13 / 38
第2章
2-3
しおりを挟む
彼は当然のように私に「初めまして」と告げる。薄ら浮かべた笑みも、私のよく知るシーグルドそのものだった。私は状況が理解出来ず混乱する。なぜここに彼がいるのだろう。彼は王子と同名の庶民ではなく、まさかアナの言う通り、本当に王子だったとでも言うのだろうか。
私がそんな風に考えていると、使用人から挨拶を促される。私は大人しく「初めまして」と告げた。
私は混乱した頭でシーグルドを見つめる。彼は笑みを浮かべたままだ。
「一度2人で話したい。お前たちは退出してくれ」
シーグルドがそう言うと、使用人たちは次々と退出していく。私たち2人を取り残して、部屋の扉は閉まった。
シーグルドに席に座るよう促される。私は大人しく腰掛けると、彼も向かい側に座った。
「……どういうこと? あなた、まさか王族だったの?」
私の言葉に何がおかしかったのかシーグルドが笑みを溢す。私は彼を緊迫した表情で睨んだ。
「そう睨まないでくれ。別に隠してたわけじゃない。聞かれなかったから答えなかっただけだよ」
「普通、話すでしょう? 私のこと騙して、楽しんでいたの?」
「別に楽しんでねーよ。ていうか普通、気づくだろ。お前がこんなに鈍くなければな」
私は彼を睨み続ける。彼は特に動じず話を続けた。
「それよりも、どうしたんだ? 急にこんな縁談を持ち込んで。ついにお前も権力に目が眩んだか」
「とぼけないで。王族なのだから経緯は全部知っているのでしょう」
「まあ、大体は陛下から聞いてはいるが」
彼は怪訝な顔でそう言う。私は少し俯くと言った。
「あなたも知っていると思うけれど、私は今回、おば様に強要されて公妾になった。でも、私はヤーフィス家当主の座を諦めない。お母様との約束だもの……。だから、安心して。いつか公妾は辞退するわ」
私がそう呟くと、シーグルドは目を伏せる。そして口を開いた。
「なるほど、ね。でも、当主の座奪還はどうやるんだ? まさか、何の手立てもないわけじゃないよな」
シーグルドに痛いところを突かれる。実際今は何の手立ても思いついていない。
「……分からない。だけど、状況は刻一刻と変わっていく。今はチャンスを待ちたいの」
「珍しく、漠然としているな。……まあいいけど。俺も協力してやるよ」
「本当?」
私は期待の眼差しをシーグルドに向ける。
「ああ。その代わり、一応公妾になったんだから、公にはその通り振る舞ってくれ。でないと後々面倒なことになる」
「ええ、もちろんよ」
私がそう言うと、シーグルドはこちらに目を向ける。やはりいつもの薄ら笑みは相変わらずだった。私も強く見つめ返す。私の決意が本物だということを伝えるために。
こうして私たちは、公には公妾と王子の関係を演じることになった。
「……そういえば、お前の両親は馬車の事故で亡くなったと聞いた。それは本当か?」
突然、シーグルドが深刻そうな表情でそんなことを聞いてくる。私はこの目で見た通りのことを話した。
「本当よ、現場を見た。……けど、どうにも腑に落ちない。お父様とお母様が馬車の事故で死ぬなんて考えられないの」
「俺も同感だよ。お父上のことはあまり知らないが、神聖魔法まで使えるお前のお母上が、馬車の転倒で死ぬはずがない。きっと、何か別の要因が絡んでいる」
彼は珍しく真面目な顔つきでそう言う。
「あなたもそう考えているの? だとしたら、一体誰がこんなことを……」
「とにかく、今は気をつけた方がいい」
「……分かったわ」
いつもおちゃらけている彼が真剣にそう話すということは、本当に危険なのだろう。彼がどこまで推測しているか分からないが、お父様とお母様の死が他殺かもしれないという事実が以前よりも明確になった。
そう考え込んでいると、シーグルドがふといつもの表情に戻る。
「そういうわけだから、護衛を1人ヤーフィス家に送らせる」
「護衛……?」
