月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
上 下
96 / 100
過去と現在は手を取り合って

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 96話

しおりを挟む
セピアとエピナールと同じ…翼が浮かぶ…。

黒い閃光の中、声が響く。

???「まさか我をここまで追い詰めるとは…

だが、それもここまでだ」

声はゼファだ。でも…何かおかしい。

黒い閃光が晴れて目を開ける。

ゼニス「い、一体何が…っ!?」

目を開けた時にいたのは、ゼファのはずなのに、

翼があって、髪の色も服の色も目の色も違っていて。



ソレイユ「え…どういう事?」

サルファー「ゼファ…?」

しかも、触れなくても分かる。これは…大罪…?

ビオレ「寒気がする…」

エルブ「大罪の力…」

パリス「ど、どういうこと…!?」

大罪世界の意志「世界の力を借りている。つまりは世界の意志ルビだ。

世界が後ろ盾についている我に負けはない。

…我は…クレセディアの復活こそがこの世界の行く末だ。

全員、クレセディアの礎となれ…!」

これは、もう…? ふざけるな…。

ゼニス「これはじゃない! 

ただクレセディアを取り戻すために道を外したゼファの執念だ!

ここで断つよ!」


大罪世界の意志「毒せ…ヨルムンガンド!」

範囲の毒…!

パリス「邪を払え…リキュペレイト!」

ビオレ「ありがとパリス! 塵となれ…デスハリケーン!」

パリスが毒を浄化。その勢いでビオレが攻撃。

大罪世界の意志「解放せん…堕ちろ、怠惰の大罪!」

大罪…!? 大罪なんて、人が扱えば……

サルファー「彼は、大罪世界の意志……大罪の扱いに問題はない!?」

ソレイユ「ゼファ自身に影響ないんだよね!?」

……言い切れない。というか、今の大罪は何の影響が…。

パリス「……っ、魔法が使えない…!」

エルブ「僕もです!」

全員だ。今のは魔法を使えなくする力か。

大罪世界の意志「解放せん…驕れ、傲慢の大罪!」

また大罪…! 効果は…毒!?

大罪世界の意志「解放せん…乱せ、色欲の大罪!」

数人の動きが止まった。…というより混乱している!?

サルファー「大罪関係はパリスの魔法じゃできません。

私が何とか…! 救済の妖精テルサス・ソルディダム!」

サルファーの能力で毒を解除する。

それと同時に魔法の使用も元に戻ったようだ。

混乱した人も解放された。

ソレイユ「それ、便利!」

サルファーの能力が無ければ劣勢待ったなしだったな。

大罪世界の意志「解放せん…欲せ、強欲の大罪!」

また大罪…でもこっちに影響はない?

ゼニス「十字閃!」

ソレイユ「爆ぜろ…バーンブレイズ!」

効果のほどは分からないが、取りあえず畳みかける。

大罪世界の意志「十字閃!」

!?

