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『右手に苺、左手に梨、蜂が苺にとまったよ。綺麗な星の落とし物。拾って歩いて行ったなら』
しおりを挟むまず枯れ井戸の中の道に従い、真っ直ぐに進むと十字路にたどり着く。
背中側の道は今歩いてきた道。
そして、右、真っ直ぐ、左に直角になっている、人工的な道が存在している。
歌の通りにいくと、初めは『右手に苺』。
つまり、右に曲がる。
右に曲がりランタンを掲げるとその先もまた3つの方向に道が分かれていた。
だから、僕はランタンを消してそのまま真っ直ぐ、15本目の分かれ道まで歩く。
この迷路は、とある理由によって幻惑の魔法がかかっている為、目で見ていると迷いやすい。
そのため、ランタンを消すのだ。
さて、15本目の角まで壁に手を当てて触りながら数えて歩く。
次の歌詞は、『左手に梨』。
だから、15本目の角を左に曲がり、また1から74本目の角まで歩く。
この通路は角と角の間が狭い。
そのため、歩く距離はそこまで長くない。
そして、絶対に壊せない素材でできている為、壊すことは不可能だ。
74本目の角までついた。
『蜂が苺に止まったよ』。
今までの中で苺が出てきた歌詞、つまり、『右手に苺』。
だから、74本目の角を右に曲がり、8本目の角まで進む。
8本目の角まで歩いたら、ランタンの中の受け皿に僕の血を一滴垂らし、蒼い光をつける。
『綺麗な星の落とし物』、それは僕の血と蒼い光に反応する。
紅、白、黄、碧、翠、蒼、その他にも沢山の色が転々と、まるで道案内をするように地面に散らばっている。
僕はその色が指し示す方へ歩いていけば良いだけ。
視覚情報なんて気にせずに、例え壁に激突するように色があっても前に進むだけで良い。
僕が色に触れると、彼らはまるで笑って、歓迎しているかのように小さな音を鳴らす。
昔はそれが楽しくて、よくここにいた。
色について行くと、勢い良く上から降り注ぐ蒼い滝の前に着く。
滝の底は綺麗に彫られていて、水が溜まっていた。
この滝は星や月がきちんと光り輝いている夜にしか流れない。
この滝の星や月の灯りをしっかりと浴びた水が、彼らを咲かす為に必要なのだ。
さて、この先に進む為の道は『拾って歩いて行ったなら』にあたる。
『歩いて行ったなら』の部分は行った。
だから行うのは『拾って』の部分だ。
物を拾うために、普通はしゃがんで立たなければならない。
つまり、下に行って上に行く。
それと同じ動作をするものの一つが潜ること。
下に潜って上に上がる。
物を拾う時と同じような動きとなる。
従って、進むべき道は滝の底、水の溜まり場にある。
僕は、自身の身体を大きな泡に包んでランタンの光を翳したまま滝の底に潜った。
水の中は色でいっぱいだった。
彼方此方に色がある。
だから色について行くことは出来ない。
だからこそ星なのだろう。
この世界にはある方向から動かず、地上のどんな場所にいても必ず見つけられる星がある。
それを人々は『竜の星』と呼んでおり、夜は皆、竜の星を頼りにしながら移動する。
ならば僕も『竜の星』が出る方向に進めば良い。
『竜の星』の方角に進んで行くと、光と闇によって隠された、中が真っ黒闇の洞窟が見つかる。
その洞窟の中に入って壁に手を当てて壁なりに進んで暫くすると淡い灯りが見えた。
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