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断言できる
しおりを挟むねこまとコレーは2人揃って、コレーの工房の中へと歩いていく。
まるで嵐のような勢いでやってきて、過ぎ去ったことに、少し放心状態になる。
「リーフィ、大丈夫?」
カイトに頭をよしよしと撫でられながら尋ねられる。
「うん。2人がどれだけ大切に想ってくれてるのかは分かった、かな」
あの怒涛の勢いの褒め言葉を聞いて、大切に想われていないとはどうも考えられない。
「すごかったね。僕も吃驚だよ」
相変わらず頭は撫でられたままだが、まあ、いいかと、リーフフィアは判断を下して会話を続ける。
「レイブン、どうするの?あの2人は絶対の味方だけど」
カイトが、落ち込んでいるレイブンに話しかける。
「どうするも何も、受け入れるしかねえだろ。あの2人があそこまで乗り気なんだから」
ぱんぱんとレイブンが着ているポンチョのようなものを叩いて埃を払っている。
「で、誰なんだ?リーちゃんの兄貴さんはよ」
こちらに歩いてきて、首を傾げる。
「俺らの知ってるプレイヤーか?」
ああ、それならば確信を持って言える。
「ええ、絶対に知っているプレイヤーです」
兄を知らない人なんて、このゲームをきちんと情報収集をしながらやってる人には、いないって断言できる。
「兄のプレイヤーネームは、“キング”。数々のCreate your fantasy world における攻略情報サイト。それら全ての最強プレイヤーランキングの1位を初日から独占し続けている、化け物トッププレイヤーです」
リーフフィアも一応、このゲームを始める前にきちんと情報収集をしていた。
色々な攻略サイトで発表されている最強プレイヤーランキングもきちんと見ていた。
ただ、そういったランキングにおいて、きちんとした顔と名前が出ているのは、キングただ1人。
1位以外はきちんとした情報がなくて、調べられていないが、1位だけでも知っておいて良かったと思っている。
「私の目標は、あの兄に邪魔をされないこと。私が私の仲間と、このゲームを楽しむこと。ただそれだけです」
強い意志を込めた目で、レイブンとカイトを見る。
「まーじかー、まさかキングだとは思ってなかったと言うか……似てないよね?」
頭を掻きむしりながら叫んでいるが、顔を上げてリーフフィアに尋ねた。
「兄はだいぶ弄ってますので」
兄の顔を見たが、だいぶイケメン化されている。
「それに、兄は父親似なんです。私は叔母似です」
ちょうど数週間前、叔母から私の若い頃にそっくりだと言われたばかりだ。
「叔母は、家に反発して縁を切ってしまって。でも、よく私には連絡くれるんです」
「へぇ~……リーちゃんの顔、どっかで見たことある」
眉間に皺を寄せながら、考えている。
もしかして、私の仕事の方であったのかもしれない。
「もしかしたら、見たことがあるのかもですね。叔母と知り合いか、私の仕事の方で会ったとか?」
ありえるとしたらこの2つしかないのだ。
「え?リーちゃんって大人?」
「いえ、高校生で仕事してます」
今の時代、高校生でもできる仕事があるのだ。
「リーフィは偉いね」
「そんなことないです」
こうしてカイト達と楽しく会話できるのも、皆がリーフフィアが抱えている問題を受け入れてくれたおかげだった。
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