「あの学校は比較的安全だが、家は必ずしもそうじゃない。護衛がいれば幾分かマシになるだろ」
そう言って彼は欠伸をする。私は彼の提案を拒否した。
「護衛なんて要らないわ。変に気は使わなくて結構よ」
「一応お前は俺の公妾だからな。お前の安全を守るのも俺の役目というわけだ」
彼はふざけてそんなことを言う。私は彼のおちゃらけた態度にため息をつくが、彼の方に目を向けると告げた。
「……ありがとう。それじゃあ、ご厚意はありがたく受け取っておくわ」
私がそう言うと彼は優しく微笑んだ。
その後、私は行きと同じ馬車に乗って帰路に着いた。まさか、庶民だと思っていたあのシーグルドが王子だったなんて、衝撃だった。どうしてエルは教えてくれなかったのだろう。
最近は色々なことがあり過ぎて、学校に通っていたのが遠い昔のような気がする。久しぶりにアナの顔が見たい。普段通りの生活を送りたい。そう思った。
しかし、きっと実現しないのだろう。学校に行き始めたら、今度はまた違う理由で騒がれることになるのだろうから。
私は日頃の疲れから、馬車の中で静かに眠りについた。
数日後。ヤーフィス家にシーグルドから送られてきた護衛の人が到着した。
「初めまして、これからよろしく」
そう声をかけると、彼は恭しくお辞儀をする。護衛と聞くとがたいの良い大男をイメージしていたが、意外にも彼は私より1つ年下の笑顔が可愛い少年だった。
「リリアーヌ様、初めまして。王族直属部隊第一部隊隊長を務めていました、ヨセフと申します。よろしくお願いします」
彼は元気良く挨拶をする。私は当初あまり気乗りはしていなかったが、気さくな彼のことは一目見て気に入った。
「リリアーヌ様。さっそくなのですが、リリア様ってお呼びしてもいいですか? 俺堅苦しいのが苦手で」
「ええ、大歓迎よ」
彼とはすぐに打ち解けた。人懐っこくて、彼はシャルロットとも仲良くなった。おば様は王族からの護衛ということもあり、表面上は彼に良くしているが、警戒しているようだった。
しかし、冬の長期休暇はもうすぐ終わる。私は学校のため、彼を屋敷に招いてすぐ王都に帰らなければいけなくなった。
「俺も王都までご一緒しますよ」
「大丈夫よ。ここからは数時間で着くし」
「何かあったら俺がシーグルド様に怒られるんで」
彼はそう言ってにこっと笑う。素直に彼に同行をお願いすることにした。
「それじゃあ、お願い」
「喜んで!」
出発の日。私は侍女ではなく、護衛のヨセフと馬車に乗る。数時間ほどの道のりの最中、彼と話す時間を楽しんだ。
「リリア様の話は、いつもシーグルド様から聞いていましたよ」
「え、私の話を?」
「はい。学校に面白い子がいるって! シーグルド様、嬉しそうだったなあ」
「あんまり想像出来ないわね」
そんな会話をしながら馬車は進んでいく。するとヨセフは突然、俯く。そしてゆっくり口を開いた。
「俺は小さい頃、シーグルド様に救われたんです。身寄りもなく、野良犬のような生活をしていた俺に魔法や剣術を教えてくれた」
「シーグルドがそんなことを?」
普段のふざけている様子からはあまり想像が出来なかった。
「はい! 今の俺がいるのはシーグルド様のお陰なんです。だから、シーグルド様の大切な人を守るのも俺の使命なんですよ」
ヨセフは嬉しそうに微笑む。エルやアナから言われた彼のイメージと、ヨセフから言われる彼のイメージはかけ離れていた。
どちらが本物の彼なのだろうか。
そんなことを考えていると、馬車が王都に入る。馬車から、学校のあの塔が見えた。
私がそんな風に考えていると、使用人から挨拶を促される。私は大人しく「初めまして」と告げた。
私は混乱した頭でシーグルドを見つめる。彼は笑みを浮かべたままだ。
「一度2人で話したい。お前たちは退出してくれ」
シーグルドがそう言うと、使用人たちは次々と退出していく。私たち2人を取り残して、部屋の扉は閉まった。
