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神龍剣
堕天使の黙示録-アポカリプス- 53話
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プルルス神龍殿内部。
フィル「すごい殺風景……洞窟みたい」
セラフ「神殿よりかは、そっちだな」
地割れとか起きて、分断されなければ良いんだが……
リティア「……魔物! ウィンドアロー!」
暗いから魔物の居場所も分かりにくいな!
リティア「私なら、わずかな風にも気付けるから…」
エレシー「それにここだとリティアの風属性は敵に有効ね」
プルルス神龍殿は神竜も土属性だろう。
フィル「風よ、踊れ…スパイラルエア!」
フィルも使えるんだったな。
セラフ「僕とレイドは闇属性で応戦するか」
レイド「そうだな」
……何か音が聞こえる。……突如、波動が通り抜けた。
クレイド「……!! セラフ! 下!!」
セラフ「なっ!?」
ちょうどセラフの立っていた場所が今の波動で地割れを起こした。
フィル「セラフ!!」
駄目だ…と思ったが、幸いにも落ちていない。
誰かに腕を掴まれたようだ。
セラフ「…あ……」
????「大丈夫? …よっと…!」
引き上げてくれたのは、あの時雪山で助けてくれた人だった。
セラフ「お前…」
フィル「知り合い?」
セラフ「雪山で僕達を助けてくれた奴だ。
名前…聞く前に気を失ったけどな…」
クレイド(…なんか、ゼフィルに似てないか?)
クレイドの訝し気な顔にセラフも気づいた。
セフィオ「僕の名前はセフィオ。よろしくね」
エレシー「よ、よろしく…」
リティア「ありがとう…セラフの事助けてくれて」
セフィオ「ううん、いいんだ。
ところで、僕も君達について行っていいかな」
フィル「え?」
唐突だったが、何か企んでいるようにも見えないんだよな。
レイド「なんでだ?」
セフィオ「ちょっと、君達に話したい事があってさ。
でも、その…僕もあんまり時間が無いから、歩きながら話そうかなって」
クレイド「…セラフに任せるよ。一応俺達は以前に助けられてるみたいだし」
セラフ「……わかった。ただ、足は引っ張るなよ。」
セフィオ「ありがとう。大丈夫、戦闘の時は後ろに下がってるから」
おい、戦えないのか。
セフィオ「回復はできるから任せて」
あの時も回復魔法を使ってたな。…一応、話は聞いてみるか。
道中、セフィオに話を聞いてみると…
セフィオ「まず…あの雪山での事。
本当に、兄さんがごめん」
フィル「兄さんって?」
セフィオ「ゼフィル兄さんだよ」
……!? いきなり爆弾投下された気分だ。
クレイド「あいつの!?」
セフィオ「うん…みんなは、ゼフィル兄さんについてどこまで知ってる?」
セラフ「…あいつが天使で、堕とされたというのは聞いた」
セフィオ「そこまで知ってるなら早いや。
僕と兄さんはエデンにいた。若くして死んじゃってね。
親に二人して見捨てられたんだ」
………
セフィオ「僕は良かったんだ。酷い終わり方だったけど、
僕らは耐えて、最期が来るまで必死に生きてたおかげで、
創造神様に魂を拾って、天使にしてもらえたんだから。
でも……」
セフィオの表情が曇った。
セフィオ「兄さんは、許さなかった、現界を。
もともと狡猾なタイプだった兄さんは、
天使のお偉いさんを丸め込んで仲間を増やし、創造神に意見して、無理に通したり、
世界の管理に飽きた管理神の側近に接触し、運命を捻じ曲げさせたり、
好き勝手やってしまった……」
悪かったのは親で、世界じゃない。
無関係の人を巻き込んだ大きな罪だとセフィオは話した。
レイド「それで、堕とされたのか」
セフィオ「ううん、決め手は別。僕だよ。
僕は、兄さんを止めようとしてた。けど、うざくなったのかな。
兄さんは禁忌、研究、実験を主な仕事としていた上級天使を言いくるめて、
僕を兄さんの一つの人格として取り込んだ」
エレシー「人格!? ってことは、まさか」
セフィオがうなずく。
セフィオ「今の僕は、兄さんの交代してる状態。
さっき時間が無いって言ったのは、いつ兄さんに変わってしまうか分からないから」
それが禁忌すぎると…堕とされたわけか。
セフィオ「そして兄さんにはエデンへの報復も追加されてしまった。
兄さんはセイヴェールの騎士になって…
同じ騎士のルーリエさん、メフィリアさんに声をかけて神魔騎士を影で存在させた」
影か。やっぱり表沙汰にはしていないみたいだな。
城下町の奴らが知らないのもそれだ。……ディアルトは?
