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いい夢を

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「……寝たね」

 カイトの肩にリーフフィアの重さがかかる。

 少し前までは自我があったからかそこまで重さをかけないようにしていたようだが、泣き疲れて寝てしまったのかぐっと重さがかかる。

 カイトはリーフフィアを抱きかかえて、いつもの場所へと戻る。

 そこには、メンバー全員が揃っていた。

「おかえり」

 レイブンが一瞬、驚いた顔をしたが、その後、いつも通りに笑う。

「ただいま。ベッドってある?」

 カイトはレイブンに笑って返事を返し、彼の隣にいたコレーに尋ねる。

 急いで、リーフフィアを寝かせる場所が必要だった。

「奥に準備いたします。少しお待ちくださいませ」

 カイトに詳しい話を聞こうとせずに、コレーはすぐに頷いて行動に移る。

 カイトとしても、どうやって説明したらいいのかよく分からなかったから何も聞いてくれないことがありがたかった。

「ありがとう」

 コレーがパタパタと奥に急いで走っていく。

「リーフ、どうしたの?」
「ちょっと、ね」

 ねこまの質問への回答を言葉で誤魔化す。

「カイト様、準備出来ましたわ」
「ありがとう」

 コレーが奥から戻ってきて、カイトに声をかける。

 カイトはコレーに礼を言って、リーフフィアを運びに行った。

 奥に行くと、リーフフィアっぽい部屋がコレーによって準備されていた。

 こんな短期間で準備するほどの実力があるのは、コレーだけ。

 部屋の端に置かれていた大きなベッドにリーフフィアを下ろす。

「おやすみ、リーフィ。いい夢を」

 顔にかかった髪を耳に掛けてやり、額に唇を落とす。

 ふわっと微笑んで頭を撫でる。

 ブーツを履いているが、足音を鳴らさないように部屋を出て、静かに扉を閉めた。

 扉を閉めてから、コツコツと足音を立てて歩く。

 現実でも、こんな靴を履いているからこの音も慣れたものだ。

「レイブン、リーフィを……いや、何でもない」

 全員がいる場所に戻ってから、レイブンに頼もうとしたが、何とか止めた。

 これはやってはならないことだ。

 プレイヤーの現実を調べさせるのは、やってはいけないこと。

「聞かなかったことにしてやる。貸し1な」

 レイブンがやれやれと肩を上げ、首を振る。

「サンキュ」

 カイトも冷静になり、困ったように笑う。
 椅子を引いて、座った。

「リーフィさ、泣いたんだよね」
「は?泣かせたの?」

 レイブンがポカンと口を開ける。

「女性を泣かせないことで有名なお前が?」
「ああ」

 頬杖をついて肯定する。

 泣いたものは、泣いたんだからしょうがない。

 泣かせたのは事実だ。
 
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