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過去と現在は手を取り合って
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 97話
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ゼニス「……ゼファ…」
決着がついた。
もうこれ以上やってもゼファの身が持たない。
ゼニス「よし、水晶を壊そう」
ゼファ「…あ、諦めるわけには…いかないんだ…っ。民が待ってる…!」
よろけながらも、こちらに歩いてこようとする。
サルファー「もうやめてください!?」
パリス「無茶です…!」
ビオレ「あんたね…自分を犠牲にする事に何の意味があるのよ!」
ゼファ「…これは、我の責任…で…! …やめろ…クレセディアを奪うな…!」
途中で膝をっいた。
エルブ「陛下…もう、いいんですよ。」
ソレイユ「いい加減、未来を歩いて」
ゼニス「……認めなよ、ゼファ。…クレセディアは、滅んだんだ」
ゼファ「!!」
バッサリ言い切ったせいか、ゼファの動きが止まった。
ここまで言わないと、ゼファは無理をしてしまうだろう。
フロスティたちのためにも、死なせるわけにはいかない。
ゼファ「…………我は……」
ゼニスが水晶に近付こうとした時、異変が起きた。
???「デスウィンド!」
ゼファ「がっ!?」
ゼファが弾き飛ばされた。
というよりも…!? この技は…
エルブ「陛下!!」
慌ててエルブが駆け寄る。
ゼファ「う…」
良かった、まだ息はある。
???「仕留め損ねたわね…まあどうせ死ぬからいいわ」
その声とともに姿を見せたのは…
ソレイユ「な、何で…」
パリス「あの時確か…っ」
サルファー「……生きて、居たのですか」
ビオレ「だって…」
エルブ「………ふざけるな…」
ゼニス「何でお前がいる! ベレイザ!!」
あの時研究所で倒したはずのベレイザだ。
どうして……
ベレイザ「倒したと思った? 残念。
直前で転移しただけよ。ダメージ自体は大きかったから、回復に時間は掛かったけどね」
ゼファ「き、貴様は…!」
ゼニス「お前の事は一度倒している! 僕らに勝てると思うな!」
そういってもベレイザは余裕そう。なぜ…一度負けているのに。
ベレイザ「ここにいいものがあるものでね。」
後ろを振り返る。
ベレイザの後ろには大罪を溜めた水晶がある。
ソレイユ「まさか……」
ビオレ「ちょっと、何する気!?」
ベレイザ「他の人間や紙が使うと大罪に耐えきれないけど、
堕ちた私が使う分には問題ないのよ。大罪に耐性があるから」
躊躇いなくその水晶に触れる。
その瞬間、強い光に包まれた。全ての負が溢れかえった感じ。
ゼニス「…う…何が……!?」
元のベレイザの姿はどこへやら。そこにいたのは化け物そのもの。
でも……
ベレイザ「ここまでしても、勝ち目があると思う?」
声は…話し方はベレイザそのものだ。
胴体の中央にあるのは、先ほどの水晶だろうか。
エルブ「取り込んだんですか! あの水晶ごと大罪を!」
エルブがゼファの傍を離れてゼニスの方に来て再度武器を構える。
ソレイユ「それは、三大陸を滅ぼしてクレセディアを取り戻す力だよ!?」
サルファー「クレセディアは貴方が滅ぼしたでしょう。その力で何がしたいのですか」
ベレイザ「この力はクレセディアを復活させる以外にも使えるわ。
使用者の意志で願いを変えられる。
…私の願いは…世界と神界の破滅…!」
…!? そんな事になったら…何も復活せずに、ただ滅ぶだけ滅ぶ。
全てが壊れる。
ベレイザ「発動までもう時間が残り少ないのよね。その間私が時間を稼げばいいだけ」
ゼニス「させない、そんな事! もう一度倒してみせる!」
ベレイザ「ディスピア!!」
ソレイユ「っ!? う…力が…っ!」
今のは……フェズの…模倣!?
