月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

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過去と現在は手を取り合って

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 91話

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セピアを倒して、その先へ向かう。

また廊下に部屋があちこちあるエリアに出る。

エルブ「……ここは……」

ソレイユ「ここってどの辺り?」

エルブ「……この階は、確か僕と兄さんの部屋があったはず。

ちょっと、寄って行ってもいいですか?」

この城に関してはエルブの方が詳しいし、

どのみち正しい方向もよく分からないので、エルブに付いて行くことに。

サルファー「ええ、じゃあ、案内お願いします」

…とはいえ、道中だって魔物はいるわけで…

エルブ「裂氷・魔法剣!」

パリス「弾けよ…バブルスプラッシュ!」

ソレイユ「空天翔!」

魔物は、みんなゼファの為なんだろう…。

ゼファの人望は本物だ。

エルブ「……あっ、ここです、この部屋!」

ビオレ「さ、さっさと入りましょ!?」

魔物にバレる前に部屋の中に隠れる。


部屋の中は全く荒れていない。

魔物も部屋までは来ないのだろう。

ゼルシェード「エルブ。この部屋に何かあるのか?」

エルブ「えっと…大した話じゃないんですけど……」

そう言って、部屋の隅にある棚を探り始めた。

ソレイユ「何かあるの?」

覗き込むと、エルブは一つの箱を持っていた。

パリス「その箱は…?」

エルブ「あった…。

…これは、陛下のための誕生日プレゼントです。

ほら、ここに。セピアさんの文字で…」

『ゼッ君にしか開けられないようになっています』

確かに、セピアが書いた感じ。

ビオレ「なんでゼファ宛てのプレゼントがここに?」

エルブ「……クレセディアが滅んだのは、陛下の誕生日の前日だったんです。

この中身は、僕らと国民からの手紙が入っています。」

誕生日の前に滅んだ……

誕生日に滅ぶのも嫌だが、前日というのも…。

エルブ「僕達は、陛下を助けるつもりで来ています。

…無事に帰ったら…渡したいんです…」

ソレイユ「……うん、そうだね。

持って行っておこっか。」

サルファー「帰ったら渡しましょう。渡し損ねた誕生日プレゼント。

…何が何でも、ゼファを連れ帰らなければなりませんね」

エルブ「……はいっ!」

そうなれば、余計に時間を取られている場合じゃない。

早く、ゼファの元まで行かないと…。


外の様子を確認してから部屋を出て、廊下を進む。

歩いている感じ、さっきのような迷路はなさそうだった。

ただ…次の部屋に行くためであろう扉が見つかるも、開かない。

ゼルシェード「………どこかに仕掛けでもあるのかもしれないな。」

パリス「……この通路の下にも部屋があるみたいですよ。」

パリスが言った方を見ると、確かに、広めの部屋があるようだ。

ソレイユ「…行ってみた方が早いかもね」

距離は遠くないので、向かってみると、

ビオレ「な、何これ?」

何個もある水晶。それぞれの水晶の載っている土台には何か文字が書いてある。

サルファー「……「孤独な泣けぬ異形。我が名を告げよ」…これって、

古代文字の…ですよね?」

エルブ「「孤独な泣けぬ異形」……フェズ……」

そうエルブが発すると、その水晶は光り出した。

ゼルシェード「なるほど…その呼び名に対応した奴の名を告げることで、あの扉は開くのか」

ソレイユ「じ、じゃあ! これは…「平和を願う優しい心」……サラテリ!」

また水晶が光った。

ビオレ「「復讐を誓う強き盾」…プリムローズね」

サルファー「「病を救う頼れる神官」…グラファイト…」

それぞれ正解のようで水晶は光る。

パリス「じゃあこっちは…「友を想う狂気の淑女」…セピア」

エルブ「…これは…「友の剣となる邪悪な紳士」…僕の兄、エピナールですね」

これまた正解。

ソレイユ「…まだある! えっと…「民のために呪いを詠う姫君」は…フロスティ」

残り二つの水晶。

ソレイユ「……「王を支えたこの世の管理神」…これは…もしかして…」

ゼルシェード「…俺だな。あいつが作った仕掛けなら…

…俺はもう、管理神を降りているというのに…」

ソレイユ「…ゼルシェード」

水晶は光った。どうやら当たりのようだ。

ゼルシェード「後一つは恐らく…」

サルファー「「心優しく慈悲深い時の王」」

ビオレ「ゼファね」

最後の水晶が光ると同時に何か仕掛けが作動した音がした。

エルブ「あ、鍵が開いたかもしれません!」

パリス「戻ってみましょう。通れるかも!」


先ほどの開かない扉の所まで戻って来て、軽く扉を押してみる。

ギイっと開きそうな感じ。

ゼルシェード「待て。この先から魔力がある。

恐らくエピナールだろう」

エルブ「! ……兄さん……」

ソレイユ「エルブが決着つけるんでしょ?」

ソレイユがエルブに問いかける。もちろん答えは分かっている。

エルブ「…もちろんです。

僕の能力スキル捉える刃ポーテスト・エヴァーデレは、

相手に必ず命中させる。兄さんが能力スキルを使って来ても、当たります」

心配なのは、相手がどうしても先制取る事ぐらいか…。

ゼルシェード「…エルブ。エピナールはお前であっても容赦しないぞ」

あの時、各国解放に走っていた時に言われているから分かっている。


エピナール『エルブ。次は容赦しませんよ』


エルブ「……わかってます」

ビオレ「準備いいなら行きましょ。…パリスは…いいの?」

パリス「私は、エルブを信じてますよ」

一瞬エルブが目をそらしたような…うーん、もどかしいな。

サルファー「…皆さん、覚悟はできてるようですね。

……行きましょう。」

扉に手をかけ、開く。先にいるのは、エピナール。
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