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過去と現在は手を取り合って
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 88話
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インフェヌムを退かせて、城内へ入る。
が…その光景は。
ソレイユ「何か、綺麗?」
パリス「前に来た時はもっとボロボロだったような…」
その通り。以前来た時は穴は空いてるヒビは入ってる瓦礫は落ちてる状態。
だけど今は、まるで昔のままのような内装に。
エルブ「…陛下かもしれません。
律刻剣をちゃんと扱える陛下がいることで、
城をその力で元の姿に戻したのかと」
サルファー「今の方が歩きやすいですね。
以前は危なっかしかったので」
ビオレ「昔は、こんな城で過ごしていたのね…」
滅びさえしなければ……
ゼルシェード「………とにかく、先へ進むぞ。
そう簡単にいかせてはくれないだろうがな」
辺りを見渡すと、先に続く道は途絶えている。
恐らくトラップ。どこかで解除してこなければならないのだろう。
ソレイユ「うーん……まず、左右から行ってみよっか?」
見れば左と右にも道がある。
ゼルシェード「行ける所から行ってみろ。何かあるかもしれん」
ゼルシェードにもそう言われ、まず左から見に行ってみた。
ビオレ「巻き上がれ…トルネード!」
サルファー「水圧よ斬れ…アクアエッジ!」
城内にも魔物はいるもので、度々戦闘に。
まあ、そこまで苦戦はしないのだが…。
パリス「向こうも本気で足止めにかかってますね」
エルブ「兄さん達もいます。世界の破滅に間に合わないようにするつもりでしょう」
断固阻止だ!
左の突き当りまで来ると、青い水晶が置いてあった。
ソレイユ「これ、どうしたらいいんだろ? 何かの仕掛けなのは確かだと思うけど…」
エルブ「……氷の刃…アイシクル!」
水晶に近付いたエルブが魔法を撃つと、水晶が光った。
ビオレ「今何やったの?」
エルブ「やっぱり…色に対応した属性魔力をぶつけると発動する仕組みですね。
青だったので、氷か水か分からなかったですが、氷のようです。」
なるほど……
パリス「もう片方にもあるかもしれませんね」
サルファー「ええ。行きましょう!」
1つトラップを解除して、もう右側に移動してみる。
案の定、左側と同じ水晶が。こっちのは赤色だ。
ゼルシェード「……火か?」
ソレイユ「やってみるよ。燃え盛れ…イフリティア!」
赤い水晶はソレイユの魔法を受けて、光り出した。
パリス「あたりですね!」
すると、どこからか物音が響いた。
サルファー「…仕掛けが動いたかもしれません」
ビオレ「道ができてるかも。戻りましょ」
ソレイユ「…っと、その前に…回火裂舞!!」
飛び出してきた魔物を倒す。
エルブ「わ、やっぱり足止めしてくるんですね…」
仕掛けに魔物に、時間が間に合えば良いのだが…。
挙句に城。広い。
さっきの場所に戻ってみると、見事に道ができていた。
ゼルシェード「よし、これで先に進めるな。」
ソレイユ「毎度毎度こんな仕掛け喰らわない…よね??」
ビオレ「そう信じたいけど…ね…」
先に進むと、廊下のような場所に出た。
所々食堂やら、誰かの部屋やらがある。
窓からは…
パリス「何か見えますよ? あれは…庭?」
サルファー「二階に庭ですか?」
エルブ「あれは…バラ迷宮を抜けた先の…」
バラ迷宮。エルブが言うにはこの城が自慢していた所だそうで。
貴族の女性や使用人の女性も含めて、お茶会が良く開かれていたらしい。
ビオレ「貴族の女性、ね…」
ソレイユ「……セピアが、居るかもね」
パリス「…ソレイユ。みんなも。
セピアとの決着は、私に付けさせて?」
言い出すだろうな、とは思っていた。
サルファー「パリス…平気ですか? 彼女は…」
パリス「皆さん一騎打ちしてます。
それに私、同じ貴族としてセピアさんのやり方は気に入りません。
ブライトさんも言ってましたけど、相手の気持ちを考えずものにしようとしたり、
淑女と言いながら、聞いて呆れるような態度。」
……何だろう。パリスは本当に、初期のころと考えるとあまりにしっかりしてしまった。
ゼルシェード「……任せてやれ。」
ソレイユ「ゼルシェード」
ゼルシェード「セピアに関しては、パリスの属性は有効だ。
最終的な決着は任せてもいいと思う」
ゼルシェードがそこまで言うなら…。
エルブ「……パリス。…厳しそうならすぐ言って…ください」
パリス「……はいっ」
…ん? んん? なーんかいい雰囲気。
サルファー「……ふふ、さあ、立ち止まってないで先へ」
ゼルシェード「…はあ…やれやれ…手がかかるな…」
エルブ「?? な、なんですかもう!!」
そんなこんなでごちゃごちゃしながらバラ迷宮まで辿り着く。
緊張感が無い…が、変に緊張するよりはいいのかもしれない。
…………
ソレイユ「広くない?」
ビオレ「迷宮ってだけあるわよね…」
エルブ「僕も何度か迷子になりましたよ。
…二階はトラップの代わりに迷路ですかね」
それはそれでめんどくさい。その上…
パリス「! 弾けよ…バブルスプラッシュ!!」
ええ…ここにも魔物が出るのか…。
エルブ「こっちも! 桜花氷無!」
戦っている間に道を忘れそうだ…。
ゼルシェード「……魔力反応がある。
…俺が示すから、その通りに行けば迷わないだろう」
サルファー「誰の反応ですか?」
…………
ゼルシェード「……まあ、行けば分かるだろう」
? まあ、いいか。
ソレイユ達はゼルシェードに従って、迷宮を抜けていくことに。
ゼルシェード(……魔力が、誰なのか判断できない…?