パリス「! 光の道標!」
よし、これで一度は戦闘不能になっても耐えられる…けど。
ベレイザ「ラストライフ!」
サルファー「くっ…!?」
エルブ「今の…!」
ぱりすの能力のおかげですぐに立ち直れたが、今のは…
一撃で戦闘不能…まさかサラテリの模倣技…。
ビオレ「暗毒牙!!」
サルファー「巻き込め…ボルテックスブロウ!」
隙を突いて攻撃を仕掛けるが、まるで効いていない…ような。
ベレイザ「あっはは! 人間ごときが大罪を得た私に勝てるとでも!?
ディジーズソウル!」
全体にバラバラの状態異常…しかも病系ばかり…!
グラファイトの模倣だ…。
サルファー「っ…救済の妖精!」
大罪の力を得た技だ。サルファーの能力じゃないと解除ができない。
ベレイザ「デッドリーヒート!」
ゼニス「…ベレイザの能力が上がった…! っ…連絶剣!」
エルブ「氷刃・一刀!」
ソレイユ「連煌斬舞!!」
三人がかりで仕掛けるが、碌にダメージが通らず、代わりに…
ベレイザ「ラメンテイション!」
馬鹿みたいな一撃を喰らって吹き飛ばされる。
パリス「!! 光の雨よ…エードヒーリア!」
今の一撃の重さ……さっきの能力を上げたのはプリムローズの模倣か?
ゼファ「……シャレた真似をしてくれるじゃないか…
彼らの能力を真似するなんて、さ…!」
ビオレ「ちょっと! ゼファは大怪我してるんだから! 変に挑発しないで!」
こちらもさっきからの攻撃でかなりガタが来ているが…。
ゼニス「く…らちが明かない! こうなったら…」
剣を構え直して体勢を整える。そして…
ゼニス「っ…リュンクティス…っ!?」
万等属性奥義を使おうとした時、急に電撃が走ったように激痛が。
ソレイユ「ゼニス!? どうしたの!?」
ゼニス「…わ、分からない…急に。リュンクティス…ぐあっ!?」
パリス「癒せ…エードヒール!」
慌てて回復させる。けど、これはどういう…
ベレイザ「万等属性を封じたのよ。使おうとすれば激痛が走る。
常人じゃ耐えられないほどのね」
……全員か?
ベレイザ「万等属性に頼っていたものね。それが無いと厳しいわよね?
実際、こいつを止めた力はその万等属性が決め手」
……確かに、万等属性は有能だし、相手の弱点を気にせずにできる。
ゼニス「く、この…っ」
ベレイザ「そういえば、万等属性って人の意志に反応するんだったわよね?
ふふ、あっははははははは! 意志、くじかれちゃったわね?」
ソレイユ「あんたって奴は…!」
サルファー「この程度で、私達が諦めると思っているんですか!?」
パリス「万等属性が無くたって…!」
エルブ「一度僕らは、お前に勝っている!」
でも、それでもベレイザは余裕そうで。
ベレイザ「今私は大罪の力を取り込んでいる。
あの時より強い。あの時ぎりぎりだった貴方達に勝ち目は無い!
ディストラクション!」
!! ベレイザの技が再度飛んできて、全員弾き飛ばされる。
ゼニス「グッ…」
(強い……)
ゼファ(!! ゼニス……!)
ベレイザ「そうそう、今外、どうなっているか分かる?」
ゼニス「…?」
ベレイザ「再度ここに降り立った時に、一つ贈り物をしておいたの。
……私の僕。今頃地上の戦闘は大変な事でしょうね」
ソレイユ「え…!?」
ベレイザの僕がどんなものなのかは知らないが、そこらの魔物よりは強いだろう。
それが今、ゼファの仲間の魔物との戦闘で疲れたみんなの所へ!?
ベレイザ「ああ、街にも行ってるかもね。将軍様と騎士様は大変だこと」
……城の人間をクレセディアまで連れて来なくて正解だったかも。
けど…それでも持つかどうか。
ベレイザ「仮に私に勝っても、その頃には全滅、なんてね?
