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廃墟
しおりを挟む「ここだよ」
二層の初期地点からだいぶ離れた森の奥の奥の奥深く。
こんな森の奥に誰が好んで来たがるのか、と言わんばかりまで分け入った場所に一つの塔があった。
湖の真ん中にある島に建っているのは黒い塔。
魔女の帽子のように先がとんがっている。
塔の周りの敷地は庭のようだが荒れている。
島の周りは金属製の柵で囲まれており、よく分からない植物の蔓が絡んでいる。
また、その柵は湖の周りも囲っている。
側から見るとめちゃくちゃ怪しいし怖い場所である。
「……廃墟の間違いじゃないの?」
「違うね」
リーフフィアの予想はすんなりと否定された。
どうしてレイブンはこんな辺鄙な場所のギルドホームを選んだのかも気にはなるが、それよりもどうやって見つけたのかが気になってしょうがない。
想像をするだけでも、レイブンは嬉々とし、カイトは嫌そうな顔をしながら森の奥に入ったに違いないと考えられる。
橋は煉瓦で出来ており、塔の周りを囲っている金属製の柵が煉瓦の橋に続き、湖の周りも囲っている。
取り敢えず、カイトの先導に従って皆で橋を渡ると謎の門が行手を阻む。
「それじゃあ行こうか?」
「どうやって?」
変な門が閉まっているのに入れるわけがない。
リーフフィアが尋ねるといたずらっ子のように笑って指を振った。
「見てて?」
カイトが振った指の先から綺麗な淡い光が現れて消える。
光が消えると門が錆び付いた音を周りに響かせながらゆっくりと開いた。
「え、怖っ」
こんな家は住みたくない。何か恐ろしいギルドホームである。
「慣れたらそこまで、だな」
レイブンの言葉を聞いてネズが突っ込む。
「慣れるまでが長いっすよ。慣れるのが楽しみっすね」
ネズの揶揄を含んだ声に苛ついたのか、ねこまが膝に思いっきり蹴りを入れていた。
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