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聖武器
花と十字架の想い 37話
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魔獣討伐と聖武器捜索のため、
シオンとアイリスとブローディアとリナリアはシヴァの山を登っていた。
もう、みんな町に戻ったのか人の姿は無い。
が、あちこちに魔獣に襲われたときのものと思われる血痕が残っていた。
アイリス「…綺麗な雪なのに…」
シオン「…魔獣だとしたら、魔獣使いが…ジェイドが絡んでいるかもしれない…
くれぐれも気をつけよう」
いるはずの弱い魔物もいない…
その強い魔物に恐れをなしてどこかへ隠れたのかもしれない。
中腹辺りまで歩いてきたとき…
ブローディア「な、なに!?」
急に地震が起きた。それと、魔物の声も。
リナリア「あ、あれ!!」
シオン「危ない! 避けろ!」
シオン、リナリアは山頂方面へ。アイリス、ブローディアは下山方面へ避けた。
町の人が言っていたものと思われる魔獣が、その間に飛びこんできたため、
二手に分かれることになってしまった。
シオン「サソリ型の…ああ、やっぱりそうだ、こいつは魔獣だ!」
シオンが武器を構える。
ブローディア「シオン、リナリア! 2人は聖武器探しをして!」
アイリス「この魔獣は、私たちで何とかするから…!」
ブローディアとアイリスが攻撃して魔獣の注意を引く。
シオン「けど…!」
アイリス「魔獣は人を襲わない…それが襲ってくるってことは、
魔獣使いが絡んでるかもしれない…ジェイドがここにいる理由っていったら、
聖武器を探しているとしか思えない…!」
ブローディア「奪われたら元も子もない! 行って!!」
少し躊躇ったが、アイリスたちの言うことも一理ある。
シオン「…わかった。2人とも、死ぬなよ!」
リナリア「無事でいてね!」
アイリスとブローディアが魔獣をひきつけている間に、
シオンとリナリアは山頂のほうへと走り出した。
その頃、山頂に向かって先に歩いていたジェイドのほうでは…
ジェイド「……!」
(魔獣にルシファーの攻撃が当たった…か…)
「…シオン、お前も来ているんだろうな、ここに…!」
その頃、必死に魔獣と戦っていたアイリスとブローディア。
でも、近づかれたら厳しい上に、ブローディアは詠唱が必要なため
接近戦タイプがいない中での戦いはかなり苦しかった。
ブローディア「アイリス! もし危なくなったら、アイリスだけでも逃げて!」
アイリス「そんなことできない…!」
ブローディア「私には、アイリスを守る役目が…!」
(あれ…なんで私、ここまでアイリスのこと守らないと…って思うんだろう…)
ふと浮かぶ疑問…その瞬間頭痛が走り立ちすくんだ。そこを魔獣の尻尾が狙ってくる。
アイリス「ブローディア!」
ブローディア「……っ!!」
咄嗟に目をつぶった。…が、痛みはない。
ブローディア「……っ!!」
カルビの防衛魔法…精霊の持つ力の1つだ。けれど……
ブローディア「カルビ!?
それはあなたの体に負荷がかかりすぎるから、禁止だって言ったでしょ…!?」
カルビ「僕は…ブローディアに命を助けてもらったルビ…
恩返しするためなら、なんだってするルビ!」
アイリスがブローディアの側に駆け寄った。
アイリス「ブローディア…今の内に倒そう…今なら…一方的に攻撃できる…」
ブローディア「……そうだね…カルビ、すぐに倒して魔法止めさせてあげるから!」
頭痛もだいぶ治まってきて、ブローディアも立ち上がる。
ブローディア「詠唱している間、アイリス、少しでもダメージをあたえて…!」
アイリス「わかった…! …やっ…はっ…レインショット!!」
2発の攻撃に加え、無数の矢が魔獣に降り注いだ。その間にブローディアは詠唱を終え…
ブローディア「悪しき者…深淵へ墜ちろ…! タルタロス…!!」
闇属性魔法が魔獣を包み込んだ。光が消えた時には魔獣はぐたりとその場に崩れ落ちた。
アイリス「た、倒した…?」
カルビ「………ルビ……」
カルビが魔力の消耗のし過ぎでその場に倒れた。
ブローディア「カルビ!!」
慌てて駆け寄り抱き上げる。
アイリス「ブローディア…あとは平気だから、先に宿に戻ってあげて?」
ブローディア「でも……」
アイリス「お願い。私なら大丈夫だから…」
ブローディア「わかった…シオンたちの事はお願い」
アイリスに説得され、山を下りていくことにした。カルビの疲弊もひどかったから…。
アイリス(…シオン、今行くね…無事でいて…)
その頃、ジェイドは山頂にいた。
ジェイド「やっぱり山頂にあったか…」
山頂にあったのは白い箱。ジェイドがそれを開けると中には淡い紫色の刀が入っていた。
ジェイド「これが聖武器か…チッ…探すのに手間取るな、これは…
あとはこれを魔武器に変えれば…」
ジェイドがそれを手にとった。そして魔武器に変えるための詠唱をしようとしたとき…
シオン「ジェイド!! それを渡せ!!」
