月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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過去と現在は手を取り合って

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 88話

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インフェヌムを退かせて、城内へ入る。

が…その光景は。

ソレイユ「何か、綺麗?」

パリス「前に来た時はもっとボロボロだったような…」

その通り。以前来た時は穴は空いてるヒビは入ってる瓦礫は落ちてる状態。

だけど今は、まるで昔のままのような内装に。

エルブ「…陛下かもしれません。

律刻剣をちゃんと扱える陛下がいることで、

城をその力で元の姿に戻したのかと」

サルファー「今の方が歩きやすいですね。

以前は危なっかしかったので」

ビオレ「昔は、こんな城で過ごしていたのね…」

滅びさえしなければ……

ゼルシェード「………とにかく、先へ進むぞ。

そう簡単にいかせてはくれないだろうがな」

辺りを見渡すと、先に続く道は途絶えている。

恐らくトラップ。どこかで解除してこなければならないのだろう。

ソレイユ「うーん……まず、左右から行ってみよっか?」

見れば左と右にも道がある。

ゼルシェード「行ける所から行ってみろ。何かあるかもしれん」

ゼルシェードにもそう言われ、まず左から見に行ってみた。


ビオレ「巻き上がれ…トルネード!」

サルファー「水圧よ斬れ…アクアエッジ!」

城内にも魔物はいるもので、度々戦闘に。

まあ、そこまで苦戦はしないのだが…。

パリス「向こうも本気で足止めにかかってますね」

エルブ「兄さん達もいます。世界の破滅に間に合わないようにするつもりでしょう」

断固阻止だ!

左の突き当りまで来ると、青い水晶が置いてあった。

ソレイユ「これ、どうしたらいいんだろ? 何かの仕掛けなのは確かだと思うけど…」

エルブ「……氷の刃…アイシクル!」

水晶に近付いたエルブが魔法を撃つと、水晶が光った。

ビオレ「今何やったの?」

エルブ「やっぱり…色に対応した属性魔力をぶつけると発動する仕組みですね。

青だったので、氷か水か分からなかったですが、氷のようです。」

なるほど……

パリス「もう片方にもあるかもしれませんね」

サルファー「ええ。行きましょう!」


1つトラップを解除して、もう右側に移動してみる。

案の定、左側と同じ水晶が。こっちのは赤色だ。

ゼルシェード「……火か?」

ソレイユ「やってみるよ。燃え盛れ…イフリティア!」

赤い水晶はソレイユの魔法を受けて、光り出した。

パリス「あたりですね!」

すると、どこからか物音が響いた。

サルファー「…仕掛けが動いたかもしれません」

ビオレ「道ができてるかも。戻りましょ」

ソレイユ「…っと、その前に…回火裂舞!!」

飛び出してきた魔物を倒す。

エルブ「わ、やっぱり足止めしてくるんですね…」

仕掛けに魔物に、時間が間に合えば良いのだが…。

挙句に城。広い。


さっきの場所に戻ってみると、見事に道ができていた。

ゼルシェード「よし、これで先に進めるな。」

ソレイユ「毎度毎度こんな仕掛け喰らわない…よね??」

ビオレ「そう信じたいけど…ね…」

先に進むと、廊下のような場所に出た。

所々食堂やら、誰かの部屋やらがある。

窓からは…

パリス「何か見えますよ? あれは…庭?」

サルファー「二階に庭ですか?」

エルブ「あれは…バラ迷宮を抜けた先の…」

バラ迷宮。エルブが言うにはこの城が自慢していた所だそうで。

貴族の女性や使用人の女性も含めて、お茶会が良く開かれていたらしい。

ビオレ「貴族の女性、ね…」

ソレイユ「……セピアが、居るかもね」

パリス「…ソレイユ。みんなも。

セピアとの決着は、私に付けさせて?」

言い出すだろうな、とは思っていた。

サルファー「パリス…平気ですか? 彼女は…」

パリス「皆さん一騎打ちしてます。

それに私、同じ貴族としてセピアさんのやり方は気に入りません。

ブライトさんも言ってましたけど、相手の気持ちを考えずものにしようとしたり、

淑女と言いながら、聞いて呆れるような態度。」

……何だろう。パリスは本当に、初期のころと考えるとあまりにしっかりしてしまった。

ゼルシェード「……任せてやれ。」

ソレイユ「ゼルシェード」

ゼルシェード「セピアに関しては、パリスの属性は有効だ。

最終的な決着は任せてもいいと思う」

ゼルシェードがそこまで言うなら…。

エルブ「……パリス。…厳しそうならすぐ言って…ください」

パリス「……はいっ」

…ん? んん? なーんかいい雰囲気。

サルファー「……ふふ、さあ、立ち止まってないで先へ」

ゼルシェード「…はあ…やれやれ…手がかかるな…」

エルブ「?? な、なんですかもう!!」


そんなこんなでごちゃごちゃしながらバラ迷宮まで辿り着く。

緊張感が無い…が、変に緊張するよりはいいのかもしれない。

…………

ソレイユ「広くない?」

ビオレ「迷宮ってだけあるわよね…」

エルブ「僕も何度か迷子になりましたよ。

…二階はトラップの代わりに迷路ですかね」

それはそれでめんどくさい。その上…

パリス「! 弾けよ…バブルスプラッシュ!!」

ええ…ここにも魔物が出るのか…。

エルブ「こっちも! 桜花氷無!」

戦っている間に道を忘れそうだ…。

ゼルシェード「……魔力反応がある。

…俺が示すから、その通りに行けば迷わないだろう」

サルファー「誰の反応ですか?」

…………

ゼルシェード「……まあ、行けば分かるだろう」

? まあ、いいか。

ソレイユ達はゼルシェードに従って、迷宮を抜けていくことに。

ゼルシェード(……魔力が、誰なのか判断できない…?

……もう、限界が近いか…頼む、ゼニスを連れ戻すまでは…)


エルブ「…バラの手入れの具合も昔のままだ…

セピアさん、ここのバラ大好きだったんですよ。…いたっ!?」

不用意にバラに触るな;;;

パリス「もう…癒せ…エードヒール!」

パリスがすぐに手当て。

サルファー「変な所で余計な怪我しないようにしてくださいね?」

ビオレ「まったくよ、もうー」

すみませんと言ってるから、まあ許すけど。

ソレイユ「………」

ゼルシェード「…ソレイユ、どうした?」

ソレイユ「……ううん、またゼニスと話がしたいなぁって」

ゼルシェード「……必ず取り戻せるさ。」

そんな時にも魔物は寄って来るもので…

ソレイユ「空天翔!」

憂さ晴らしがてら撃破。

ソレイユ(焦ったらダメ。大丈夫…取り戻せる。きっと…)


ドタバタしながら迷宮を抜ける。

ソレイユ「あーやっと抜けたぁー!」

エルブ「…静かに。多分、この奥に、居ます」

…セピアかエピナール…

恐らく前者だろうが。

ゼルシェード「……行くぞ、お前達。」

「了解!」

一行はその先に歩き始めた。
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