月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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過去と現在は手を取り合って

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 89話

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開けた場所に出た。

先ほど廊下の窓から見た庭園だ。

そこでテーブル用意に椅子に座って紅茶を飲んでる人が一人。

セピアだ。

ソレイユ「ええ…セピア…」

パリス「のんびりですね…」

こちらの声に気付いて立ち上がる。

セピア「…皆さん、いらっしゃってしまったのですね。とうとう」

サルファー「…来ると気付いていたのでは?」

セピア「サルファー…いつもでしたら会えて嬉しいのですが、

今回ばかりは逆ですわ…世界を変えるまで、大人しくしてほしかった…」

まだ、諦めていなかったのか…

ビオレ「悪いけど、足止め喰らってる場合じゃないの。

さっさと突破させてもらうわよ?」

エルブ「セピアさん……」

エルブからしたらセピアは礼儀作法等々教えてくれた人だ。

怖かったらしいが…。

セピア「…結局、あの日以来私達の所に戻りませんでしたわね…」

エルブ「…陛下を止めると決めました。だから戦います」

ゼルシェード「お前達こそ、止まる気は無いだろう?」

答えは分かっている。

セピア「ええ、……本音を言えば、陛下を犠牲にしてまで国などいりませんわ…」

パリス「だったら、どうして…」

セピア「…陛下の…ゼッ君の望みだから…」

ぜ、ゼッくん……???

セピア「……陛下の望みをワタクシ達は果たすだけ…

……本当に、憎いですわ…クレセディアを滅ぼし、陛下を苦しませたこの三大陸が!

……陛下に反論できないワタクシ自身も憎い…!」

セピア……。


セピア「血の舞台サングイス・スカイナ! 」

真っ赤な空間が展開される。

セピア「最初から今回は本気で行きますわ。

ヴァンピル・グラーキ!」

あの時使った奴……!

一瞬翼が映り、次の瞬間には、あの時の狂気の令嬢。

セピア「オホホホホホホホホホホホ!!!

さア! 血ニ染まリなさイ!!」

ゼルシェード「くっ、オーブを使って狂ったか!」

サルファー「淑女の面影もないですね…!」

もうそれは満たされるまで殺しの限りを尽くす史上最悪の吸血鬼!

セピア「貴方方の血ヲ、ワタクシに下さいマセ!?

一滴残ラズ!!!」

ソレイユ「……みんな、行くよ!」

怖がってなんていられない。

セピア「ブラッドバーン!」

サルファー「ぐっ!」

体内の血液を爆発させる技…最初に見た時にえげつないと思ったな。

パリス「サルファー! 癒せ…エードヒール!

……っ! 飲み込め…タイダルウェーブ!」

サルファーを回復させて即反撃に移る。

セピア「無駄ですわ! ブラッドプロテクト!!」

血属性で作った盾にパリスの魔法が防がれる。

盾……バリアの部類か。

エルブ「一定時間たてば勝手に切れるでしょうが、

僕がやります! 捉える刃ポーテスト・エヴァーデレ!」

エルブが能力スキルを使うと、血の盾は即破壊。

セピア「っ!?」

ソレイユ「ナイスエルブ! 火炎輪!」

セピア「デーモンビュア!」

今の技は…!?

血属性じゃない。

セピア「この状態のワタクシは二ツ属性を持ッてイマスノ!!

これは魔属性…血属性と同じ特殊属性ですワァ!!」

サルファー「厄介な…っ、水月矢!」

ビオレ「魂を喰らえ…ソウルイーター!」

サルファーの技は耐性こそないが、弱点でもない感じ。

ビオレのは明らか不利そう。

セピア「ノワールペイン!」

パリス「視界を閉ざせ…フラッシュスクリーン!」

咄嗟にパリスが動いた。

エルブ「パリス……っ! 氷刃・一刀!」

ソレイユ「連煌斬舞!!」

視界を閉ざされ、セピアの技が外れたすきに、二人で畳みかけた。

セピア「なっ!?」


セピア『どうして私まで…』


『エルブ、何か言いまして?』


『しっかりしろ。あれが、最善だったのは分かってるはず』


………

セピア「……フフ……

オホホホホホホホホホホホ!!! 

この程度で、まだ…終わレませんワァァァァ!!」

まだ立ち上がってくる…しかも叫ぶ元気まで…。

セピア「ブラッドロストエデン!!」

セピアの奥義…!

ゼルシェード「不味い、避けろ!」

避けろったって…間に合わない!

サルファー「皆さんせめて伏せて!」

ビオレ「もしくは防御!!」

そんな中、パリスは前に立った。

エルブ「パリス!?」

パリス「涙の意味よ…光よ貫け…ライトティアーレイ!!」

パリスが奥義を放って、セピアに真っ向から立ち向かった。

パリス「っ!!」

パリスもダメージを受けたが、

防いでくれたおかげで全体的に大事には至っていない。

ソレイユ「パリス!! もう! 光よ癒せ…エーテルキュア!」

慌ててソレイユが回復する。

セピア「…凌…イダ?」

パリス「…セピア…まだやりますか…

なら、ここからは私が相手になります……」

いつものパリスからは想像つかないが、睨みつけている。

ゼルシェード「…人の変化というのは、早いな…」

ソレイユ「う、うん…」

パリス「……貴方は、私が止めます…!

同じ貴族として…大事な人がいる者同士として…!

…自分の気持ちに、これ以上嘘をつかせないために!!」

パリスは…ずっと自分の気持ちに嘘をついて生きてきた。

それを克服した。いろいろな人の助けもあって。

だからこそ、そんなパリスだからこそ、この言葉に重みがかかる。

サルファー「……下がりましょう。」

ビオレ「ええ、私達の出る幕はないわね」

エルブ「……パリス、気を付けて」

全員後ろに下がる。

セピア「貴方一人デ、ワタクシに刃向うト?

身の程を知リナサイ!!」

パリス「貴方を、解放します…これ以上自分に嘘はつかせない!」
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