……もう、限界が近いか…頼む、ゼニスを連れ戻すまでは…)
エルブ「…バラの手入れの具合も昔のままだ…
セピアさん、ここのバラ大好きだったんですよ。…いたっ!?」
不用意にバラに触るな;;;
パリス「もう…癒せ…エードヒール!」
パリスがすぐに手当て。
サルファー「変な所で余計な怪我しないようにしてくださいね?」
ビオレ「まったくよ、もうー」
すみませんと言ってるから、まあ許すけど。
ソレイユ「………」
ゼルシェード「…ソレイユ、どうした?」
ソレイユ「……ううん、またゼニスと話がしたいなぁって」
ゼルシェード「……必ず取り戻せるさ。」
そんな時にも魔物は寄って来るもので…
ソレイユ「空天翔!」
憂さ晴らしがてら撃破。
ソレイユ(焦ったらダメ。大丈夫…取り戻せる。きっと…)
ドタバタしながら迷宮を抜ける。
ソレイユ「あーやっと抜けたぁー!」
エルブ「…静かに。多分、この奥に、居ます」
…セピアかエピナール…
恐らく前者だろうが。
ゼルシェード「……行くぞ、お前達。」
「了解!」
一行はその先に歩き始めた。
が…その光景は。
ソレイユ「何か、綺麗?」
パリス「前に来た時はもっとボロボロだったような…」
その通り。以前来た時は穴は空いてるヒビは入ってる瓦礫は落ちてる状態。
だけど今は、まるで昔のままのような内装に。
エルブ「…陛下かもしれません。
律刻剣をちゃんと扱える陛下がいることで、
城をその力で元の姿に戻したのかと」
サルファー「今の方が歩きやすいですね。
以前は危なっかしかったので」
ビオレ「昔は、こんな城で過ごしていたのね…」
滅びさえしなければ……
ゼルシェード「………とにかく、先へ進むぞ。
そう簡単にいかせてはくれないだろうがな」
辺りを見渡すと、先に続く道は途絶えている。
恐らくトラップ。どこかで解除してこなければならないのだろう。
ソレイユ「うーん……まず、左右から行ってみよっか?」
見れば左と右にも道がある。
ゼルシェード「行ける所から行ってみろ。何かあるかもしれん」
ゼルシェードにもそう言われ、まず左から見に行ってみた。
ビオレ「巻き上がれ…トルネード!」
サルファー「水圧よ斬れ…アクアエッジ!」
城内にも魔物はいるもので、度々戦闘に。
まあ、そこまで苦戦はしないのだが…。
パリス「向こうも本気で足止めにかかってますね」
エルブ「兄さん達もいます。世界の破滅に間に合わないようにするつもりでしょう」
断固阻止だ!
