堕天使の黙示録-アポカリプス-

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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未来を紡ぐため

堕天使の黙示録-アポカリプス- 130話

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リティアとメフィリアの奥義が衝突。

それで一瞬視界が眩んだ。

相殺…された?

リティア「……あっ!」

衝撃が収まると、メフィリアの背に翼がついていた。

あの時の…火を纏った翼。

メフィリア「私は…間違ってない……

間違っているのはいつだって周り…ルーリエとディアルト以外は全て邪魔…!

ルーリエが笑えない世界なんか、壊れてしまえば良い…!」

レイド「本気出してきたか…!」

ラヴィア「メフィリア……」

どうにもゼフィルとも利害の一致ってだけで、

信頼関係はなさそうだな。

リティア「……みんな。話した通り、ここからは私がやる」

セラフ「リティア……」

フィル「大丈夫なの…?」

それにリティアが頷いた。

アイギス「…下がろう」

エレシー「無理、しないでよね」

クレイド「……最悪の時は俺が出るよ。だから、ぶつかってやれ」

メフィリア「…やっと…殺せる。あなたの事。

ずっと憎かった…ディアルトから愛されてたあなたが…

貴方もでしょ。ディアルトを殺した私が憎いはず…」

リティア「…どうかな。そうでもないかも。

でも、大切な人に対する考え方がおかしいのは分かるから…

メフィリア! 目、覚まさせてあげるから…!」


メフィリア「死せる雨…ヘルアワー」

リティア「吹き荒れろ…フェザーフライ!」

同時に魔法が衝突するが、風属性が闇に圧勝できるわけがない。

数発はリティアに当たる。

リティア「っ…!」

メフィリア「魔盾を我が前に…スペルアブソーブ」

この盾は魔法が効かなかったはず…

リティア「だったら…アウローラエコー!」

メフィリア「うっ…」

リティア「幻属性は剣属性じゃないとダメージの軽減は厳しい。

メフィリアは剣属性、持ってないよね」

火と闇だけ。幻属性は分が悪い。

メフィリア「貴方が私と戦うって言いだしたのは、どうして?

相性からしたら、多分あなたの方が厳しい…

勝っているとしたら幻属性だけ…ディアルトを私が殺したから?」

リティア「何言ってるの? ディアルトは生きてるって私は信じてるけど」

それにメフィリアが確かに反応した。

リティア「遺体は見つかってない。なら、死んだなんて信じない。

メフィリアは違うの? 本当に好きなら信じたら?

でもね……」

そう言ってリティアが弓を構える。

リティア「好きだから殺そうって考え、絶対にありえない!

連射乱!」

メフィリア「! ブレイズハイクロス!」

また衝突した。が、リティアの方が上手だった。

メフィリア「っ…それだけじゃない…ルーリエが…」

リティア「ルーリエのこともそう! 本当に大切なら、

何でもかんでも従ってるんじゃないわ!

明らかに悪い方へ行こうとしてるなら、止めてあげるべきでしょ!」

メフィリア「……っ、なんで、記憶無くしても、追われても…

そんなに……ずるい、ずるいずるいずるい…

私はルーリエを裏切れない…! ディアルトから愛された貴方が許せない…!

撃ち燃やせ……フレイムデュオ……!」

リティア「くっ…」

荒れている…無感情で戦っていたのが嘘のように声に力が入る。

メフィリア「操られて生きる事しか知らなかった私に自我を与えてくれたのはルーリエだった…

命を吹き込んでくれたのは彼女だった…

だからこの命は全部ルーリエのため……!

殺炎・カローレ・メテオリティス!」

ディアルトが使ってきた奥義の……

リティア「……自分に繋がれ続けている操り糸を切って!

何よりも誰よりもまず、自分を解放して…メフィリア! 

風術飛翔・ミストラル・プリマベラール!」

属性相性的にはリティアが不利。だけど、使っているのは神の力。

メフィリア「嘘…火が、押されて……」

リティアの真っ直ぐ向いた目がメフィリアを捉えた。


強い衝撃の後、立っていたのはリティアだった。

クレイド「…勝った……リティアが…!」

フィル「リティア!」

セラフ「大丈夫か!?」

慌てて三人が駆け寄る。

リティア「うん…大丈夫。ちょっと疲れたかな…」

そう言って倒れているメフィリアの方を向く。

メフィリア「だ……め……私が、ここで倒れたら……

せめて、道連れにしないと…ルーリエが……」

リティア「………」

リティアがメフィリアに近付いてしゃがんだ。

リティア「メフィリア…どうして、ルーリエにそんなに……

命を吹き込んでくれたって、どういう事?」

優しく声をかけると、メフィリアはこちらを見ないものの、答えてくれた。

メフィリア「私は……両親に操られて生きてきた……

やる事為す事、全部決められて……でもある日、私を縛り続けておくことに両親が疲れた…

だけど、私を手放す事も嫌で……無理心中を図ってると、聞いてしまった…

操り人形だった私は、このまま死ぬのを諦めてた…

その時に……ルーリエが、私の境遇を見て見ぬ振りした村ごと、全部焼き尽くした……」

!?

メフィリア「突然の事に迷って、荒れた地で座り込んでいたら、ルーリエが手を差し伸べてくれた…

私が生きてるのは、ルーリエのおかげ…

私は、ルーリエがいなければ生きてない……だから……」

リティア「だから…ここまで心酔してたんだね……」

メフィリア「……ルーリエも、両親から苦しめられてたから…

あの目の薔薇も、そう言う事………」

あの黒い薔薇?

メフィリア「……ルーリエは、あの薔薇を消したくて…

殺神復活に乗った……」

クレイド「…どういうことだ?」

メフィリア「……っ、けほっ……

殺神復活の功労者は、願いを一つ叶えてもらえる…それで、薔薇を消してもらうつもりだったの…」

フィル「……」

メフィリア「…それが、可能だから、ルーリエは、殺神を崇拝してる…病的に…

私は、ルーリエの願いを知って…止められなかった……

もし……ルーリエが間違ってるなら…代わりに、止めて……」

セラフ「……分かった。止めてくる」

そうセラフが答えると、メフィリアの目に光が戻った。

メフィリア「…うん………

リティア……色々と、ごめんなさい……」

メフィリアはそう言った後、息を引き取った。

リティア「馬鹿。……私は貴方を憎んでないよ。

嫉妬で命を狙われたことも怒ってないし、ディアルトは生きてるって信じてるから…」

リティアが立ち上がる。

レイド「リティア」

エレシー「…休んでく?」

それに首を横に振る。

リティア「時間が無いから。でも、全部終わったらメフィリアを弔わせて」

レイド「ああ」

ラヴィア「そうですね…」

アイギス「両親からの束縛による被害者か……」

ルーリエもそうみたいだな……

フィル「…止めないとね。ルーリエの事もゼフィルの事も」

セラフ「ああ。次は恐らくゼフィルだ」

(セフィオ……僕は……)

……ゼフィルを殺せばセフィオも死ぬ。

それでも、それがセフィオの願いなら……
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