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7.冒険の書
しおりを挟む「間違いない!これは冒険書だ」
死霊の跋扈する死霊山の洞窟奥深く、死者の分岐路と呼ばれる場所にそれは無造作に置かれていた。
「やったな。これで安心して先に進めるぞ。例え死霊の女王に負けたとしてもまたやり直しができる」
僕が転移してきたこの異世界には冒険の書と言う存在を記憶することができるスーパーレアアイテムがあるらしい。噂によれば死んでもまたその場所でその当時の状態からやり直しができると言うものだった。
「これが噂のセーブポイント的なアイテムか‥本物なのか?‥それじゃあ日付とパーティメンバーの名前を書き込んで‥‥これでいいのかな」
本を閉じると虚空に消えて光の渦がほんのり残っている。どうやら効果は発動したみたいだ。
「よし!セーブできたみたい。後は討伐するだけだな。確か噂では女王の間は右の道。みんな‥行くぞ!」
「おおっ!!!」
その後は凄惨を極めた。その道の先にあったのはシンプルな罠だった。その部屋全体が落とし穴のごとく落下したのだ。シンプルに底が深くて広いだけの暗黒空間。魔法阻害影響もあり脱出も困難。落下で死んだ者はまだ救いがあったほうだ。ケガで苦しむもの、飢餓に苦しみ道を外す者。そして動く者もやがていなくなり‥。
‥‥‥
‥‥
…
‥
「あれっ‥ここはどこだ?」
床に眠っていた俺たちが起き上がるとそこは分岐路だった。
「確か冒険の書を見つけて‥‥そうだ早く死霊の女王を討伐にいかないと」
「そうだったな」
「そうね」
「冒険の書の効果はあるから死んでも大丈夫さ」
「OK。それじゃあ‥右に進むぞ!」
≪解説≫
彼らが持っているのはあくまでそれまでの情報に過ぎない。その先に何が起こったのか知らない限り同じ未来を繰り返すだけなのではないのか。セーブポイントもある種呪いのように作用することもあるかもね。
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