左の突き当りまで来ると、青い水晶が置いてあった。
ソレイユ「これ、どうしたらいいんだろ? 何かの仕掛けなのは確かだと思うけど…」
エルブ「……氷の刃…アイシクル!」
水晶に近付いたエルブが魔法を撃つと、水晶が光った。
ビオレ「今何やったの?」
エルブ「やっぱり…色に対応した属性魔力をぶつけると発動する仕組みですね。
青だったので、氷か水か分からなかったですが、氷のようです。」
なるほど……
パリス「もう片方にもあるかもしれませんね」
サルファー「ええ。行きましょう!」
1つトラップを解除して、もう右側に移動してみる。
案の定、左側と同じ水晶が。こっちのは赤色だ。
ゼルシェード「……火か?」
ソレイユ「やってみるよ。燃え盛れ…イフリティア!」
赤い水晶はソレイユの魔法を受けて、光り出した。
パリス「あたりですね!」
すると、どこからか物音が響いた。
サルファー「…仕掛けが動いたかもしれません」
ビオレ「道ができてるかも。戻りましょ」
ソレイユ「…っと、その前に…回火裂舞!!」
飛び出してきた魔物を倒す。
エルブ「わ、やっぱり足止めしてくるんですね…」
仕掛けに魔物に、時間が間に合えば良いのだが…。
挙句に城。広い。
さっきの場所に戻ってみると、見事に道ができていた。
ゼルシェード「よし、これで先に進めるな。」
ソレイユ「毎度毎度こんな仕掛け喰らわない…よね??」
ビオレ「そう信じたいけど…ね…」
先に進むと、廊下のような場所に出た。
所々食堂やら、誰かの部屋やらがある。
窓からは…
パリス「何か見えますよ? あれは…庭?」
サルファー「二階に庭ですか?」
エルブ「あれは…バラ迷宮を抜けた先の…」
バラ迷宮。エルブが言うにはこの城が自慢していた所だそうで。
貴族の女性や使用人の女性も含めて、お茶会が良く開かれていたらしい。
ビオレ「貴族の女性、ね…」
ソレイユ「……セピアが、居るかもね」
パリス「…ソレイユ。みんなも。
セピアとの決着は、私に付けさせて?」
言い出すだろうな、とは思っていた。
サルファー「パリス…平気ですか? 彼女は…」
パリス「皆さん一騎打ちしてます。
それに私、同じ貴族としてセピアさんのやり方は気に入りません。
ブライトさんも言ってましたけど、相手の気持ちを考えずものにしようとしたり、
淑女と言いながら、聞いて呆れるような態度。」
……何だろう。パリスは本当に、初期のころと考えるとあまりにしっかりしてしまった。
ゼルシェード「……任せてやれ。」
ソレイユ「ゼルシェード」
ゼルシェード「セピアに関しては、パリスの属性は有効だ。
最終的な決着は任せてもいいと思う」
ゼルシェードがそこまで言うなら…。
エルブ「……パリス。…厳しそうならすぐ言って…ください」
パリス「……はいっ」
…ん? んん? なーんかいい雰囲気。
サルファー「……ふふ、さあ、立ち止まってないで先へ」
ゼルシェード「…はあ…やれやれ…手がかかるな…」
エルブ「?? な、なんですかもう!!」
そんなこんなでごちゃごちゃしながらバラ迷宮まで辿り着く。
緊張感が無い…が、変に緊張するよりはいいのかもしれない。
…………
ソレイユ「広くない?」
ビオレ「迷宮ってだけあるわよね…」
エルブ「僕も何度か迷子になりましたよ。
…二階はトラップの代わりに迷路ですかね」
それはそれでめんどくさい。その上…
パリス「! 弾けよ…バブルスプラッシュ!!」
ええ…ここにも魔物が出るのか…。
エルブ「こっちも! 桜花氷無!」
戦っている間に道を忘れそうだ…。
ゼルシェード「……魔力反応がある。
…俺が示すから、その通りに行けば迷わないだろう」
サルファー「誰の反応ですか?」
…………
ゼルシェード「……まあ、行けば分かるだろう」
? まあ、いいか。
ソレイユ達はゼルシェードに従って、迷宮を抜けていくことに。
ゼルシェード(……魔力が、誰なのか判断できない…?
……もう、限界が近いか…頼む、ゼニスを連れ戻すまでは…)
エルブ「…バラの手入れの具合も昔のままだ…
セピアさん、ここのバラ大好きだったんですよ。…いたっ!?」
不用意にバラに触るな;;;
パリス「もう…癒せ…エードヒール!」
パリスがすぐに手当て。
サルファー「変な所で余計な怪我しないようにしてくださいね?」
ビオレ「まったくよ、もうー」
すみませんと言ってるから、まあ許すけど。
ソレイユ「………」
ゼルシェード「…ソレイユ、どうした?」
ソレイユ「……ううん、またゼニスと話がしたいなぁって」
ゼルシェード「……必ず取り戻せるさ。」
そんな時にも魔物は寄って来るもので…
ソレイユ「空天翔!」
憂さ晴らしがてら撃破。
ソレイユ(焦ったらダメ。大丈夫…取り戻せる。きっと…)
ドタバタしながら迷宮を抜ける。
ソレイユ「あーやっと抜けたぁー!」
エルブ「…静かに。多分、この奥に、居ます」
…セピアかエピナール…
恐らく前者だろうが。
ゼルシェード「……行くぞ、お前達。」
「了解!」
一行はその先に歩き始めた。
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