リティア「ディアルトは…その時居なかったの?」
セフィオ「居たよ。ディアルトさんはルーリエさんが誘ったんだ。
………ある脅しをしてね」
リティア「脅されてるの!?」
それにセフィオは答えない。言うとそれこそディアルトが危険になりかねない。
なにより……
セフィオ「君達の前でそれを話すと、きっと自分を追い詰めてしまう人がいるんだ…」
クレイド「どういう……」
と言っても、答えてくれないだろう。
セフィオ「そうだ、それより、大事な事! 実は…っ!?」
セラフ「セフィオ!?」
頭を押さえてしまった…頭痛か?
セフィオ「ごめん…時間ない…っみんな、神魔騎士に…気を付けて…!」
フィル「な、何かあったの?」
セフィオ「お願い、何があっても、何を言われても、僕を…必ず殺して!!」
それだけ言って転移してしまった。
レイド「ゼフィルが出てきそうだったんだろうな…」
エレシー「うん…そうだと思う」
・・・・・・
リティア「ねえ…聞こえた?」
クレイド「転移の音に紛れて言ってたな…」
セラフ「………馬鹿か……僕達は、お前に前も、今も、助けられたんだぞ…」
セフィオ『僕達は、今生きていること自体が歪なんだ…!』
フィル「すごい殺風景……洞窟みたい」
セラフ「神殿よりかは、そっちだな」
地割れとか起きて、分断されなければ良いんだが……
リティア「……魔物! ウィンドアロー!」
暗いから魔物の居場所も分かりにくいな!
リティア「私なら、わずかな風にも気付けるから…」
エレシー「それにここだとリティアの風属性は敵に有効ね」
プルルス神龍殿は神竜も土属性だろう。
フィル「風よ、踊れ…スパイラルエア!」
フィルも使えるんだったな。
セラフ「僕とレイドは闇属性で応戦するか」
レイド「そうだな」
……何か音が聞こえる。……突如、波動が通り抜けた。
クレイド「……!! セラフ! 下!!」
セラフ「なっ!?」
ちょうどセラフの立っていた場所が今の波動で地割れを起こした。
フィル「セラフ!!」
駄目だ…と思ったが、幸いにも落ちていない。
誰かに腕を掴まれたようだ。
セラフ「…あ……」
????「大丈夫? …よっと…!」
引き上げてくれたのは、あの時雪山で助けてくれた人だった。
セラフ「お前…」
フィル「知り合い?」
セラフ「雪山で僕達を助けてくれた奴だ。
名前…聞く前に気を失ったけどな…」
クレイド(…なんか、ゼフィルに似てないか?)
