憑依

第３話

　待ったなし。
　はっきり宣告された。
　お子さんが居たから多めにみてたって。
　追われた。
　それでも追いかけてくる、金、嘲笑、期限。
　そこに覆い被さる僕の目玉商品である天然きのこの空前の大凶作による、繁忙期の事業の不振。
　憔悴極まり、生きた心地がしない。
　腰が重くなる。
　ただ、鈍痛に身を委ねたまま、呆ける。
　無理にでも、山を歩く。
　無茶苦茶に、歩き回る。
　くたびれ果てて、けれど、少しずつ未達を重ねていく日々。
　冷え込み。
　路面凍結のおそれ。
　散り果てた紅葉。
　温泉の臨時休業。
　寂れていく村。
　冬へ。
　着信があったみたいだ。
　お問い合わせかもしれないからと、コールバック。
「全然違いますね、私、全然かけてませんね！」
　怪訝そうに、かなりの剣幕。
　着信履歴からかけたのだけれど。