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これ、どうしよっかなぁ
しおりを挟む「どうしよっかなぁ、これ」
黒く長い髪に黒い目を持つ、the日本人と言えるような見た目の少女の目の前にある机の上には一つのゲーム。
「お兄ちゃんに勧められたけど、ゲーム苦手だし……」
少女はこのゲームをもらった時のことを思い出していた。
「もみじ、これ楽しいからやってみろよ」
英語の勉強を粛々と行なっていた時にいきなり、ノックも無しにドアが開いて見慣れた顔が覗く。
「え~。私、ゲーム苦手だからいい」
「いいから。俺からの誕生日プレゼントってことで!きっとお前の“本業”の役に立つからさ」
兄はもみじに押し付けるようにして物を渡してすぐにそそくさと自分の部屋へと帰っていった。
「……こんなもの渡されても、要らないんだけど。どうしよう、これ。誕生日なんかもうとっくの昔に過ぎてるし」
そうして渡された物に触れる事ないまま数日が過ぎ、休日のなってしまい今日に至る。
「一応、機械だけはあるけど、半年近く使ってないし。使えるのかな、あれ。一応、機種対応はしているみたいだけど」
残念なことに、もみじがこのゲームで遊ぶために最低限必要なものは全て揃っていた。
全て、昔、このゲームと同じように兄に勧められたゲームをするために買わされた物だ。
だが、兄と違い、もみじにとってゲームは苦手な物であり、その意識が変わることはなかったので機械は部屋の隅っこに、箱に入れられて置かれていた。もう半年も触ってないため箱には埃が積もっている。
「“Create your fantasy world”ねぇ。えーっと、『このゲームはファンタジー世界で遊ぶゲームです』……うん、そのくらいパッケージを見たらわかるよ」
もみじはゲームの箱に書いてある簡単な紹介文を読み始める。
読み上げながら部屋の隅の箱の埃を手で払い、手が汚くなったため顔を顰める。
「VRゲーム……動けるかなぁ。自信ない。それにどうせ殺されるだけなのに」
片手に持ったゲームと足元にあるゴミ箱を交互に見比べて大きなため息をついた。
「使わずに捨てたら怒られるよね……しょうがない。本当に最低限だけやっておくか」
もみじはそう言って、箱にしまってある機械をかちゃかちゃと弄って繋いだ。
そうして、カセットを機械で読み込んで、ベットに横になり、機械をつけた。
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