背後から聞こえたのは、宿敵の声。
ジェイド「来たな…シオン!!」
話し合いの余地なし。その言葉を合図にしたように、両者が剣を抜いた。
シオンとアイリスとブローディアとリナリアはシヴァの山を登っていた。
もう、みんな町に戻ったのか人の姿は無い。
が、あちこちに魔獣に襲われたときのものと思われる血痕が残っていた。
アイリス「…綺麗な雪なのに…」
シオン「…魔獣だとしたら、魔獣使いが…ジェイドが絡んでいるかもしれない…
くれぐれも気をつけよう」
いるはずの弱い魔物もいない…
その強い魔物に恐れをなしてどこかへ隠れたのかもしれない。
中腹辺りまで歩いてきたとき…
ブローディア「な、なに!?」
急に地震が起きた。それと、魔物の声も。
リナリア「あ、あれ!!」
シオン「危ない! 避けろ!」
シオン、リナリアは山頂方面へ。アイリス、ブローディアは下山方面へ避けた。
町の人が言っていたものと思われる魔獣が、その間に飛びこんできたため、
二手に分かれることになってしまった。
シオン「サソリ型の…ああ、やっぱりそうだ、こいつは魔獣だ!」
シオンが武器を構える。
ブローディア「シオン、リナリア! 2人は聖武器探しをして!」
アイリス「この魔獣は、私たちで何とかするから…!」
ブローディアとアイリスが攻撃して魔獣の注意を引く。
シオン「けど…!」
アイリス「魔獣は人を襲わない…それが襲ってくるってことは、
魔獣使いが絡んでるかもしれない…ジェイドがここにいる理由っていったら、
聖武器を探しているとしか思えない…!」
ブローディア「奪われたら元も子もない! 行って!!」
少し躊躇ったが、アイリスたちの言うことも一理ある。
シオン「…わかった。2人とも、死ぬなよ!」
リナリア「無事でいてね!」
アイリスとブローディアが魔獣をひきつけている間に、
シオンとリナリアは山頂のほうへと走り出した。
その頃、山頂に向かって先に歩いていたジェイドのほうでは…
ジェイド「……!」
(魔獣にルシファーの攻撃が当たった…か…)
「…シオン、お前も来ているんだろうな、ここに…!」
その頃、必死に魔獣と戦っていたアイリスとブローディア。
でも、近づかれたら厳しい上に、ブローディアは詠唱が必要なため
接近戦タイプがいない中での戦いはかなり苦しかった。
ブローディア「アイリス! もし危なくなったら、アイリスだけでも逃げて!」
アイリス「そんなことできない…!」
ブローディア「私には、アイリスを守る役目が…!」
(あれ…なんで私、ここまでアイリスのこと守らないと…って思うんだろう…)
ふと浮かぶ疑問…その瞬間頭痛が走り立ちすくんだ。そこを魔獣の尻尾が狙ってくる。
アイリス「ブローディア!」
ブローディア「……っ!!」
咄嗟に目をつぶった。…が、痛みはない。
ブローディア「……っ!!」
カルビの防衛魔法…精霊の持つ力の1つだ。けれど……
ブローディア「カルビ!?
それはあなたの体に負荷がかかりすぎるから、禁止だって言ったでしょ…!?」
カルビ「僕は…ブローディアに命を助けてもらったルビ…
恩返しするためなら、なんだってするルビ!」
アイリスがブローディアの側に駆け寄った。
アイリス「ブローディア…今の内に倒そう…今なら…一方的に攻撃できる…」
ブローディア「……そうだね…カルビ、すぐに倒して魔法止めさせてあげるから!」
頭痛もだいぶ治まってきて、ブローディアも立ち上がる。
ブローディア「詠唱している間、アイリス、少しでもダメージをあたえて…!」
アイリス「わかった…! …やっ…はっ…レインショット!!」
2発の攻撃に加え、無数の矢が魔獣に降り注いだ。その間にブローディアは詠唱を終え…
ブローディア「悪しき者…深淵へ墜ちろ…! タルタロス…!!」
闇属性魔法が魔獣を包み込んだ。光が消えた時には魔獣はぐたりとその場に崩れ落ちた。
アイリス「た、倒した…?」
カルビ「………ルビ……」
カルビが魔力の消耗のし過ぎでその場に倒れた。
ブローディア「カルビ!!」
慌てて駆け寄り抱き上げる。
アイリス「ブローディア…あとは平気だから、先に宿に戻ってあげて?」
ブローディア「でも……」
アイリス「お願い。私なら大丈夫だから…」
ブローディア「わかった…シオンたちの事はお願い」
アイリスに説得され、山を下りていくことにした。カルビの疲弊もひどかったから…。
アイリス(…シオン、今行くね…無事でいて…)
その頃、ジェイドは山頂にいた。
ジェイド「やっぱり山頂にあったか…」
山頂にあったのは白い箱。ジェイドがそれを開けると中には淡い紫色の刀が入っていた。
ジェイド「これが聖武器か…チッ…探すのに手間取るな、これは…
あとはこれを魔武器に変えれば…」
ジェイドがそれを手にとった。そして魔武器に変えるための詠唱をしようとしたとき…
シオン「ジェイド!! それを渡せ!!」
背後から聞こえたのは、宿敵の声。
ジェイド「来たな…シオン!!」
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