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急なスイッチ

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 リーフフィアの質問を聞いたカイトは、リーフフィアにリラックスするように伝えた。

「まあ、まずは落ち着きなよ。色々あって理解できないでしょ?」

 色々ありすぎて、ここにいるメンバーの全員のキャラが濃すぎてちょっとどころかだいぶパンク気味である。

 でも、リーフフィアはカイトの言う通りだと思い、紅茶を一口頂く。

「……美味しい」

 紅茶の優しい味が緊張していたリーフフィアの心を少しずつ温めてくれる。

「でしょ?」

 にこっと笑ってカイトも紅茶を口に含む。

 こくっと一口飲んだカイトは、説明を始めた。

「リーフフィアちゃん、手を出して」
「手?」

 机の下で硬く握っていた両手を、机の上に出す。

 机の上に出した手を見て、リーフフィアはあることに気がつく。

「あれ?何、この指輪」

 いつの間にか、指輪が付いていたのだ。

 星屑のドレスは、ほとんど肌を見せないような構造になっている。

 ドレスは黒紫色の薄く軽いレースの布を何枚も重ねて黒く見せ、足首まで隠れるようになっていた。
 また、星屑のような結晶が、レースのいろいろな場所に散りばめられていた。

 肩には、蝶の飾りのついたショールをかけており、その上から飾りをつけていた。

 腕を隠すように手袋も付いており、その手袋の上に指輪がついていたのだった。

「……ちょっと立ってクルッと回ってもらってもいい?」
「?いいですけど?」

 リーフフィアは立ち上がり、机から少し離れてクルッと回る。

 ドレスの裾がふわっと舞い、優雅さが溢れ出る。

「……完全防備だね」
「ねこまも、そー、思う」

 いつの間にかねこまも見ていたのか、カイトの言葉に頷く。

「でも野暮ったくないようにめちゃくちゃ設計されてる」
「熱の、入れようが、違う」

 2人で何の話をしているのか、リーフフィアには詳しくはよく分からないが、めちゃくちゃ盛り上がっている。

「でも、ねこまさんの衣服もカッコいいですよ?」
「ん?」

 リーフフィアがねこまの衣服を褒めると、ねこまが立ち上がりクルッと回った。

 ねこまの衣服は、カッコいい。

 銀髪の、少女の軍服である。

「もう1着、ズボンも、ある」

 でも、格好良さだけでなく、可愛さも追求されているのだ。

「そうよね、ねこちゃんの可愛さが溢れてるもの」

 いつの間にかコレーがやってきていて、にこにこしていた。

「コレー姉様も、綺麗」
「本当にお綺麗です」

 コレーの衣服は、鍛冶がしやすいように動きやすい衣服なのだが、それでも大人っぽい美しさがあった。

「また違った系統のものが数着あるけどね」

 ころころと鈴が鳴るように笑う。

「あれ?皆さんも指輪があるんですね」

 デザインは違うが、何となく雰囲気が似ている。

「ん。あともう1つ」
「私もいくつかね」

 2人はインベントリからいくつか指輪を出す。

 全ての指輪が、同じ雰囲気を持っていた。

 しかし、リーフフィアのものは、みんなのものと格が違っていた。
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