堕天使の黙示録-アポカリプス-

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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運命は自分で…

堕天使の黙示録-アポカリプス- 106話

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見た目を変えたダゼイン相手に、セラフ一人で粘っていたが、

圧倒的にこちらが不利だった。

たかだか二発ぐらいで膝をつかされたのだ。

その後も立ち上がったが、一撃で潰される始末。

セラフ「ぐっ…はあっ…は…っ」

ダゼイン「何度立ち上がっても同じだ。貴様では私に勝てない」

セラフ「ま、だ…僕は、やれる…!」

そう言って立ち上がるが、病で一撃飛んできてまた倒れた。

ダゼイン「一撃でやられる状態で、その発言はただの虚言だ」

セラフ「くっ……」

・・・・・・・・・

ダゼイン「私達に協力するメリットはかなりあるぞ。

貴様は今のエディレスの状態を知らないから刃向える」

セラフ「何を……」

ダゼイン「例えば貴様の親友…アージェのこと」

アージェ…!?

セラフ「あいつに…何かあったのか…!? …まさか、死者蘇生なんて言わない、よな!?」

さすがにそれはどうかと思う。どんな形であれ歪な形になりかねない。

ダゼイン「安心しろ、アージェは死んではいない。エデンへ魂が送られていないからな。

ただ、あいつを救いたいのなら、運命操作に同意した方が身のためだぞ」

セラフ「どういう…ことだ」

ダゼイン「アージェの運命を変えないと、

貴様にとってもあいつにとっても地獄を見る事になるという話だ」

………なにか、よくない事が起きているのだけは分かる。だが……

ダゼイン「リティアとディアルトが平和に暮らせるよう、運命を操作する事も可能だが?

エレシーとトランスが普通に暮らせるようにすることも。

アイギスのゼフィルに敗れた際のトラウマを消し去る事も可能だ」

セラフ「なっ……」

それは…心を操作する形で…?

ダゼイン「それから、フィルというやつ」

!?

ダゼイン「普通にしているが、父と国民の死は応えている事だろう。

その悲しみを取り払い、至極元気で過ごさせる事もできる。

レイド、ラヴィアの兄妹も、同族が滅んだ悲しみを捨てられる。

クレイドの両親を失った悲しみもだ」

セラフ「………っ!!」

…心の操作…運命操作…それと引き換えに与えられるのが、仲間の平穏…?

ダゼイン「結果として運命操作に加担する事になるし、

私の罪に気付いたエデンの者共は消し去る事になるが、どうする?」

・・・・・・・・・・・・

仲間の平穏を僕個人の意見で潰す資格はない。

けれど……

セラフ(あいつらが……誰かを犠牲にした幸せを望むか…?)

結果として、エデンは滅ぶ。そうなると……

セラフ「こ……断る。あ…あいつらが、そんなの望まない…」

ダゼイン「……仲間の平穏を貴様の独断で奪うか」

セラフ「あいつらの覚悟や心は、ゴミを捨てるかのように

変えられたり奪われたりして良いものじゃない!

お前の計画に加担なんかするか! エデンの人達にも、散々世話になったんだ!」


そう言い放った瞬間……

??????「よく言った、セラフ!」

一閃、背後から走ってきた人がダゼインを斬りつけた。

ダゼイン「なっ!?」

セラフ「……ゼルシェード…!」

ゲンレイ「攻撃は俺達に任せろと言ったはずだ…」

フェイルス「ゼルシェードは変に魔力使うなよー!!」

ゲンレイとフェイルスまで……

セラフ「……ブロードとファーナは?」

フェイルス「あの二人はエデンの人の避難と、エデン内に現れた魔物の駆除だよ」

ゲンレイ「あとはセレスティアの救助だ」

セレスティア…ダゼインに捕まってたのか。だからここに居なかった…

ゼルシェード「それに、来たのは俺達だけじゃないぞ」

え……

????「魔を呼び覚ませ…スピリットエコー!」

強化魔法?

ラヴィア「私はお兄ちゃんと今一緒に居られて、十分幸せです…!」

セラフ「ラヴィア!」

次にセラフの真横を横切った人影。

アイギス「水面裂戒!」

セラフ「アイギス……」

アイギス「自分の落ち度だ。神魔騎士への恐怖心は、自分の手で断ち切る!」

………

エレシー「打ち付けろ…ブレイズスフェラ!」

レイド「ラピッドアンダンテ!」

セラフ「エレシー、レイド!」

エレシー「トランスがあんな事になったのはあんたのせいよ!」

レイド「ダークエルフ狩りだってそうだ。そんな奴からの救いなどいらん!」

二人とも……

ダゼイン「ぐっ…斬り裂け…スペースゼロ!」

クレイド「させるか…! 守れ…アースメタル!」

リティア「視界を奪え…ウィンドミスト!」

ダゼインの技をクレイドが防いで、リティアが目くらましをかけてくれた。

クレイド「悲しみを無くすって!? それは、両親の死を笑って流せることにするって事なんだよ!!」

リティア「私はディアルトと真っ当に向き合いたい! 心を変えられて和解したって、意味ないの!」

セラフ「……クレイド、リティア…」

フィル「癒しよ…ヒールドロップ!」

いつの間にか隣に来ていたフィルが回復魔法をかけてくれた。

セラフ「フィル…」

フィル「ありがとう、セラフ。私達のために悩んでくれて。

そして、私達のために言い返してくれて…」

セラフ「よかったのか? ベイゼア王を、国民をほぼ殺された悲しみは癒えていないんだろう?

お前達には背負わせない。僕だけ罪を背負えば……」

フィル「大事な人の死を悲しめない心なんていらないよ。

それに私はもう救われてる。私の幸せは、セラフの傍にいる事なの。

悲しみのある世界でも、セラフと一緒に生きていたい。

セラフが罪を背負うなら、私も背負う。……だから」

リティアの目くらましが晴れると同時にダゼインの方へ向き直る。

フィル「貴方の企みは阻止させてもらうわ、ダゼイン! ファーレンレイフ!」

ダゼイン「っかはっ!?」

直撃。……みんな、本当に……


ダゼイン「は、は…よくも…こうなれば…エデンごと全員滅しろ!!」

そう言うと頭上に大きな魔法陣が描かれはじめた。

フェイルス「なにあれ!?」

ダゼイン「この魔法陣が完成するとエデンにいる者を消滅させる。

せいぜい怯えるといい!」

ゲンレイ「貴様!」

ゼルシェード「セラフ達、こいつを倒せ。

……フェイルス、ゲンレイ、魔方陣を止めるぞ」

ゼルシェードの指示にゲンレイとフェイルスは黙ってうなずいた。

フェイルス「僕達はこっちで忙しい。加勢はできない」

ゲンレイ「邪魔されたら困る。お前達はダゼインを討て。

魔方陣形成のためにこいつは力を消耗している。破壊できればトドメも可能だろう」

・・・・・・・・・

そういうことなら、やるしかない。

ダゼイン「無駄だ! 魔法陣形成に力を奪われていようと、只人相手には十分!」

セラフ「………こうなったら、僕達は負けない」

フィル「うん、そうだよ。…恋する女の子は、神にさえ届くんだから!」
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