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今更、惚れたとか手遅れな気がする❻
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❻
始業前一時間だというのに、四人は示し合わせた様に早々と登校していた。
「え…何でみんなもう来てんの?」
おはようより先に光希が思わずそう呟くと、他の三人は芽衣子の席を囲んでそれぞれのポーズで頭を抱えていた。
「コレ」
出されたのはA4サイズの封筒。
百均で6枚くらい入ってそうな。
それを食い入る様に見つめ、固まる光希に幸子が溜息をつく。
「…光希んトコにも届いてたんか…。なぁ誰宛てだった?」
「は…?」
「ウチは父親宛て。芽衣子んチは母親宛て。まゆまゆは面白がったカレシのSNS上にアゲられてた」
「!─────バラバラじゃん⁉︎ウチは兄貴の学校だよ‼︎」
言わずと知れたイジメ現場で個室に放水するホースを取り合い、笑う四人のJKの姿を引き延ばした写真だった。
「親から殺されそうなくらい怒鳴られたよ…」
「ウチは延々と五時間説教された」
「アタシなんかSNSだよ⁉︎道理でツイッタ○のレスがばんばん来る訳だよ…」
ガタン、と光希が椅子に腰掛ける。
「ウチの兄貴、超進学校の海聖高に通ってんだけど、職員室で学年主任から渡されたんだって…。『一応改めさせて貰ったが、それは誰だ?』って聞かれて、血の気が引いていった、って言ってた」
沈黙が静かな教室内を占拠している。
「…コレ、さ。アングル的にトイレの小窓なんだよね。で、あのトイレ二階。外、壁。…ねぇ、有り得なくね?」
「…怖いコト言わないでよ…」
「ドローンとか?」
「煩くて気付くわ。あったら財力パねぇわ」
幾ら考えても、常識では答えが出よう筈も無かった。
「─────埒あかないよ。ねぇ、可笑しいじゃん‼︎絶対何か関係してる筈だよ!西やん呼び出そう。それか待ち伏せ」
「そだね。普通ならユッコと西やんて全然似てないのに間違えるワケ無いんだよ。大体、何で四人とも見間違えたんだろ。何かやったのかな?」
「呼び出しても態々来ないよ。最近ノリノリだって言ったじゃん」
「じゃ、待ち伏せだね。帰り道、誰かルート分かる?」
ジリジリと授業の時間が過ぎていく。
ギラギラした視線を四方から受けても睦月は涼しい顔をしている。
バスを降りて、暫く進むと森深い神社の前を通りかかると後ろから声が掛かった。
「ちょ、西やん!待ちなよ」
呼ばれて振り向くと、予想通り予想通り四人組がそこに現れた。
「え?キミら何でここに居るの?家、こっちじゃ無いよね?」
睦月は驚いて、眼を見張る。
「…聞きたいコトがあったから」
「え?なら、学校で聞けばいいじゃん」
「聞けないからここに居るんでしょ⁉︎」
「ええ?ナニ逆ギレしてんの?イミフなんスけど」
コーワーイーと、殊更《ぐー》を口元に持っていき、身を捩って見せる。
「ふざけないでよ!アンタ何かやったでしょ⁉︎」
光希と幸子のやり取りにイラついた芽衣子と麻由理が噛み付いていく。
「何か─────てナニよ?私が何かしたの?」
「だって、おかしいじゃない!この前までオドオドしてたのに、ナニ強気になってんのよ⁉︎全然キャラ違うじゃない!」
「そうよ、元の西やんに戻りなさいよ!アンタは私達に弄られてナンボじゃんか!」
気配が変わった。
声の調子は以前同様に戻ったと言うのに違和感が目に見えてある。
口角が不自然に吊り上がっていた。
笑っていたのである。
始業前一時間だというのに、四人は示し合わせた様に早々と登校していた。
「え…何でみんなもう来てんの?」
おはようより先に光希が思わずそう呟くと、他の三人は芽衣子の席を囲んでそれぞれのポーズで頭を抱えていた。
「コレ」
出されたのはA4サイズの封筒。
百均で6枚くらい入ってそうな。
それを食い入る様に見つめ、固まる光希に幸子が溜息をつく。
「…光希んトコにも届いてたんか…。なぁ誰宛てだった?」
「は…?」
「ウチは父親宛て。芽衣子んチは母親宛て。まゆまゆは面白がったカレシのSNS上にアゲられてた」
「!─────バラバラじゃん⁉︎ウチは兄貴の学校だよ‼︎」
言わずと知れたイジメ現場で個室に放水するホースを取り合い、笑う四人のJKの姿を引き延ばした写真だった。
「親から殺されそうなくらい怒鳴られたよ…」
「ウチは延々と五時間説教された」
「アタシなんかSNSだよ⁉︎道理でツイッタ○のレスがばんばん来る訳だよ…」
ガタン、と光希が椅子に腰掛ける。
「ウチの兄貴、超進学校の海聖高に通ってんだけど、職員室で学年主任から渡されたんだって…。『一応改めさせて貰ったが、それは誰だ?』って聞かれて、血の気が引いていった、って言ってた」
沈黙が静かな教室内を占拠している。
「…コレ、さ。アングル的にトイレの小窓なんだよね。で、あのトイレ二階。外、壁。…ねぇ、有り得なくね?」
「…怖いコト言わないでよ…」
「ドローンとか?」
「煩くて気付くわ。あったら財力パねぇわ」
幾ら考えても、常識では答えが出よう筈も無かった。
「─────埒あかないよ。ねぇ、可笑しいじゃん‼︎絶対何か関係してる筈だよ!西やん呼び出そう。それか待ち伏せ」
「そだね。普通ならユッコと西やんて全然似てないのに間違えるワケ無いんだよ。大体、何で四人とも見間違えたんだろ。何かやったのかな?」
「呼び出しても態々来ないよ。最近ノリノリだって言ったじゃん」
「じゃ、待ち伏せだね。帰り道、誰かルート分かる?」
ジリジリと授業の時間が過ぎていく。
ギラギラした視線を四方から受けても睦月は涼しい顔をしている。
バスを降りて、暫く進むと森深い神社の前を通りかかると後ろから声が掛かった。
「ちょ、西やん!待ちなよ」
呼ばれて振り向くと、予想通り予想通り四人組がそこに現れた。
「え?キミら何でここに居るの?家、こっちじゃ無いよね?」
睦月は驚いて、眼を見張る。
「…聞きたいコトがあったから」
「え?なら、学校で聞けばいいじゃん」
「聞けないからここに居るんでしょ⁉︎」
「ええ?ナニ逆ギレしてんの?イミフなんスけど」
コーワーイーと、殊更《ぐー》を口元に持っていき、身を捩って見せる。
「ふざけないでよ!アンタ何かやったでしょ⁉︎」
光希と幸子のやり取りにイラついた芽衣子と麻由理が噛み付いていく。
「何か─────てナニよ?私が何かしたの?」
「だって、おかしいじゃない!この前までオドオドしてたのに、ナニ強気になってんのよ⁉︎全然キャラ違うじゃない!」
「そうよ、元の西やんに戻りなさいよ!アンタは私達に弄られてナンボじゃんか!」
気配が変わった。
声の調子は以前同様に戻ったと言うのに違和感が目に見えてある。
口角が不自然に吊り上がっていた。
笑っていたのである。
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