堕天使の黙示録-アポカリプス-

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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神龍剣

堕天使の黙示録-アポカリプス- 57話

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何が何だか分からないが、

セラフとアイギスに何らかの因縁がある事だけは分かった。

真っ先にセラフがアイギスの剣に刃を打ち付ける。

アイギス「随分…剣が重くなったな!?」

セラフ「激戦続きだからな…こっちは!」

一度距離を置いたかと思えば、また斬り合う。

セラフ「そっちはそっちで…

心を入れ替える事もせず、堕ちるだけ堕ちたとはな!」

アイギス「その堕ちた力で…貴様は負けるんだよ、セラフ!」

フィル達も攻撃したいのだが、セラフの動きが今までで一番早くて、

下手を打つとセラフに当たってしまいそうでできない。

レイド「フィル…こいつに、覚えでもあるか?」

フィル「……」

ノイズ

フィル「私…は…」

ノイズ


フィレーア『貴方はこの世界がいつか滅びると?

そしてその滅亡を貴方は救えると言っているみたいね』

アイギス『救えますとも、フィレーア王女。

たった一人の犠牲があれば……』


その犠牲とは…自分の事だ。アイギスは私に死ねと言っていた?

違う…でも、違わない…私の為では…なくて…

レイド「フィル?」

フィル「だ、大丈夫…」

剣戟音。

フィル「!!」

まだ戦っている。

アイギス「結果的に、フィレーア王女を護るという事に変わりはない!

殺神が復活しない限り、セイヴェールに狙われ続けるのなら、

貴様の国の王女を寄越せ! 代わりに贄にする!」

セラフ「その滅んだ世で戦い続けるか!? フィルを庇いながら!

それが自己満足だと言っている! 以前も、言ったはずだ!」

フィル「………」

(アイギスは…私を犠牲にしない代わりに、アシュレイ王女を犠牲にしようとした…の?

そして、滅んだ世で永遠に戦い続けることを選んだ…

そして、多分セラフは……私も、世界も、アシュレイ王女も護ろうとしている……)

アイギス「世界でも取るか!? アシュレイ王女を取るか!?

その為にどうしなければならないか、知らないわけでは…」

セラフ「全て取る!

フィルに「世界を滅ぼさせてしまった」という罪を、背負わせはしない!

アシュレイ王女に、永遠の苦しみを与えさせはしない!」

平行線だ。けれど…

レイド(フィルは…セラフを選ぶな…これは…)

今、聞いただけでも分かる。

「愛する」の意味を、アイギスははき違えている。

フィルが自分が招いた破滅を望むわけがない。

そして、ルーリエからは言われている。

贄を受け入れても受け入れなくても殺神は復活させる。

けれど、自分から望んだなら、国民だけは守ると。

どちらにせよ誰かしらは死んでしまう。

ならせめて国民だけはと苦肉の策だった。

それを、全部護ると言い切ったセラフにつくのは必然だろう。

たとえ、方法に確証がないとしても。

アイギス「飲み込め! ノアールウェイブ!!」

水…?

セラフ「! 水なら…落ち狂え……っ!?」

雷なら相性がいいと、放とうとしたが、寸前で魔法をひっこめて避けた。

フィル「セラフ!!」

レイド「どうした!?」

フィルとレイドが駆け寄ってきた。

セラフ「水じゃない…あの属性は…?」

アイギス「よく躱したな。

雷が得意な貴様に水で挑む愚をするわけがないだろう。

今の属性は悪属性。悪魔が持つ属性だ」

悪魔と契約したから…アイギスも使えるのか…

セラフ「ぐっ…!」

フィル「セラフ! …あっ! さっき…」

セラフは魔法を無理に引っ込めた。


セラフ『魔法は発動後に無理に引っ込めると人体に影響がある。

エレシーの魔法は火。影響は火傷になる。

これは、恐らくその日、魔法をひっこめた時のものだ』


レイド「雷の魔法をひっこめたから…腕、麻痺してるんだろう!?」

セラフ「平気…だ、このぐらい…っ」

アイギス「…麻痺、治してやるよ、その腕切り落とす事で!」


セラフ『僕が守る。世界中の、何者からも』


フィル「ファーレンレイフ!」

フィルが堕天使の力を振るってアイギスの攻撃を阻んだ。

アイギス「フィレーア…王女…!?」

フィル「…セラフは…私を守るって言ってくれた。

そのうえ、私に罪を背負わせないとも言ってくれた…

護られるばかりは嫌…腕一本でも、誰にも渡さない…!」

セラフ「フィ、ル…」

しばらく黙り込んでいたアイギスだったが、

アイギス「…護る者を決めないと、何も守れなくなるぞ。

フィレーア様を守るのは、元とはいえセイヴェールの騎士の俺だ。

貴様は貴様の国の王女でも守っていろ」

そう言って転移して行った。

レイド「最愛のフィルに拒絶されたのが応えたか?」

セラフ「……っ」

フィル「! セラフ! セラフ!!」

レイド「気を失ったか」

サフィオ「ここで休ませておけ…フィルは麻痺の解除を頼めるか?」

攻撃を受け続けて疲弊していたサフィオが

ようやく動けるようになったようだ。

フィル「は、はい!」

レイド(……まただ。フィルの堕天使の力は誰かを守りたいと思った時…

とくに、セラフが危機に瀕した時に発生しやすい…

これを、敵に利用されなければ良いが……)

取りあえず今は、サフィオの厚意に甘えて、休ませてもらう事にした。

セラフからも聞く事がある。

あと、神龍剣も受け取らなければ…
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