月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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過去と現在は手を取り合って

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 94話

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エピナールと戦ったところを抜けると、

もう廊下などはなく、ただ階段があるだけ。

そしてその一番上には両開きの扉が見える。

魔物も道中にはいないようだ。

ひたすらその階段を上っていく。

サルファー「…この先に、ゼファが」

ビオレ「最終決戦ね」

パリス「もう時間はありません」

エルブ「ここで退けば、負ければ、世界は終わる」

ソレイユ「………」

扉の目の前まで来て、一度足を止める。

ゼルシェード「まずは、ゼニスを救い出す事が最優先だ。

戦力的に、一人でも多い方がいいからな」

ソレイユ「隙を見て、流変剣の能力を使う。」

ゼルシェード「一度使っているからな。きっとこれで何とかなるだろう。

問題は、ゼニスの意思だ。」

………


ゼニス『この時代の人を犠牲にせず、君達をこれ以上傷つけないため。

…次に対峙した時、難しい事を考えず、僕を…殺してくれていい』


………

ソレイユ「大丈夫。ゼニスを信じる」

………

エルブ「僕たちみんなで」

サルファー「助けましょう」

ビオレ「一人で背負わないでよ」

パリス「最後まで、ゼニスを含めてこのメンバーで」

ゼルシェード「ソレイユ。支えてくれる奴はこんなにもいるぞ」

ソレイユ「……うん。行こう!」

そういって、扉を開ける。

まばゆい光が覆った後、空間が一転した。


ここは……サクラが並んだ世界。

多分、昔のクレセディア。

ゼファ「綺麗だろう? サクラはクレセディアもあってね。

今は無いけれど……。ここは我の好きなように見た目を変えられるんだ。

間違いなく、ここは玉座だけどね。」

ゼファが言う通り、奥には王の椅子がある。

ソレイユ「ゼファ…!」

ゼファ「……フェズ、サラテリ、プリムローズ、グラファイト、セピア、エピナールが敗れた。

エルブとフロスティに関しては、君達にかなり愛着が湧いたようだ。

……まずは礼を言おう。彼らを殺さないでくれてありがとう」

ビオレ「あいつらはみんな生きてるわ。あとはゼファだけよ」

ゼファ「……この世界で生きることが我の望みじゃない。

クレセディアを取り戻し、そこで皆に生きてほしい。他の民も共に。」

でもそれだと…

サルファー「貴方は死ぬのに、どうして…

今の時代で生きれるならば、彼らのためにも生きたらどうですか?」

ゼファ「民はどうなる? …元は我の甘さが招いた事だ。

我の命で民も生き返らせて、元のように生きてほしい」

パリス「貴方のいない国を、誰が導くのですか?」

ゼファ「フロスティが纏めてくれるさ、きっと」

駄目だ。何を言っても考えが凝り固まっている。

エルブ「陛下のいないクレセディアで、誰かが笑えると思っているんですか!?」

ゼファ「みんなもっと生きたかっただろう。その権利を取り戻せる。

笑えるに決まっているさ」

剣を抜いてこちらを真っ直ぐ見据えてきた。

ゼファ「さて、君達は我を止めに来たんだろうけど、

我を殺さずに倒そうなんて難しい話だ。そして殺すならそれはゼニスの死を意味する。

それでも…」

ソレイユ「私達は、ゼニスを連れ戻しに来た!」

ゼルシェード「そしてお前も連れ帰る。こいつらなら成し遂げるぞ。

甘く見ない事だな」

ゼファ「………君がそこまで言うなんてね。でも、あの一振りに耐えられるのかい?」

ゼニスを助けに向かった時に、全員やられたあの一撃。

でも今ならば…

ソレイユ「……世界の破滅は阻止する!」


ゼファの胸元で光が走った。

ゼルシェード「今、世界中の魔力と繋がっている!

絶対に当たらないが、集中力さえ切れれば…!」

攻撃で気をそらすしかない。そのためには…

エルブ「僕が! 捉える刃ポーテスト・エヴァーデレ!

……氷・魔法剣!」

ゼファ「っ!?」

捉えた! エルブの攻撃がゼファに当たった。

ソレイユ「空天翔!」

ゼファ「瞬絶黎絶!」

咄嗟に撃ち込まれた瞬間的な技でソレイユの攻撃は弾かれた。

ゼファ「まさか、あの状態の我に攻撃を通されるとは思わなかったよ…!」

エルブ「僕達が、あの時、何もできなかった時のままだと思わないでください…!」

今は勝つことを考えなくていい。ただ、隙ができさえすれば…。

ゼファ「ああ、そうだね…あの時は何もできなかったのに…!

