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大分規格外
しおりを挟む門を開いてみると、地上の空は夕方だったが、リーフフィアが門から一歩踏み出しただけで綺麗な朝日が現れる。
「あ、戻した方がいいですか?」
今から昼間になってしまうため、戻すかどうかをカイトに尋ねる。
「そうだね。このまま移動すると着いてくる人もいそうだし、解除してもらっていいかな?」
カイトはリーフフィアの言葉に頷き、リーフフィアも解除する。
リーフフィアが【昼夜反転】を解除すると、真っ赤な夕日が2人を照らす。
「やっぱり、昼間には出かけることは厳しいですよね」
リーフフィアが残念そうな声をあげる。
この階層の、昼間の景色を見てみたかった。
「また、落ち着いたら一緒に行こ?乱入して来ても、皆を呼んで対処すればいいからさ」
「はい」
次の約束を早々に決めた2人は手を繋いだままふらふらと歩く。
「こっちかな」
カイトが手を引く方向にリーフフィアもついて行く。
「こっちにすごく綺麗なスポットがあって。ダンジョンがあるかどうかは分かんないんだけど、穴場みたいな所なんだ」
リーフフィアがいつもいる、フォレストタイガーの森とは逆方向に進んで行く。
初めて歩く場所なので、キョロキョロと辺りを見渡しながら遅れないようにカイトについて行く。
「こっちには来たことないです」
「僕は逆に向こうにあんまり行ったことがないね」
カイト曰く、フォレストタイガーの森は弓使いにとってあまり行きたくない場所らしい。
「フォレストタイガーは鼻が良くて、気配に敏感。それに、木には登るし、素早いし、数が多くて囲まれたら終わりだから」
カイトの戦闘スタイルでは、フォレストタイガーのような多数で襲いかかってくる敵は勘弁してほしいらしい。
「私は、取り敢えず襲いかかってくるのを魔法で倒せばいいだけなので楽です」
全面に展開することさえ忘れていなければ、フォレストタイガーはあまり怖くないのだ。
「リーフィはちょっと、うん、大分規格外だからね」
「そんなことないですよ?」
リーフフィア的には至って普通なのだが。
規格外というと、カイト達も皆、規格外である。
「いや、普通はフォレストタイガーに囲まれたら終わりだよ?」
「そうなんですね」
初めて知ったことに驚く。
フォレストタイガーはあの森で絶対的な強者に値することを初めて知った。
「あ、肉食ですもんね」
「弱肉強食が当て嵌まる世界だからね」
そのルールがあるため、プレイヤーも大変なのだ。
「普通の時に、PvPが起きないだけマシだけどね」
「ですね」
毎日PvPがあったら、リーフフィアはこのゲームで遊ぶことを早々に諦めていただろう。
「このゆるゆるした感じが気に入っているので、このままでいて欲しいです」
「そうだね」
カイトと何気ない話をしながら進むと、2人が目指す目的地が見えて来たのだった。
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