堕天使の黙示録-アポカリプス-

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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交す約束、果たす約束

堕天使の黙示録-アポカリプス- 34話

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海上。セラフたちはアージェに手配された船に乗っていた。

とはいえ、王に黙って、独断の船。

船員はセラフ達だけ。船の操縦はというと、クレイドが担当していた。

リティア「よく分かるね…? これ、魔導船でしょ?」

そういうとクレイドは手記を渡してきた。

クレイド「これに書いてあった。

以前の俺は、魔導船に興味持って、独学で調べてたみたいだ」

神学者、おそるべし…

賢いのは事実のようだ。

レイド「…お前、船酔いは平気なのか?」

クレイド「自分で操縦してる限りは平気だなぁ。

あと、酔い止めも念のため飲んであるから!」

つくづくクレイドが居てくれて助かるところが多い。

…彼に記憶が戻れば、色々分かるかもな…


一方、フィルとセラフは甲板の後ろの方にいた。

フィル「………」

(私が、セイヴェールの王女なら…私がこのまま逃げ続けていたら…?

私から望んだ形で贄にならないと、国の人は助からない…

誘拐されて、無理に贄にされたら…)


セラフ『僕が守る。世界中の、何者からも』


フィル「セラフ…」

セラフ「呼んだか?」

後ろからセラフが歩いてきた。

フィル「わっ!? び、びっくりした…いたの?」

セラフ「フィル、休んでいなくていいのか?」

フィル「お城で休んでたから大丈夫だよ。

セラフこそ…」

セラフ「素振りしてた」

船内で…?? 魔導船は頑丈って聞くし、

他に人もいないからいいけど。


その時…

?????「闇よ貫け…デッドスピア!!」

セラフ「…! フィル!!」

セラフが咄嗟に前に出て闇魔法を弾く。

クレイド「何があった!?」

その音を聞いて操縦していたクレイドや、リティア、レイドも駆けつけてきた。

フィル「今…闇魔法が…!」

レイド「神魔騎士…!?」

こんな時に来るか……

?????「何か面構えが変わったな!?」

その声と同時に転移で現れた。

リティア「…! ディアルト!!」

フィル「どうしてここに…!?」

ディアルトだった。

ディアルト「リティア…レイドも無事か」

クレイド「何の用だ!」

ディアルト「…癪だが、ゼフィルにお前らを探して来いと言われてな」

ゼフィル…居場所バラしたな…

レイド「ディアルト! ラヴィアは無事か!?」

ディアルト「ああ。それは即答できる。

むしろ以前より元気だ、心配するな」

良かった…本当に守ってくれているようだ。

ディアルト「まあ、それはそれとして、だ。

ここにはお前らしかいないようだし、何もせずに帰るわけにもな」

セラフ「戦うつもりなら、受けて立つ」

ディアルト「はっ…飛翼技奪われたくせに、威勢は良いな!」


互いに武器を構えた途端、今度は船が揺れた。

リティア「な、何…!?」

クレイド「まさか…!」

クレイドとレイドが海面を覗き込む。

黒い、大きな…影???

レイド「触……手?」

ディアルト「…!!! 全員下がれ!!! 海側に立つな!!」

ディアルトに声をかけられて、全員極力船の中央まで下がる。

セラフ「さっき、触手って話してなかったか?」

レイド「話した」

フィル「……それって……」

そこまで言った時、レイドとクレイドが覗き込んでいた側から、

なにか乗り上げてきた。

巨大な…イカ??

セラフ「クラーケン!!」

レイド「いくら魔導船でも、こいつに居座られたら沈むぞ!」

戦うしかないか…

クレイド「リティア! 君は下がってた方が!」

リティア「海に落ちるか、身体が半分沈まなければ平気…」 

…リティアが弾き出されなければ良いな…

フィル「ディアルトと出くわした、こんな時に出てくるなんて…」

ディアルト「……手伝ってやる。速攻でこいつを倒せ!」

……は?

レイド「ディアルト…お前!」

ディアルト「こいつの弱点は雷だ。

俺とセラフなら効率よくダメージが与えられる。

お前らと戦うのはそのあとだ!」

……なんだかよく分からないが、そう言ってくれるに越した事はない。

セラフ「…任せるぞ」

ディアルト「……おう」

リティア「ディアルト…」

……話はここまでだな。あちらは待ってくれないようだ。

全員体勢を立て直して、再度武器を構える。

相手は船乗りが航海を恐れるほどの怪物、クラーケンだ。
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