会心刻印斬!」

ビオレ「させない! 竜煉巻!」

ビオレがゼファの剣にぶつかっていく。

サルファー「こっちもいますよ! 風に舞え…シルフィード!」

ゼファがサルファーの方を見て、魔法をかわす。

その反応が、致命的な隙に。

パリス「視界を閉ざせ…フラッシュスクリーン!」

ゼファ「視界を狭める魔法か…!」

追い討ちのようにパリスの魔法が視界を閉ざした。

ゼルシェード「ソレイユ!」

ソレイユ「分かった…!」

剣を持ち、構える。

ソレイユ「彼の時の歪曲アクセプト・エグゼスト!」

ゼルシェードはその瞬間に、ゼファの意識の中へ入り込んだ。


ゼファの意識の中。

ゼニス「……誰か、来た…?」

気配を感じてゼニスが振り返る。

ゼルシェード「久しぶりだな。ゼニス」

ゼニス「ゼルシェード!? どうして……」

ゼルシェード「何がどうしてだ。…現状は分かっているだろう。見えているだろう?

あいつらがここまで来た。世界の破滅を止めるためと、お前を取り戻すためだ。

俺は今、ソレイユが使った能力に乗って、ここへ乗り込んできた」

そう言うと、ゼニスはうつむいてしまう。

ゼニス「…僕の事は殺していいんだよ。殺さず倒すなんて…」

ゼルシェード「あいつらがそうすると思うか?」

ゼニス「だって!! 僕は! ……ブライトさんを……! みんなの事さえ、傷つけてしまった…!」

ゼルシェード「……まず、ソレイユ達はそれを責めていない。

それにブライトもだ。あの時、何か言われたんじゃないか?」

ゼニス「!!」

覚えている。分かっている。言われた。


ブライト『……ゼニス! 聞こえるか!?

俺はお前の師だ。お前を取り戻すなら、命さえ賭けよう!

だが気に病むな! これは俺の下した決断だ!

ただ一つ、約束してくれればいい。戻って来い。』


『…本当は、フェズとの戦いの後に言うつもりだったんだがな…

今しか言えないようだから言わせてもらう。

……強くなったな。今日で、免許皆伝だ!

これからは、お前の足で、未来を歩け! そして、胸を張れ!』


ゼニス「………胸を…張れ…ブライトさんは、僕のために…」

ゼルシェード「あいつだけじゃない。シオン達もラージャもソレイユ達も待っている。

カテドラルも、アクバール達も、お前が今まで助けた奴らもだ」

………

ゼルシェード「お前はあいつらの人生に影を与える気か?

師に救われた命をお前は捨てるのか?」

ゼニス「………帰っていいのなら…帰りたい…」

…まだ弱々しい。なら、最後だ。ゼルシェードが手を前に出すと、流変剣が二本創造された。

そのうち一本をゼニスに投げ渡す。

ゼルシェード「剣を構えろ、ゼニス。お前がそんなじゃ戻っても足手纏いだ。

俺に勝ってみせろ! 安心しろ、その間は表の時間を止めておいてやる。

あいつらを守り、お前自身も生き抜くという意志があるかどうか試してやる!」

ゼニス「えっ……なんっ…」

ゼルシェード「問答無用だ! 行くぞ!」


有無を言わさずゼルシェードが斬りかかってきた。

ゼルシェード「無明剣!」

ゼニス「なっ、ぐっ!」

自分と同じ技…!?

ゼルシェード「あの時、コンフィージェの塔でお前と出会った時からずっと見て来たんだ。

同じ技が使えるようになっていて当然だろう。時双波!」

ゼニス「っ! 十字閃!!」

やっと斬り返した。

ゼルシェード「問うぞ。お前は不幸か!? 閃実義!」

ゼニス「っ! 不幸だと思う事は何度もあった…記憶が無くて、こんな運命で、

でも、それがあったから、僕はみんなと出会えた…! 連絶剣!」

カキン!と剣戟。

ゼルシェード「問うぞ。お前は幸せだと思うか!? 五連刃!」

ゼニス「…ああっ! 僕は幸せだよ! こんなにも、僕のために、頑張ってくれる人に会えたんだ!

君にも会えた…ゼルシェード! 円閃舞!」

キンッ!と剣戟。

ゼルシェード「問うぞ。お前の望む未来は何だ!? 答えろゼニス!!

無に帰せ…流れを変えろ…無白流変斬!!」

ゼルシェードの奥義を真っ向から耐えて、告げる。

ゼニス「僕は……みんなの生きる世界を紡ぐ! そして、その世界で僕も生きる!

皆がそう望んでくれたから…それが僕の望む未来だ!!! リュンクティス・ドゥオ!」

ゼニスの万等属性奥義を喰らって、ふっと表情が緩くなった。

ゼルシェード「お前の未来を諦めているわけじゃないか…なら良い…」

そう言うと、互いの剣の召喚を取り消した。

ゼニス「あ……」

ゼルシェード「実物は外にあるだろう。あとはソレイユから受け取れ」

ゼニス「……合格だった…って事?」

時はもう動き出しているだろう。

ゼルシェード「文句なしのな。…あとはゼファを何とかしろ。」

そう言った途端に、ゼニスが持っていた時計のストラップが光る。

まだコバルトがエルブだと知らなかった頃、みんなお揃いで買ったストラップだ。


ソレイユ『そーだ、ゼニスにもあげるね! みんなにも渡してあるよ♪』

パリス『魔力が持つ者なら、不思議な効果があるという話があるらしいです…』

ゼニス『ありがとう。…ん? コバルトももらったのか。みんなお揃いだな』

コバルト『…はい、そうですね』


その頃、表の世界でも…同じ現象が起きていて。

ゼファ「君達のストラップ…か……?」

ソレイユ「……ゼニスの魔力が分かる……」

全員の願いはだ一つ。

(((((ゼニスを取り戻す…!)))))


ゼルシェード「…向こうの光が見えるか? あいつらのストラップも反応しているようだ。

あれに向かって歩け。そうすれば外に出る。」

ゼニス「ありがとう、ゼルシェード。」



そう言って横を通り過ぎると、一瞬、光が散ったような気がして振り返る。

ゼルシェードから出て来た光のようだった。

ゼニス「ゼルシェード!? お前、なんで…透けて…!?」

ゼルシェード「言っただろう。元の力は無い。

ベレイザに喰われた中で残った力を宿しただけだと。

そして、その力はあいつらを生かすために使った

彼の時の歪曲アクセプト・エグゼスト」でほぼ尽きた。

後僅か…残ったのは、今の戦いで完全に消えた。」

それを聞いて一気に青ざめる。

ゼニス「何度か、彼の時の歪曲アクセプト・エグゼストを使って苦しそうにしてたのは…」

ゼルシェード「そのせいだ。気に病むなよ。話さなかったのは俺の意志だ。

そして、お前を表に弾き出すのを反対しなかったのも俺の意志だ。」

ゼニス「ゼルシェード!!!」

ここでは流変剣が無い。使えない。彼の時の歪曲アクセプト・エグゼストが使えない。

いや、あっても使えない。ゼルシェードの力をさらに減らすようなものだ。

ゼルシェード「お前に能力を使ったと同時にゼファにもかけておいた。

あいつを倒しても消える事はないから気にするな」

ゼニス「そうじゃないだろ!? どうして、ゼルシェードは」

ゼルシェード「お前も苦しんだだろうが…ほら、早く行け。」

光の方へ突き飛ばす。

ゼニス「待っ、ゼルシェード!」

ゼルシェード「お前と過ごしてて、楽しかったぞ。一万年前に戻ったようだった。」

ゼニス「………僕も、楽しかったよ…言い合いもしたけど…

ゼルシェードのおかげで、僕らは生きて来れたんだ。」


ゼルシェード『……俺はゼルシェード。他に何か聞きたい事はあるか?』


『まず、だ。万等属性は知っているか?』


ゼニス『ねえ、ゼルシェード』

ゼルシェード『なんだ?』

ゼニス『…どこかで会った事ある?』


ゼルシェード『魔力の使いすぎだ。また無理したな?』


ゼニス『あ、あれ…僕は…』

ゼルシェード『起きたか。流れ着いても目を覚まさないから、本気で心配したぞ。

胸が張り裂けるかと思った』


『んんっ、お前達、いちゃつくのも結構だが、

俺がいることを忘れるな』

ゼニス『ゼルシェードは引っ込んでくれないか!?』


ゼルシェード『…海の上を歩くなど、神でもなければ無理だと思っていたんだがな』

ゼニス『あははっ、この感覚はゼルシェードは剣の中にいるから分からないもんなぁ』

ゼルシェード『ここから海に突き落としてやろうか…』


『無容赦だ。やってくれ…この組織を、終わらせてくれ!』

ゼニス『ゼルシェード……? ……わかった!』


ゼルシェード『ゼニス…どんな結果になっても、悔やむな。

…憎しみに囚われているよりは、きっと楽だろうからな…』


『何言ってるんだ! 敵の狙いはお前だぞ!

本当ならソレイユだって連れ出したくはないんだ!

だが、お前があいつらの手に渡ったら、それこそ…!』

ゼニス『だからだよ。』


思い出が、ただ駆け巡った。

ゼニス「……君は、立派なこの世界の管理神で、僕らの仲間だよ!」

これ以上ここに留まっているのはかえって悪い。

ゼルシェードがほほ笑んだのを確認して足を踏み出す。

表に戻る寸前。その背に…声が聞こえた。


ゼルシェード「じゃあな、ゼニス。ゼファを止めてくれ。

ブライトの言葉を借りるが。……これからは、お前の足で、未来を歩け…そして、胸を張れ」
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