もしくは水晶に破壊に間に合わないとかかしら? あっははははは!!」
ゼニス「っ!!」
その頃…他の場所では。
アイリス「シオン! そっちはどうにかなりそう!?」
シオン「一応倒せる…けど、数が多い!」
ブローディア「ああ、もう! こっちは疲れてるのに!」
シュロ「キリが無いぞ。」
レオノティス「魔王を倒す実力があってこの手間は…」
アスター「……他の奴らは平気か!?」
フクシア「……でも、これ、何…さっきまで戦ってた魔物じゃないし」
シスル「………人間より強大な存在の…」
リナリア「……僕…?」
ローレル「こいつらどこから湧いてきた!?」
ネメシア「無駄口は後! 今は殲滅を!」
バジル「街まで入ってくるか…冗談じゃないぞ」
ガイラルディア「……彼らは、無事なんだろうな?」
ラージャ「ちっ! この期に及んでなんだよ、ゼファか!?」
カテドラル「……違う…ゼファはここまでしないだろう。
不測の事態が起きたようだな。」
ラージャ「……ゼニス!! お前らも…無事でいろよ!?」
ローズ「ミストさん」
ミスト「ローズ。この村は平気よ。
私も神聖魔法ぐらいなら使えるし、シュロさんが頑丈な門を作ってくれているから」
ローズ「…シュロ」
「ジューン、大丈夫?」
ジューン「この街も、防御結界が張られましたね…
……仮に何かあっても兵士がいますから…でも……」
(……サルファー、パリス……どうか無事で…)
「ソリスの町の防衛に、リラ様自ら出向くとは…」
リラ「私達の里は誰も入れませんが、他はそうもいきません。
せめて、近場の町だけでも守ってあげるべきです」
(…ビオレ…必ず帰って来て)
ロココ「ほんっと、どうなってるの!?」
バレヌ「っ、ゼニス…大丈夫なんだろうな!?」
エーリカ「ディモンロスト!!」
アクバール「グラヴィティオゼロ!! 潰れろ潰れろ!」
サラテリ「よ、容赦ない…」
プリムローズ「普段のアクバールから想像できない」
グラファイト「こういう奴ほど、戦闘になると怖いんだよ…」
フェズ「見かけによらねぇなぁおい!!」
フロスティ「感心してないで、楽しんでないで我らもギルドの防衛やるぞ!?
……こいつらは…覚えがある。……ベレイザの僕じゃ」
エレジェフィア「ゲンレイ!!」
ゲンレイ「エレジェフィアか…」
エレジェフィア「現状は聞いてる!? というか分かってる!?」
ゲンレイ「ああ…ベレイザが動いた」
エレジェフィア「ベレイザ…性懲りもなく…というか、なんで消えてないの!?」
ゲンレイ「あの研究所で…倒したのか、本当に」
エレジェフィア「え?」
………
ゲンレイ「とどめを刺される前に転移した…とか」
エレジェフィア「!!?」
………
エレジェフィア「ゲンレイ」
ゲンレイ「言われなくても…」
あれから、何度も攻撃をくらって、とてもロクに戦える状態じゃなかった。
でも、その中でもゼニスだけは諦めず、未だに立ち上がった。
ゼニス「ぐ…はあ…はあっ……」
ベレイザ「頑張るわね…もうボロボロなのに」
ゼニス「…僕は、ゼファの意志を潰してここに立っているんだ。中途半端に終わって堪るか…!
絶対に…諦めるものか…!」
ベレイザ「現実見なさいよ」
またベレイザの魔法が飛んで来る。
ゼニス「ぐあっ!? …くっ、僕はまだ…戦える…!」
ソレイユ「…ゼニス…!」
一撃で倒れてしまうほどなのに戦える、なんて自分でも馬鹿げているように聞こえる。
でも、それでもあきらめたくなかった。
ベレイザ「ここで諦めれば苦痛も何もない、無の世界に逝ける。
楽より苦の方が多いでしょう。解放してあげるから」
ゼニス「そのわずかの楽を…幸せを…僕は欲しいんだ。そのためならどんな苦でも耐えられるさ!
お前みたいに、ただ傍観して、気にくわない時だけ介入してくるような臆病者が一番嫌いだ!
