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掛け替えのない存在
堕天使の黙示録-アポカリプス- 118話
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船に乗って、絶海の孤島。蔓の王城と呼ばれている
忘れられた城に来たセラフ達。
リティア「……これが……」
レイド「元々城だった…って言うのか…」
クレイド「酷い、様だな………」
見あげた建物は、名の通り、蔓で覆われていて、
恐らく内部も崩壊だらけだろう。
ラヴィア「……この島も、この城も…寂しい場所…」
エレシー「呪われた城…ね」
蔓がここまで覆い尽くしたのは、放置されたからか、
そういう技を使う奴でも攻めて来ていたのか……
リティア「…フィル、ディアルトの魔力、感じる?」
フィル「うん…居るよ。ここに」
待っているのか…
アイギス「にしても、この城の王族は…全員亡くなった…んだろうな」
セラフ「…………」
アイギス「……セラフ?」
セラフ「あ、ああ…すまない。行こう」
セラフの様子がおかしいような…気のせいか?
セラフ(……そう言えば、僕は…幼少期の事を何一つ覚えていない…
それこそ、崖から落ちる前からずっとだ…)
ビレス『何を知っても動揺しないでね』
………ビレスの発言が気になる。
動揺するなって…どういう意味なんだ…?
とりあえず内部に入って探索を始める。
ディアルトがいるとしたら、元玉座だろうが、
崩壊が酷くて行ける方向を探すのも一苦労だ。
リティア「……うーん……うーん……」
フィル「リティア?」
レイド「大丈夫か?」
リティアがずっと何か悩んでいる。ここに入ってから。
エレシー「……ディアルトの事ね?」
リティア「うん…大体は思い出してるけど、全部思い出してない。
ディアルトとの思い出も、私の想いも、彼の想いも…
大体じゃ駄目なの…私は、ディアルトの事、
全部思い出すって約束したから…」
・・・・・・・・
セラフ「……決着をつけるだけだ。殺すかどうかは別問題だよな?」
アイギス「まあ、そうだな。甘い気がするが…」
ラヴィア「…そうですよ…リティアさんとちゃんと話す時間をあげたい…」
リティア「みんな……」
ディアルトには確かに恩がある。
向こうの意思にもよるが…
クレイド「あいつは一発殴らないと気が済まないが、
本気でリティアの事想ってるって言うなら、俺だって情けぐらいかける」
セラフ「…善処はする。約束はできない。だが…
どうにかなれば、ディアルトとの決着の後、ちゃんと話せ」
リティア「うん……ありがとう」
しばらく歩いていると、
瓦礫に埋もれてはいたが、図書室が見えた。
エレシー「……部屋自体はまだ崩壊が少ないわね…」
フィル「少し休んでいく?」
入り口が瓦礫で塞がれてる。
クレイド「よし、任せて…裂懐蹴!」
クレイドが蹴りで瓦礫を壊してしまった…
アイギス「………手荒な;;;」
リティア「前も、壊した事あったよね」
まじか…というような表情でアイギスが見る。
クレイド「休むんだよな!? 多少の破壊は許してくれ!」
レイド「騒いでいないで、少し休むぞ。
俺達は割と急いでるんだからな」
ラヴィア「そうですね…回復ぐらいはしておきましょうか」
魔物の巣窟と化していたので、ダメージは受けていた。
図書室の中の本棚も、色々倒れていたし、本も劣化がほとんど。
