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二層
しおりを挟む「二層へようこそ!」
レイブンが身体で祝いを表現している。
「「「……」」」
「ここが二層なのね」
コレーが周りを見渡しながら呟いた。
変わらない。
一層とほとんど変わらない。
ぱっと見ただけでは、一層との違いが全く分からない。
何なら解説して欲しいぐらい、分からない。
「うん、まあ、言いたいことは分かる」
カイトはリーフフィア含めた、二層に来たばかりの面々の言いたいことを分かってくれるらしい。
「変わらないよ。一層と殆ど景色は変わらない」
「ですよね。スタート地点とか噴水の代わりに巨木があるだけでほぼ変わりませんよね」
リーフフィアは巨木をペチペチと叩きながら告げる。
「見覚え有りまくりの風景ですし」
「だよね~。変わったのって花畑があるくらいだし」
カイトの言葉にリーフフィアが食いつく。
「花畑があるんですか?」
「うん、あるある。そして、リーフィ、身体がさっきより近い」
カイトの言葉で冷静になったリーフフィアは顔を赤らめて距離を取った。
リーフフィアがそこまで食いつくのは珍しいので、カイトは興味を覚える。
「そんなに気になる?やっぱり女の子って花畑に興味あるの?」
興味を持ったのはレイブンも同じようで、リーフフィアに尋ねた。
「いえ、乙女的な考えはしてないです」
リーフフィアは即座にレイブンの言葉を否定する。
「リーちゃんの性格を考えると乙女的な意味の興味はないと思ったのは当たったけど、逆に何で興味あるのか聞きたいわ」
レイブンから再びされる質問ににっこりと笑って答えた。
「気持ちよく寝れそうじゃないですか」
「あ、寝るためなのね」
「それ以外に興味ないです」
結構リーフフィアは、ゲーム内で寝ることを好んでいた。
「思っているより物凄く気持ちよく寝れるんですよね」
「え、現実で寝てないの?」
ぽつりと呟いた言葉にレイブンが驚く。
「寝てますけど」
寝てるが、現実で寝るのとゲーム内で寝るのでは意味が違うのだ。
「ゲーム内だと、起きたらこれしなきゃ、とか考えなくていいじゃないですか」
ゲーム内でのリーフフィアの行動は誰にも邪魔されることはない。
現実における煩わしいことも、ゲームでは邪魔できない。
「好きなだけ寝て、好きな時に起きて、やりたいことができる。それが楽しいです」
リーフフィアは綺麗に微笑んで歌うように言葉を紡ぐ。
「私は怠惰な人間です。怠惰に過ごすための努力は最大限に行います。頑張っている人を見ると応援しますし助けますけど、基本的には怠惰を是とする人間なんですよ」
リーフフィアの言い分を聞いたレイブンは顎に手を添えて頷く。
「リーちゃんの行動を見る限り、その気配はまじまじと感じられるもんな」
1人納得しているレイブンを置いておいて、カイトは皆をギルドの方へと案内する。
「こっちだよ。街の中はまだ安全だけど、昼間に長い時間出ると、ギルドまでの道のりでヤツらに出くわすからね」
面倒事は絶対に嫌だ、と言わんばかりの笑みを浮かべて皆の足を促す。
「ギルドは少し遠い場所にあるから、ヤツら気付かれる前に急ごう。皆もこれ以上の戦闘は避けたいだろう?」
カイトの言葉に皆が頷き、レイブンを置いて歩き出した。
「え、待って、置いてかないで!」
レイブンが後から猛スピードで追いかけてきたのであった。
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