シーグルドに席に座るよう促される。私は大人しく腰掛けると、彼も向かい側に座った。
「……どういうこと? あなた、まさか王族だったの?」
私の言葉に何がおかしかったのかシーグルドが笑みを溢す。私は彼を緊迫した表情で睨んだ。
「そう睨まないでくれ。別に隠してたわけじゃない。聞かれなかったから答えなかっただけだよ」
「普通、話すでしょう? 私のこと騙して、楽しんでいたの?」
「別に楽しんでねーよ。ていうか普通、気づくだろ。お前がこんなに鈍くなければな」
私は彼を睨み続ける。彼は特に動じず話を続けた。
「それよりも、どうしたんだ? 急にこんな縁談を持ち込んで。ついにお前も権力に目が眩んだか」
「とぼけないで。王族なのだから経緯は全部知っているのでしょう」
「まあ、大体は陛下から聞いてはいるが」
彼は怪訝な顔でそう言う。私は少し俯くと言った。
「あなたも知っていると思うけれど、私は今回、おば様に強要されて公妾になった。でも、私はヤーフィス家当主の座を諦めない。お母様との約束だもの……。だから、安心して。いつか公妾は辞退するわ」
私がそう呟くと、シーグルドは目を伏せる。そして口を開いた。
「なるほど、ね。でも、当主の座奪還はどうやるんだ? まさか、何の手立てもないわけじゃないよな」
シーグルドに痛いところを突かれる。実際今は何の手立ても思いついていない。
「……分からない。だけど、状況は刻一刻と変わっていく。今はチャンスを待ちたいの」
「珍しく、漠然としているな。……まあいいけど。俺も協力してやるよ」
「本当?」
私は期待の眼差しをシーグルドに向ける。
「ああ。その代わり、一応公妾になったんだから、公にはその通り振る舞ってくれ。でないと後々面倒なことになる」
「ええ、もちろんよ」
私がそう言うと、シーグルドはこちらに目を向ける。やはりいつもの薄ら笑みは相変わらずだった。私も強く見つめ返す。私の決意が本物だということを伝えるために。
こうして私たちは、公には公妾と王子の関係を演じることになった。
「……そういえば、お前の両親は馬車の事故で亡くなったと聞いた。それは本当か?」
突然、シーグルドが深刻そうな表情でそんなことを聞いてくる。私はこの目で見た通りのことを話した。
「本当よ、現場を見た。……けど、どうにも腑に落ちない。お父様とお母様が馬車の事故で死ぬなんて考えられないの」
「俺も同感だよ。お父上のことはあまり知らないが、神聖魔法まで使えるお前のお母上が、馬車の転倒で死ぬはずがない。きっと、何か別の要因が絡んでいる」
彼は珍しく真面目な顔つきでそう言う。
「あなたもそう考えているの? だとしたら、一体誰がこんなことを……」
「とにかく、今は気をつけた方がいい」
「……分かったわ」
いつもおちゃらけている彼が真剣にそう話すということは、本当に危険なのだろう。彼がどこまで推測しているか分からないが、お父様とお母様の死が他殺かもしれないという事実が以前よりも明確になった。
そう考え込んでいると、シーグルドがふといつもの表情に戻る。
「そういうわけだから、護衛を1人ヤーフィス家に送らせる」
「護衛……?」
「あの学校は比較的安全だが、家は必ずしもそうじゃない。護衛がいれば幾分かマシになるだろ」
そう言って彼は欠伸をする。私は彼の提案を拒否した。
「護衛なんて要らないわ。変に気は使わなくて結構よ」
「一応お前は俺の公妾だからな。お前の安全を守るのも俺の役目というわけだ」
彼はふざけてそんなことを言う。私は彼のおちゃらけた態度にため息をつくが、彼の方に目を向けると告げた。
「……ありがとう。それじゃあ、ご厚意はありがたく受け取っておくわ」
私がそう言うと彼は優しく微笑んだ。
その後、私は行きと同じ馬車に乗って帰路に着いた。まさか、庶民だと思っていたあのシーグルドが王子だったなんて、衝撃だった。どうしてエルは教えてくれなかったのだろう。