でも、セラフはその中で、読めそうな物を手に取ってみていた。
フィル「セラフ。休まないの?」
セラフ「僕は、まだ大丈夫だ……」
フィルへの返事も少し上の空な感じ。
何を読んでるんだろうと、フィルが覗き込んでみると……
それは、この国の日記?のようなものだった。
「火聖月 男児が誕生。
深緑色の髪に紫の瞳。この子は母似のようだ。
将来とんでもなく美人になるだろう」
数年後……
「風聖月 この子は剣の扱いがとてもうまい。
幼いながらに既に剣を片手で裁ける。
もう少し成長したら、双剣を持たせるのもありかもしれん」
「闇聖月 襲撃を受けた。我が国の王子はフェザレイに預けた。
時間が無い。私達の命はこの国と共に尽きるだろう。
せめて、この国が存在した事を最後に日記に残す。
あの子がどうか、無事に生き延びる事を…」
フィル「……セラフ……まさか……」
セラフ「……僕は、空白の時間がある。それは幼少期の記憶だ。
気が付いた時には、僕はフェザレイ国に居た」
この日記の内容…確証は無いが、
深緑の髪に紫の瞳。双剣を扱えるだけの腕。
あまりにも自分に酷似していると、嫌でも思う。
フィル「……みんなには言わないの?」
フィルが休んでいる皆の方を一瞬見て、問いかける。
セラフ「僕自身、確信が持ててから話したい。
……もう少しだけ時間をくれ」
フィル「うん、わかった。セラフが話すまでワタシも黙ってるよ」
セラフ「助かる」
劣化が酷く、とぎれとぎれ、飛び飛びのその日記を、
セラフは持って行くことにした。
セラフ「みんな、休憩は終わりだ」
フィル「そろそろ探索再開しよう?」
そう声をかけると、次々に立ち上がった。
レイド「……そうだな」
ラヴィア「結構休みましたからね」
アイギス「ここから玉座の間へはどうやって行くべきか…」
蔓だらけで道がはっきりしないのが厄介だ。
セラフ「……ここから二階へ上がってほしい」
リティア「セラフ?」
セラフ「上がったら、僕が指示する。
瓦礫が邪魔してる場合はクレイドに頼んでいいか?」
クレイド「指示って…分かるのか? 障害物は任せてくれていいけど」
セラフ「ああ…多分な」
多分って…でも、ここはセラフに懸けてみよう。
エレシー「蔓が邪魔だった場合は私が燃やすわ」
セラフ「…じゃあ、行こう」
………ビレスの言ってた事…か。
自分の、幼少期……自分の最初の記憶…フェザレイにいた時以前の記憶…
ここに、あるのか?
忘れられた城に来たセラフ達。
リティア「……これが……」
レイド「元々城だった…って言うのか…」
クレイド「酷い、様だな………」
見あげた建物は、名の通り、蔓で覆われていて、
恐らく内部も崩壊だらけだろう。
ラヴィア「……この島も、この城も…寂しい場所…」
エレシー「呪われた城…ね」
蔓がここまで覆い尽くしたのは、放置されたからか、
そういう技を使う奴でも攻めて来ていたのか……
リティア「…フィル、ディアルトの魔力、感じる?」
フィル「うん…居るよ。ここに」
待っているのか…
アイギス「にしても、この城の王族は…全員亡くなった…んだろうな」
セラフ「…………」
アイギス「……セラフ?」
セラフ「あ、ああ…すまない。行こう」
セラフの様子がおかしいような…気のせいか?
セラフ(……そう言えば、僕は…幼少期の事を何一つ覚えていない…
それこそ、崖から落ちる前からずっとだ…)
ビレス『何を知っても動揺しないでね』
………ビレスの発言が気になる。
動揺するなって…どういう意味なんだ…?