人の想いも気持ちも覚悟も分からないような、全部下らないと思う奴!」
もう立っているのが精いっぱいでも、精一杯叫び続けた。
ゼニス「だから…お前は倒す……絶対にだ!!」
ベレイザ「愚か、無謀…これで終わりにしましょう。デッドエンド!」
「「「「「ゼニス!!!」」」」」
ベレイザの魔法が迫る。みんなが大声を出しても、もう間に合わない。
そう思った時…
何かが、その衝撃を受け止めてくれた。
決着がついた。
もうこれ以上やってもゼファの身が持たない。
ゼニス「よし、水晶を壊そう」
ゼファ「…あ、諦めるわけには…いかないんだ…っ。民が待ってる…!」
よろけながらも、こちらに歩いてこようとする。
サルファー「もうやめてください!?」
パリス「無茶です…!」
ビオレ「あんたね…自分を犠牲にする事に何の意味があるのよ!」
ゼファ「…これは、我の責任…で…! …やめろ…クレセディアを奪うな…!」
途中で膝をっいた。
エルブ「陛下…もう、いいんですよ。」
ソレイユ「いい加減、未来を歩いて」
ゼニス「……認めなよ、ゼファ。…クレセディアは、滅んだんだ」
ゼファ「!!」
バッサリ言い切ったせいか、ゼファの動きが止まった。
ここまで言わないと、ゼファは無理をしてしまうだろう。
フロスティたちのためにも、死なせるわけにはいかない。
ゼファ「…………我は……」
ゼニスが水晶に近付こうとした時、異変が起きた。
???「デスウィンド!」
ゼファ「がっ!?」
ゼファが弾き飛ばされた。
というよりも…!? この技は…
エルブ「陛下!!」
慌ててエルブが駆け寄る。
ゼファ「う…」
良かった、まだ息はある。
???「仕留め損ねたわね…まあどうせ死ぬからいいわ」
その声とともに姿を見せたのは…
ソレイユ「な、何で…」
パリス「あの時確か…っ」
サルファー「……生きて、居たのですか」
ビオレ「だって…」
エルブ「………ふざけるな…」
ゼニス「何でお前がいる! ベレイザ!!」
あの時研究所で倒したはずのベレイザだ。
どうして……
ベレイザ「倒したと思った? 残念。
直前で転移しただけよ。ダメージ自体は大きかったから、回復に時間は掛かったけどね」
ゼファ「き、貴様は…!」
ゼニス「お前の事は一度倒している! 僕らに勝てると思うな!」
そういってもベレイザは余裕そう。なぜ…一度負けているのに。
ベレイザ「ここにいいものがあるものでね。」
後ろを振り返る。
ベレイザの後ろには大罪を溜めた水晶がある。
ソレイユ「まさか……」
ビオレ「ちょっと、何する気!?」
ベレイザ「他の人間や紙が使うと大罪に耐えきれないけど、
堕ちた私が使う分には問題ないのよ。大罪に耐性があるから」
躊躇いなくその水晶に触れる。
その瞬間、強い光に包まれた。全ての負が溢れかえった感じ。
ゼニス「…う…何が……!?」
元のベレイザの姿はどこへやら。そこにいたのは化け物そのもの。
でも……
ベレイザ「ここまでしても、勝ち目があると思う?」
声は…話し方はベレイザそのものだ。
胴体の中央にあるのは、先ほどの水晶だろうか。
エルブ「取り込んだんですか! あの水晶ごと大罪を!」
エルブがゼファの傍を離れてゼニスの方に来て再度武器を構える。
ソレイユ「それは、三大陸を滅ぼしてクレセディアを取り戻す力だよ!?」
サルファー「クレセディアは貴方が滅ぼしたでしょう。その力で何がしたいのですか」
ベレイザ「この力はクレセディアを復活させる以外にも使えるわ。
使用者の意志で願いを変えられる。
…私の願いは…世界と神界の破滅…!」
…!? そんな事になったら…何も復活せずに、ただ滅ぶだけ滅ぶ。
全てが壊れる。
ベレイザ「発動までもう時間が残り少ないのよね。その間私が時間を稼げばいいだけ」
ゼニス「させない、そんな事! もう一度倒してみせる!」
ベレイザ「ディスピア!!」
ソレイユ「っ!? う…力が…っ!」
今のは……フェズの…模倣!?
パリス「! 光の道標!」
よし、これで一度は戦闘不能になっても耐えられる…けど。
ベレイザ「ラストライフ!」
サルファー「くっ…!?」
エルブ「今の…!」
ぱりすの能力のおかげですぐに立ち直れたが、今のは…
一撃で戦闘不能…まさかサラテリの模倣技…。
ビオレ「暗毒牙!!」
サルファー「巻き込め…ボルテックスブロウ!」
隙を突いて攻撃を仕掛けるが、まるで効いていない…ような。
ベレイザ「あっはは! 人間ごときが大罪を得た私に勝てるとでも!?
