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巨大G殲滅作戦〜前座その2〜
しおりを挟むリーフフィアと弓使いの男性がメッセージ待ちの状態のため、空中から巨大GのHPを削り始めて、あまりの削れなさに無心になってきた頃、2人のチャットにメッセージが着信した音が鳴り響いた。
「あ、僕が見るね」
「了解です」
弓使いの男性にメッセージの既読を任せて、リーフフィアは地道に削っていくことに集中する。
「そろそろHPバーが半分だから攻撃中止だって」
「分かりました」
男性の声に従い、空中で展開していた魔法を取り消す。
「作戦の方も了解らしい」
「じゃあ、決行します」
まずは、どうにかして双剣使いの男性を空中庭園上に引き上げないといけない。
それに関しては、リーフフィアに一つだけ案があった。
「まずは、【星月の慈雨】」
夜空では星と月が瞬いているのに、ぽつりぽつりと空から雨が降ってくる。
「雨?」
弓使いの男性が雨粒を一滴、手のひらで受け止める。
雨は手の平から何もなかったかのように消えていった。
「【箱庭世界】【月華草】《慈雨の天使》」
先ほどから降らせている慈雨の雨粒から天使を作り出し、生命を与える。
「【開花】【誘惑】【栄枯】」
花を開かせ、誘惑し、栄えさせて枯らす。
これにより、双剣使いの男性の意識を刈り取って、短時間ーたった数分ーではあるがリーフフィアが自由に動かせるようになる。
そして、新たに展開した【箱庭世界】によって天使達を操る。
「《慈雨の雫》」
リーフフィアの声によって天使達は雫を地面に溢す。
「第一陣、敵の撹乱。第二陣、第一陣の補助。第三陣、第一及び第二陣の補助かつプレイヤー救出。第四陣、《慈雨の雫》継続」
淡々と頭の中で指令を出し、采配を振る。
その間、僅か数秒。
「掛かれ」
リーフフィアの言葉と共に動き出す天使達。
彼らの動きは軍隊のように統率が取れていた。
こうして、巨大G殲滅作戦の前の前座、双剣使いの男性引き揚げ作戦が開始したのだった。
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