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制圧

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「リーフィ、着いたよ」

 目を閉じていたため、何も分からなかったが、カイトの声が聞こえて目を開ける。

「運いいな~。誰もいないし」
「だね」

 目を開けて周りを見渡してみる。

 周りは森で、木々が豊かに覆い茂っていた。目の前には大きな木があり、根元に重たそうな扉がつけられている。

「ここ?」
「みたいっすね」

 ねこまとネズもきょろきょろと周りを見渡している。

「んじゃ、入るか」

 レイブンがスタスタと歩き、重そうな音を響かせて扉を開ける。

「遅れんなよ~」

 皆がレイブンの後を付いて歩く。

「リーフィ、行くよ」

 カイトが前を歩き出したので、リーフィもつられて歩き出す。

「あ、ごめんなさい」

 転移の際にカイトの衣服を掴んでいたらしく、気が付いて手を離す。

「大丈夫。行ける?」
「うん」

 最後にいたコレーに追い付くために少し小走りになる。

 ダンジョンの中に入ると、扉がバタンと閉められてしまった。

 しかし、中が暗いと言うわけでもない。

 ダンジョンの中も森っぽくなっており、光るキノコが足元を照らしていた。

「暗いですね」
「ええ、そうね」

 周りから敵が来たら分からなさそう。

 相手の顔が見えるかどうかのギリギリのラインを突いた暗さだと言える。

「っ、レイブン」
「了解」

 カイトが弓を引き絞り、矢を撃つ音が隣から聞こえた。

 呼ばれたレイブンは身を翻してエネミーを倒す。

「《咲け、玉の華》」

 リーフフィアもカイトやコレー、ねこまの周りに、防御のための花を咲かせた。

「《不死鳥の輝き》」

 全員にHPが1残るように、魔法をかける。

 これで、大体の、即死威力を持つ攻撃で1発殴られて死ぬことはなくなる。

「【昼夜反転】【星月夜】【幻想世界】【幻獣世界】」

 いつも通りの流れで、顕現させていく。

 ダンジョン内の黄昏時っぽかった森の中が星が瞬く夜となり、リーフフィアの周りから幻想的な森の範囲が侵食していく。

 蝶や黒蜻蛉がふわふわと舞い始め、淡い精霊たちのタマゴや幼児たちがゆるゆると移動を始める。

 その変化を感じ取りながら、レイブンはエネミーを倒していく。

「おいおい、ボスの領域をこんな簡単に制圧しやがった」

 敵に回したら怖いが、頼もしい味方だと感じながらも、刃を止めることはなかった。
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