしれないな。
 あのひとは強い筈。
 けれども、あのひとをこんなにも脆くしたのはわたしへの愛だ。
 それをわたし、わかってるんだ。
 ちゃんと、わかってるよ。
 だから、どれだけわたしが「あのひとだけ」か、伝えた。
 困って混乱するあのひと。
「信じないぞ、絶対変だ!」
 いかにあのひとがわたしに有害かを滔々と説いて来る。
 そう来ると思った。
「ならば会おう。僕が行くから。」
 来たわ。
 あのひと、わたしが無理出来ないと思ってる。
 鎗が降ろうが会うわ。
 会って、愛し合うんだ。
 そしたらあのひと、きっとわかってくれる。
 あれ?
「そんなに無理しないで良いよ。わかった。きみが好きだ。」
 なんてかわいいのかしら?
 どうやって子供たちに不自然なく、ふたりのいちゃいちゃタイムを作るのか、相談。
「本当に良いんだ。間違えた。そんなに大変なら、家族みんな飯でも食おうよ。」
 わたしが収まりつかないの!
 そゆとこ、鈍いなあ。
 かわいいから、許すけど。
 わたしたち、ホントにバカップルだね。
 わたし、歯が欠けたんだ。
 人前で口開けらんないよ。
 あのひと、嫌いにならないかな?

 また寝落ち。
 あのひとから。
「歯が欠けてんのも、かわいいんだろな。」
 !!!
 詐欺師か、おまいは。
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