ソレイユの魔法をかわしたのち、ゼニスと同じ技を仕掛けてきた。

ゼニス「ソレイユ!」

間一髪割り込んで剣で受け止める。

強欲……まさか。

大罪世界の意志「強欲の大罪は、一度だけ相手の技を盗める力だ。」

そんな事まで……

そんな時、水晶の方から音が鳴る。

エルブ「え、何!?」

ビオレ「水晶が光って…!?」

大罪世界の意志「ああ、世界の破壊は…クレセディアの復活は目の前だ!」

ゼニス「させるか!! 時双波っ!」

技を放って距離を取る。

大罪世界の意志「解放せん…怒れ、憤怒の大罪!」

その大罪を喰らった瞬間、全員の体力がごっそり持って行かれて、その場に膝をつく。

戦闘不能まではなっていない。すぐに回復魔法をかければ…。

パリス「光の雨を…」

ソレイユ「光よ癒せ…」

パリスとソレイユが唱えた途端、また相手が。

大罪世界の意志「解放せん…貪れ、暴食の大罪!」

……あれ、ソレイユとパリスが回復しない。

ゼニス「二人とも、どうしたの!?」

エルブ「もしかして、今の……」

ソレイユ「…魔法が…っ」

パリス「魔力が、一気に減らされて…っ」

……今範囲技でも喰らったら…。

大罪世界の意志「全てに等しく制裁を…アエクアリスインペリウム!」

万等属性の範囲技。

ビオレ「……! ソレイユ!」

何か思い出したビオレがソレイユに呼び掛ける。

それだけでソレイユも思い至り顔を上げる。

ソレイユ「癒しの詠歌ヴィータ・スピリトゥム!」

相手の魔法が直撃するより先に発動したおかげで、

回復が先行し、魔法に耐えられた。

大罪世界の意志「なっ!?」

サルファー「どうやら、能力は魔力とは無関係のようですね!」

エルブ「ソレイユさん!!」

大罪世界の意志「くっ……」

ゼニス「…お前、いつまでそんなのに縛られてるんだ。いつまで過去にいるんだ!」

大罪世界の意志「我は甘さを捨てたのだ…クレセディアが復活するのがこの世界の運命…」

それに対してすぐに反論する。

ゼニス「なら、どうしてこっちの心配をした!?」

大罪世界の意志「!?」


ゼファ『無論、我がいる限り壊させなどしない!

それにたとえ壊せても、水晶に蓄積された大罪は体内に流れ込み、壊した奴は死ぬ!』


ゼニス「あれって、僕達が自分を犠牲にして世界を救おうとするのを止めたかったからだよね!?」

サルファー「ですが、それは貴方もですよ。

あなた自身を犠牲にして、クレセディアを取り戻そうとしている!」

パリス「それで、あなたの大事な人達は笑えるんですか!?」

サルファー「クストスペルパーネント!」

パリス「フートゥリ・アリス!」

大罪世界の意志「っ!」

それに、まだある。


ゼファ『…そうだな…ゼニスの時に君達にはお世話になったし、

君達ぐらいなら、命の燃料から外してもいいよ?』


ビオレ「どうして、私達を燃料から外そうとしたの!?」

エルブ「それは、陛下が、優しさを捨てきれていないからです…!」

ソレイユ「私達、あなたに、何度も生きるチャンスを与えられてる!」

ビオレ「リージュランダーム!」

エルブ「レウニオンセルモ!」

ソレイユ「アモーラプラウディット!」

大罪世界の意志「うっ、ぐ……っ我は…甘さが原因で……」


グラファイト『ゼファ様』

プリムローズ『陛下…!』

サラテリ「陛下ー!』

フェズ「ゼファ』

セピア「ゼッ君』

エピナール『陛下』

エルブ『陛下!』

フロスティ『兄!』


大罪世界の意志「彼らの居場所を奪ったんだ! 世を救う…栄華の剣…栄華救世剣!」

ゼニス「無に帰せ…流れを変えろ…無白流変斬!」

二人の奥義が同時に衝突する。

弾かれたのは相手の方。

ソレイユ「ゼニス!」

ゼニス「憎悪断ちの剣オーディウム・サルディス!」

能力で力を底上げさせる。

ゼニス「お前の憎悪を断ってみせる! お前もこの世界で生きて、ゼファ!

リュンクティス・ドゥオ!!」

バランスを崩していたため、避けることも防御もかなわず、直撃。

大罪世界の意志「ま、さか…世界の後ろ盾を持ってしても……」

ゼニス「世界の破滅はこれまでだよ。

……禍が時は終わりだ。僕らが夜明けを導く…!」

そう告げると同時に、ゼファが元に戻る。

まだ意識はあるが、もう戦えないだろう…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

堕天使の黙示録-アポカリプス-

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜
ファンタジー
記憶を取り戻すための旅。 記憶は、あった方がいいのか、それとも戻らない方がいいのか…。 見たくない過去なら? 辛い運命なら? 記憶の無い者達が導かれ、めぐり逢い、旅をしていく物語。 真実を見た先に、彼らの出す答えは…。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~

ことのはおり
ファンタジー
渡会 霧(わたらい きり)。36歳。オタク。親ガチャハズレの悲惨な生い立ち。 幸薄き彼女が手にした、一冊の辞典。 それは異世界への、特別招待状。 それは推しと一緒にいられる、ミラクルな魔法アイテム。 それは世界を救済する力を秘めた、最強の武器。 本棚を抜けた先は、物語の中の世界――そこからすべてが、始まる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...