ディジーズソウル!」
全体にバラバラの状態異常…しかも病系ばかり…!
グラファイトの模倣だ…。
サルファー「っ…救済の妖精!」
大罪の力を得た技だ。サルファーの能力じゃないと解除ができない。
ベレイザ「デッドリーヒート!」
ゼニス「…ベレイザの能力が上がった…! っ…連絶剣!」
エルブ「氷刃・一刀!」
ソレイユ「連煌斬舞!!」
三人がかりで仕掛けるが、碌にダメージが通らず、代わりに…
ベレイザ「ラメンテイション!」
馬鹿みたいな一撃を喰らって吹き飛ばされる。
パリス「!! 光の雨よ…エードヒーリア!」
今の一撃の重さ……さっきの能力を上げたのはプリムローズの模倣か?
ゼファ「……シャレた真似をしてくれるじゃないか…
彼らの能力を真似するなんて、さ…!」
ビオレ「ちょっと! ゼファは大怪我してるんだから! 変に挑発しないで!」
こちらもさっきからの攻撃でかなりガタが来ているが…。
ゼニス「く…らちが明かない! こうなったら…」
剣を構え直して体勢を整える。そして…
ゼニス「っ…リュンクティス…っ!?」
万等属性奥義を使おうとした時、急に電撃が走ったように激痛が。
ソレイユ「ゼニス!? どうしたの!?」
ゼニス「…わ、分からない…急に。リュンクティス…ぐあっ!?」
パリス「癒せ…エードヒール!」
慌てて回復させる。けど、これはどういう…
ベレイザ「万等属性を封じたのよ。使おうとすれば激痛が走る。
常人じゃ耐えられないほどのね」
……全員か?
ベレイザ「万等属性に頼っていたものね。それが無いと厳しいわよね?
実際、こいつを止めた力はその万等属性が決め手」
……確かに、万等属性は有能だし、相手の弱点を気にせずにできる。
ゼニス「く、この…っ」
ベレイザ「そういえば、万等属性って人の意志に反応するんだったわよね?
ふふ、あっははははははは! 意志、くじかれちゃったわね?」
ソレイユ「あんたって奴は…!」
サルファー「この程度で、私達が諦めると思っているんですか!?」
パリス「万等属性が無くたって…!」
エルブ「一度僕らは、お前に勝っている!」
でも、それでもベレイザは余裕そうで。
ベレイザ「今私は大罪の力を取り込んでいる。
あの時より強い。あの時ぎりぎりだった貴方達に勝ち目は無い!
ディストラクション!」
!! ベレイザの技が再度飛んできて、全員弾き飛ばされる。
ゼニス「グッ…」
(強い……)
ゼファ(!! ゼニス……!)
ベレイザ「そうそう、今外、どうなっているか分かる?」
ゼニス「…?」
ベレイザ「再度ここに降り立った時に、一つ贈り物をしておいたの。
……私の僕。今頃地上の戦闘は大変な事でしょうね」
ソレイユ「え…!?」
ベレイザの僕がどんなものなのかは知らないが、そこらの魔物よりは強いだろう。
それが今、ゼファの仲間の魔物との戦闘で疲れたみんなの所へ!?
ベレイザ「ああ、街にも行ってるかもね。将軍様と騎士様は大変だこと」
……城の人間をクレセディアまで連れて来なくて正解だったかも。
けど…それでも持つかどうか。
ベレイザ「仮に私に勝っても、その頃には全滅、なんてね?