とりあえず内部に入って探索を始める。
ディアルトがいるとしたら、元玉座だろうが、
崩壊が酷くて行ける方向を探すのも一苦労だ。
リティア「……うーん……うーん……」
フィル「リティア?」
レイド「大丈夫か?」
リティアがずっと何か悩んでいる。ここに入ってから。
エレシー「……ディアルトの事ね?」
リティア「うん…大体は思い出してるけど、全部思い出してない。
ディアルトとの思い出も、私の想いも、彼の想いも…
大体じゃ駄目なの…私は、ディアルトの事、
全部思い出すって約束したから…」
・・・・・・・・
セラフ「……決着をつけるだけだ。殺すかどうかは別問題だよな?」
アイギス「まあ、そうだな。甘い気がするが…」
ラヴィア「…そうですよ…リティアさんとちゃんと話す時間をあげたい…」
リティア「みんな……」
ディアルトには確かに恩がある。
向こうの意思にもよるが…
クレイド「あいつは一発殴らないと気が済まないが、
本気でリティアの事想ってるって言うなら、俺だって情けぐらいかける」
セラフ「…善処はする。約束はできない。だが…
どうにかなれば、ディアルトとの決着の後、ちゃんと話せ」
リティア「うん……ありがとう」
しばらく歩いていると、
瓦礫に埋もれてはいたが、図書室が見えた。
エレシー「……部屋自体はまだ崩壊が少ないわね…」
フィル「少し休んでいく?」
入り口が瓦礫で塞がれてる。
クレイド「よし、任せて…裂懐蹴!」
クレイドが蹴りで瓦礫を壊してしまった…
アイギス「………手荒な;;;」
リティア「前も、壊した事あったよね」
まじか…というような表情でアイギスが見る。
クレイド「休むんだよな!? 多少の破壊は許してくれ!」
レイド「騒いでいないで、少し休むぞ。
俺達は割と急いでるんだからな」
ラヴィア「そうですね…回復ぐらいはしておきましょうか」
魔物の巣窟と化していたので、ダメージは受けていた。
図書室の中の本棚も、色々倒れていたし、本も劣化がほとんど。
でも、セラフはその中で、読めそうな物を手に取ってみていた。
フィル「セラフ。休まないの?」
セラフ「僕は、まだ大丈夫だ……」
フィルへの返事も少し上の空な感じ。
何を読んでるんだろうと、フィルが覗き込んでみると……
それは、この国の日記?のようなものだった。
「火聖月 男児が誕生。
深緑色の髪に紫の瞳。この子は母似のようだ。
将来とんでもなく美人になるだろう」
数年後……
「風聖月 この子は剣の扱いがとてもうまい。
幼いながらに既に剣を片手で裁ける。
もう少し成長したら、双剣を持たせるのもありかもしれん」
「闇聖月 襲撃を受けた。我が国の王子はフェザレイに預けた。
時間が無い。私達の命はこの国と共に尽きるだろう。
せめて、この国が存在した事を最後に日記に残す。
あの子がどうか、無事に生き延びる事を…」
フィル「……セラフ……まさか……」
セラフ「……僕は、空白の時間がある。それは幼少期の記憶だ。
気が付いた時には、僕はフェザレイ国に居た」
この日記の内容…確証は無いが、
深緑の髪に紫の瞳。双剣を扱えるだけの腕。
あまりにも自分に酷似していると、嫌でも思う。
フィル「……みんなには言わないの?」
フィルが休んでいる皆の方を一瞬見て、問いかける。
セラフ「僕自身、確信が持ててから話したい。
……もう少しだけ時間をくれ」
フィル「うん、わかった。セラフが話すまでワタシも黙ってるよ」
セラフ「助かる」
劣化が酷く、とぎれとぎれ、飛び飛びのその日記を、
セラフは持って行くことにした。
セラフ「みんな、休憩は終わりだ」
フィル「そろそろ探索再開しよう?」
そう声をかけると、次々に立ち上がった。
レイド「……そうだな」
ラヴィア「結構休みましたからね」
アイギス「ここから玉座の間へはどうやって行くべきか…」
蔓だらけで道がはっきりしないのが厄介だ。
セラフ「……ここから二階へ上がってほしい」
リティア「セラフ?」
セラフ「上がったら、僕が指示する。
瓦礫が邪魔してる場合はクレイドに頼んでいいか?」
クレイド「指示って…分かるのか? 障害物は任せてくれていいけど」
セラフ「ああ…多分な」
多分って…でも、ここはセラフに懸けてみよう。
エレシー「蔓が邪魔だった場合は私が燃やすわ」
セラフ「…じゃあ、行こう」
………ビレスの言ってた事…か。
自分の、幼少期……自分の最初の記憶…フェザレイにいた時以前の記憶…
ここに、あるのか?
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