最近は色々なことがあり過ぎて、学校に通っていたのが遠い昔のような気がする。久しぶりにアナの顔が見たい。普段通りの生活を送りたい。そう思った。
しかし、きっと実現しないのだろう。学校に行き始めたら、今度はまた違う理由で騒がれることになるのだろうから。
私は日頃の疲れから、馬車の中で静かに眠りについた。
数日後。ヤーフィス家にシーグルドから送られてきた護衛の人が到着した。
「初めまして、これからよろしく」
そう声をかけると、彼は恭しくお辞儀をする。護衛と聞くとがたいの良い大男をイメージしていたが、意外にも彼は私より1つ年下の笑顔が可愛い少年だった。
「リリアーヌ様、初めまして。王族直属部隊第一部隊隊長を務めていました、ヨセフと申します。よろしくお願いします」
彼は元気良く挨拶をする。私は当初あまり気乗りはしていなかったが、気さくな彼のことは一目見て気に入った。
「リリアーヌ様。さっそくなのですが、リリア様ってお呼びしてもいいですか? 俺堅苦しいのが苦手で」
「ええ、大歓迎よ」
彼とはすぐに打ち解けた。人懐っこくて、彼はシャルロットとも仲良くなった。おば様は王族からの護衛ということもあり、表面上は彼に良くしているが、警戒しているようだった。
しかし、冬の長期休暇はもうすぐ終わる。私は学校のため、彼を屋敷に招いてすぐ王都に帰らなければいけなくなった。
「俺も王都までご一緒しますよ」
「大丈夫よ。ここからは数時間で着くし」
「何かあったら俺がシーグルド様に怒られるんで」
彼はそう言ってにこっと笑う。素直に彼に同行をお願いすることにした。
「それじゃあ、お願い」
「喜んで!」
出発の日。私は侍女ではなく、護衛のヨセフと馬車に乗る。数時間ほどの道のりの最中、彼と話す時間を楽しんだ。
「リリア様の話は、いつもシーグルド様から聞いていましたよ」
「え、私の話を?」
「はい。学校に面白い子がいるって! シーグルド様、嬉しそうだったなあ」
「あんまり想像出来ないわね」
そんな会話をしながら馬車は進んでいく。するとヨセフは突然、俯く。そしてゆっくり口を開いた。
「俺は小さい頃、シーグルド様に救われたんです。身寄りもなく、野良犬のような生活をしていた俺に魔法や剣術を教えてくれた」
「シーグルドがそんなことを?」
普段のふざけている様子からはあまり想像が出来なかった。
「はい! 今の俺がいるのはシーグルド様のお陰なんです。だから、シーグルド様の大切な人を守るのも俺の使命なんですよ」
ヨセフは嬉しそうに微笑む。エルやアナから言われた彼のイメージと、ヨセフから言われる彼のイメージはかけ離れていた。
どちらが本物の彼なのだろうか。
そんなことを考えていると、馬車が王都に入る。馬車から、学校のあの塔が見えた。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
絞首刑になる王妃様の運命フラグを回避します。新米編集部員の成り代わり奮闘記
早稲 アカ
恋愛
編集者になった新米編集部員の武田奈々。あこがれの小説の主人公、アグネッタ王妃シリーズを執筆しているロマンス小説の橘文代の担当となる。しかし、文代はもうアグネッタを絞首刑で殺そうとしていた。菜々は何とかアグネッタを生かしたいと強く願いながら眠ったところ、朝起きたら、物語の主人公になっていた。しかも、自分はそのままだと自分は絞首刑になってしまう運命。奈々はなんとか、アグネッタ王妃として、生き延びる策を練って日々、がんばります。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。
猫宮乾
恋愛
再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる