月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
上 下
92 / 100
過去と現在は手を取り合って

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 92話

しおりを挟む
扉を開けると、暗い部屋。電気がついていない?

ソレイユ「ちょっと、暗い…;;;」

ゼルシェード「……舞台の演出のつもりか? ……エピナール」

ゼルシェードが言ったのと同時に照明が点く。

エピナール「ええ。そうですよ。ゼルシェード様」

エルブ「兄さん!」

エピナール「お待ちしていました。皆さん。

エルブも…」

こちらを一通り見渡す。

エピナール「セピアさんが負けましたか。

さすがは陛下の…いえ、ゼニスさんのお仲間さんと言ったところでしょうか」

ビオレ「セピアは殺してないわ。貴方も連れて行くつもり」

サルファー「貴方は、自身の弟と戦ってまでゼファに従うつもりですか?」

エピナール「ええ。殺しても、陛下なら生き返らせます。

取りあえず、邪魔さえされなければ良いので…」

…ゼファが結果どうなるのかは、知っている…んだったか?

ソレイユ「ゼファが死ぬ事になってもいいの!?」

エピナール「それを陛下が望むなら、私はそれに従うまで。

幸せになってほしいとは思っていますが……」

崇拝、が正しい表現だろうか。

エルブ「…僕と兄さんは、親に家を追い出され、周りの人達から虐げられ、

放浪していた所を助けていただいたんです。だから、恩はあるのです…」

ソレイユ「その恩返しって事?」

エピナール「その通りです。陛下がいなければ私達兄弟は生きていません。

無一文で追い出され、食べ物も職もない。

疲労と空腹で倒れれば、わざと踏んでいく奴らもいました。そこを救われたのです」

過去が壮絶すぎる…。

パリス「それでも、私達は止まりません。エルブだって同じです」

ソレイユ「道半ばで止まるような覚悟で、ここには来ていない!」

ソレイユがそう言い切ると、

エピナール「フフ…あっははは!! 本当に…貴方方の勢いにはオーブの使用に躊躇が消えますよ。」

エピナールは…もう言葉だけで止まる気は無いのだろう。


エピナール「消滅する時間テンプス・ラクタック!」

青い舞台が展開される。こうなれば、相手は必ず先手を取る。

エピナール「もう紳士なんてどうでも良い。

最初から悪魔として…力づくで止めさせていただきます…! ディアブロス・クトゥグア!」

オーブが光り、セピアと同じ、翼が一瞬目に入る。

そして、あの時見た狂気がそこに。

サルファー「相変わらず、禍々しいですね…!」

エピナール「クハハハ! セピアの狂気に比べたら俺のほうがマシだろうがなぁ!?

せいぜい回復が間に合わずにくたばったりするなよな!?」

エルブ「……兄さん……っ」

エピナール「失望したか、エルブ!! 慕っていた兄がこんなだってなぁ!?」

……え…?

ゼルシェード「…エピナールのこの状態は、エルブはゼニス奪還作戦時に見たのと、これで二回目だ。

エピナールは…エルブの前ではオーブを使おうとしなかったからな…」

…あまり見せたくなかったわけか…。

ビオレ「エルブ、平気!?」

エルブ「…失望なんてしませんよ。兄さんだって人間です!

裏なんて、あって当然です!」

サルファー「よく言いました……私達で止めましょう!」

エピナール「雑魚は大人しく引っ込んでろよ!?」

どうも常に見下されてる感が…!!

ソレイユ「弟の事を殺していい命だと考えてる時点で終わりよ!

正気に戻してあげる…!」

確かエピナールはエルブと同じ氷属性だったはず。なら、火が有効だろう。

エピナール「氷裂円舞!」

やっぱり相手が先手だ。

ソレイユ「っ! 回火裂舞!」

呆気なくかわされた。

ゼルシェード「ソレイユ! 剣の能力使え!」

いまいち剣の扱いが慣れない。そうだ、使わないとエピナールに攻撃は…。

ソレイユ「流れを向けるスキル・リムーバル!」

エピナール「ちっ! 流変剣を扱えるようになったのか…! フローズナイフ!」

エルブ「ぐっ!?」

瞬間移動が無くなったとはいえ、相手の速度の方が早い。

舞台はかき消せないので、先手はどうしても取られる。

ソレイユ「というか、火属性私だけ!? …属性変換・共鳴エレメント・クロス・リンク!」

各メンバーに火属性を付与させる。

ビオレ「よし、絶火・魔法剣!」

パリス「絶火・魔法弾!」

エピナール「ちっ! 華桜氷閃!」

エピナールの攻撃の後、すぐに回復。

ソレイユ「光よ癒せ…エーテルキュア!」

このまま押し切れば……何とか。

……あれ? 確かセピアにはもう一つ属性が追加されていて…。

エピナール「このままだと不味いか……なんてな! 邪光絶華!」

ビオレ「うあっ!?」

パリス「うっ、く…」

今のは…!?

エピナール「驚いたかよ!? これがこの状態の俺の特殊属性、邪光属性!

光と闇を兼ね備えた属性だ! 光属性と闇属性持ちのどちらにも有効だ!」

だからビオレとパリスが…。

そうなるとソレイユも危険に。

エルブ「っ! 閃・氷結廻華!!」

エルブが斬り込んだ。刀同士のぶつかる音が響く。

サルファー「絶火・魔法矢!!」

エルブが引き付けている間に矢を放つ。

エピナール「! くそっ!」

エルブから一度離れて矢をかわす。

エピナール「ロストシャイン!」

ソレイユ「くっ!」

エルブを無視して後ろのソレイユに技が向かった。

エルブ「! はあっ!」

再度エルブがエピナールに刀をぶつける。

パリス「え、エルブ…!」

ビオレ「無茶よ、落ち着いて一回離れて!」

でも、エルブは離れようとしない。

エルブ「ぐ…っうわっ!?」

押し負けてエルブが弾き飛ばされる。

エピナール「雑魚は雑魚らしく這いつくばれよ!?

惨めに這いつくばったところで、助けはしねぇけどなぁ!?」

悪魔の名に相応しい…。邪悪な紳士とはよく言ったもの。

エルブ「…僕が、止めないと…っ」

またエルブが立ち上がる。

エピナール「てめぇはうぜェんだよ! くたばってろよォ!?」

螺旋邪光葬!」

まずい…。そう思った時、ソレイユがみんなの前に立ちはだかった。

ソレイユ「守護せよ…バリアフィールド!」

パリス「っ、光の雨よ…エードヒーリア!」

ソレイユがバリアを張って防いだ隙にパリスは急いで回復に移る。

ビオレ「…風刃華!」

サルファー「風に舞え…シルフィード!」

回復後、すぐに立て直して技を叩きこむ。

エピナール「こいつら…!」


エピナール『ありがとうございます、ゼファ様』


『セピアさんの指導に疲れ切ってるようでして』


『私達の家族は、陛下達だけです』


………

エピナール「クク……クハハハハハハハ!!!

本当に…どこまで周りの連中は、俺達を…!」

まだ立ち上がる…!

というか、何の話だ!?

エピナール「陛下の邪魔をする奴は、みんな消してやる…!

消忌絶氷閣!!」

エピナールの奥義が放たれた。

ビオレ「ソレイユ! バリアもつ!?」

ソレイユ「さっきの防いだので限界! 防御して!」

エルブだけが前に出た。

エルブ「桜舞え、凍れ…この一閃に…祈桜氷一閃!」

エルブの奥義がエピナールの奥義に刃向った。

ガキンという劈くような音と共に、奥義は相殺。

エピナール「エルブ……」

エルブ「皆さん、ここからは僕が…どうか休んでいてください!」

エピナール「今まで、俺に勝てなかったのにか!?」

ゼルシェード「……下がれ、お前達。

この兄弟の決着は、あいつらにしか付けられん!」

そう言われては下がるしかない。

ソレイユ「エルブ…負けなければ何も言わない」

エピナール「この世には越えられねぇ壁があるんだよ!!

弟は、兄に勝てねぇ!! 思い知れ!!!」

エルブ「兄さん。今度は僕が、兄さんを導く番です!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

堕天使の黙示録-アポカリプス-

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜
ファンタジー
記憶を取り戻すための旅。 記憶は、あった方がいいのか、それとも戻らない方がいいのか…。 見たくない過去なら? 辛い運命なら? 記憶の無い者達が導かれ、めぐり逢い、旅をしていく物語。 真実を見た先に、彼らの出す答えは…。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~

ことのはおり
ファンタジー
渡会 霧(わたらい きり)。36歳。オタク。親ガチャハズレの悲惨な生い立ち。 幸薄き彼女が手にした、一冊の辞典。 それは異世界への、特別招待状。 それは推しと一緒にいられる、ミラクルな魔法アイテム。 それは世界を救済する力を秘めた、最強の武器。 本棚を抜けた先は、物語の中の世界――そこからすべてが、始まる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...