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6.魔王討伐

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 魔を統べる魔王との戦いは終局へと向かっていた。


「魔王・・無残に殺された人々の無念の思い・・滅びろ!」


 聖光の一撃が魔王を両断する。


「グオォォォォォ」


 断末魔の悲鳴が響き渡る。魔王は崩壊を始めていた。


「終わったのか・・これで誰も襲われない・・平和な世の中が」


「フフフフ・・・・見事だ人間よ。人の身でありながら我を倒すとは・・だがしかし!お前は勘違いをしているぞ。私を倒したことで世界が本当に平和になると思っているのなら・・それは大きな間違いだ。我を倒したことにより人の世は滅びを迎えるのだ!お前はそれを見届けることすら敵わぬ・・神羅万象の理を知らぬ愚か者め・・身の程をわきまえず愚かで浅ましき人間達よ・・人間である業・・あの世で嘆くがいい・・ハハハハハハハハハハ・・・・・」


 完全に崩壊した魔王は闇の彼方へと消えた。


「・・・・死んだのか。これで使命を全う出来た。しかし奴の最期の言葉・・あれは・・所詮は魔物の戯言か・・・・帰ろう」


 魔王が倒れ魔物は姿を消した。魔物の脅威が去り人々は大いに喜んだ。人々は勇者を称賛し新たな指導者として祭り上げた。


 そして・・4年後勇者はこの世を去り10年後には世界は動乱の時代へと移行した。





 ≪解説≫

 平和のために魔王を倒した結果、戦乱の時代を呼び込んでしまうお話。魔物の消滅によりこれまで存在していた自然調和の均衡は崩れた。人間は増え始めた。これまで存在していた外敵が無くることにより人間は結束を失った。平和に弛緩した貴族達は政治を私物化していった。政治の場に台頭してきた勇者の存在が目障りになった権力者は勇者を毒殺した。政治が乱れ食料が不足し内乱が起こる。人々の不満を外部へと向け、食料の略奪と口減らし、反乱分子候補を最前線へと送るために戦争が各地で勃発した。

 表向き色々な口上を用意していても戦争の本質は変わらない。数を減らすこと、不満分子や国に置いておけない連中・食えない連中を外にぶつけてすり減らす。地球で賄える人数も決まっているということは・・。

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