もしくは水晶に破壊に間に合わないとかかしら? あっははははは!!」
ゼニス「っ!!」
その頃…他の場所では。
アイリス「シオン! そっちはどうにかなりそう!?」
シオン「一応倒せる…けど、数が多い!」
ブローディア「ああ、もう! こっちは疲れてるのに!」
シュロ「キリが無いぞ。」
レオノティス「魔王を倒す実力があってこの手間は…」
アスター「……他の奴らは平気か!?」
フクシア「……でも、これ、何…さっきまで戦ってた魔物じゃないし」
シスル「………人間より強大な存在の…」
リナリア「……僕…?」
ローレル「こいつらどこから湧いてきた!?」
ネメシア「無駄口は後! 今は殲滅を!」
バジル「街まで入ってくるか…冗談じゃないぞ」
ガイラルディア「……彼らは、無事なんだろうな?」
ラージャ「ちっ! この期に及んでなんだよ、ゼファか!?」
カテドラル「……違う…ゼファはここまでしないだろう。
不測の事態が起きたようだな。」
ラージャ「……ゼニス!! お前らも…無事でいろよ!?」
ローズ「ミストさん」
ミスト「ローズ。この村は平気よ。
私も神聖魔法ぐらいなら使えるし、シュロさんが頑丈な門を作ってくれているから」
ローズ「…シュロ」
「ジューン、大丈夫?」
ジューン「この街も、防御結界が張られましたね…
……仮に何かあっても兵士がいますから…でも……」
(……サルファー、パリス……どうか無事で…)
「ソリスの町の防衛に、リラ様自ら出向くとは…」
リラ「私達の里は誰も入れませんが、他はそうもいきません。
せめて、近場の町だけでも守ってあげるべきです」
(…ビオレ…必ず帰って来て)
ロココ「ほんっと、どうなってるの!?」
バレヌ「っ、ゼニス…大丈夫なんだろうな!?」
エーリカ「ディモンロスト!!」
アクバール「グラヴィティオゼロ!! 潰れろ潰れろ!」
サラテリ「よ、容赦ない…」
プリムローズ「普段のアクバールから想像できない」
グラファイト「こういう奴ほど、戦闘になると怖いんだよ…」
フェズ「見かけによらねぇなぁおい!!」
フロスティ「感心してないで、楽しんでないで我らもギルドの防衛やるぞ!?
……こいつらは…覚えがある。……ベレイザの僕じゃ」
エレジェフィア「ゲンレイ!!」
ゲンレイ「エレジェフィアか…」
エレジェフィア「現状は聞いてる!? というか分かってる!?」
ゲンレイ「ああ…ベレイザが動いた」
エレジェフィア「ベレイザ…性懲りもなく…というか、なんで消えてないの!?」
ゲンレイ「あの研究所で…倒したのか、本当に」
エレジェフィア「え?」
………
ゲンレイ「とどめを刺される前に転移した…とか」
エレジェフィア「!!?」
………
エレジェフィア「ゲンレイ」
ゲンレイ「言われなくても…」
あれから、何度も攻撃をくらって、とてもロクに戦える状態じゃなかった。
でも、その中でもゼニスだけは諦めず、未だに立ち上がった。
ゼニス「ぐ…はあ…はあっ……」
ベレイザ「頑張るわね…もうボロボロなのに」
ゼニス「…僕は、ゼファの意志を潰してここに立っているんだ。中途半端に終わって堪るか…!
絶対に…諦めるものか…!」
ベレイザ「現実見なさいよ」
またベレイザの魔法が飛んで来る。
ゼニス「ぐあっ!? …くっ、僕はまだ…戦える…!」
ソレイユ「…ゼニス…!」
一撃で倒れてしまうほどなのに戦える、なんて自分でも馬鹿げているように聞こえる。
でも、それでもあきらめたくなかった。
ベレイザ「ここで諦めれば苦痛も何もない、無の世界に逝ける。
楽より苦の方が多いでしょう。解放してあげるから」
ゼニス「そのわずかの楽を…幸せを…僕は欲しいんだ。そのためならどんな苦でも耐えられるさ!
お前みたいに、ただ傍観して、気にくわない時だけ介入してくるような臆病者が一番嫌いだ!
人の想いも気持ちも覚悟も分からないような、全部下らないと思う奴!」
もう立っているのが精いっぱいでも、精一杯叫び続けた。
ゼニス「だから…お前は倒す……絶対にだ!!」
ベレイザ「愚か、無謀…これで終わりにしましょう。デッドエンド!」
「「「「「ゼニス!!!」」」」」
ベレイザの魔法が迫る。みんなが大声を出しても、もう間に合わない。
そう思った時…
何かが、その衝撃を受け止めてくれた。
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