クレイドの訝し気な顔にセラフも気づいた。
セフィオ「僕の名前はセフィオ。よろしくね」
エレシー「よ、よろしく…」
リティア「ありがとう…セラフの事助けてくれて」
セフィオ「ううん、いいんだ。
ところで、僕も君達について行っていいかな」
フィル「え?」
唐突だったが、何か企んでいるようにも見えないんだよな。
レイド「なんでだ?」
セフィオ「ちょっと、君達に話したい事があってさ。
でも、その…僕もあんまり時間が無いから、歩きながら話そうかなって」
クレイド「…セラフに任せるよ。一応俺達は以前に助けられてるみたいだし」
セラフ「……わかった。ただ、足は引っ張るなよ。」
セフィオ「ありがとう。大丈夫、戦闘の時は後ろに下がってるから」
おい、戦えないのか。
セフィオ「回復はできるから任せて」
あの時も回復魔法を使ってたな。…一応、話は聞いてみるか。
道中、セフィオに話を聞いてみると…
セフィオ「まず…あの雪山での事。
本当に、兄さんがごめん」
フィル「兄さんって?」
セフィオ「ゼフィル兄さんだよ」
……!? いきなり爆弾投下された気分だ。
クレイド「あいつの!?」
セフィオ「うん…みんなは、ゼフィル兄さんについてどこまで知ってる?」
セラフ「…あいつが天使で、堕とされたというのは聞いた」
セフィオ「そこまで知ってるなら早いや。
僕と兄さんはエデンにいた。若くして死んじゃってね。
親に二人して見捨てられたんだ」
………
セフィオ「僕は良かったんだ。酷い終わり方だったけど、
僕らは耐えて、最期が来るまで必死に生きてたおかげで、
創造神様に魂を拾って、天使にしてもらえたんだから。
でも……」
セフィオの表情が曇った。
セフィオ「兄さんは、許さなかった、現界を。
もともと狡猾なタイプだった兄さんは、
天使のお偉いさんを丸め込んで仲間を増やし、創造神に意見して、無理に通したり、
世界の管理に飽きた管理神の側近に接触し、運命を捻じ曲げさせたり、
好き勝手やってしまった……」
悪かったのは親で、世界じゃない。
無関係の人を巻き込んだ大きな罪だとセフィオは話した。
レイド「それで、堕とされたのか」
セフィオ「ううん、決め手は別。僕だよ。
僕は、兄さんを止めようとしてた。けど、うざくなったのかな。
兄さんは禁忌、研究、実験を主な仕事としていた上級天使を言いくるめて、
僕を兄さんの一つの人格として取り込んだ」
エレシー「人格!? ってことは、まさか」
セフィオがうなずく。
セフィオ「今の僕は、兄さんの交代してる状態。
さっき時間が無いって言ったのは、いつ兄さんに変わってしまうか分からないから」
それが禁忌すぎると…堕とされたわけか。
セフィオ「そして兄さんにはエデンへの報復も追加されてしまった。
兄さんはセイヴェールの騎士になって…
同じ騎士のルーリエさん、メフィリアさんに声をかけて神魔騎士を影で存在させた」
影か。やっぱり表沙汰にはしていないみたいだな。
城下町の奴らが知らないのもそれだ。……ディアルトは?
リティア「ディアルトは…その時居なかったの?」
セフィオ「居たよ。ディアルトさんはルーリエさんが誘ったんだ。
………ある脅しをしてね」
リティア「脅されてるの!?」
それにセフィオは答えない。言うとそれこそディアルトが危険になりかねない。
なにより……
セフィオ「君達の前でそれを話すと、きっと自分を追い詰めてしまう人がいるんだ…」
クレイド「どういう……」
と言っても、答えてくれないだろう。
セフィオ「そうだ、それより、大事な事! 実は…っ!?」
セラフ「セフィオ!?」
頭を押さえてしまった…頭痛か?
セフィオ「ごめん…時間ない…っみんな、神魔騎士に…気を付けて…!」
フィル「な、何かあったの?」
セフィオ「お願い、何があっても、何を言われても、僕を…必ず殺して!!」
それだけ言って転移してしまった。
レイド「ゼフィルが出てきそうだったんだろうな…」
エレシー「うん…そうだと思う」
・・・・・・
リティア「ねえ…聞こえた?」
クレイド「転移の音に紛れて言ってたな…」
セラフ「………馬鹿か……僕達は、お前に前も、今も、助けられたんだぞ…」
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