月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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取り戻すべく

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 83話

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ゼルシェードの空間に転移した一行。

そこはゼニスとゼルシェードが会話していた、空の上のような場所。

ソレイユ「わ、すごい…」

サルファー「ここで、ゼニスとゼルシェードさんは会話していたことが?」

ゼルシェード「ああ、そうだ」

一人、見慣れない人が歩いてきた。でも確かにゼルシェードの声。

パリス「え…」

ビオレ「ゼルシェードなの?」

エルブ「わあっ!久しぶりに姿見ました!」

エルブの反応を見る限り、そうなのだろう。

フロスティ「いかにも。この方がゼルシェード様自身。」

ゼルシェード「この姿でお前達と会うのは初めてだな」

やっぱり神様なんだなぁ…と思う。

オッドアイに銀髪。神様の特徴だ。

翼はなくなっているが…。

フロスティ「さて、本題に入ろうかの。四人とも」

四零士が前に出た。

フロスティ「これから我らと戦ってもらうが…

フェズ達は、話し合いは済んだのか?」

サラテリ「うん! あたしはパリスとやるよ!」

パリス「え、わ、私ですか?」

サラテリはパリスと。

グラファイト「僕はサルファー。まあ、前と同じね」

サルファー「なるほど…やりやすいですよ」

グラファイトはサルファーと。

プリムローズ「私はビオレ」

ビオレ「またあなたね…受けて立つわ」

プリムローズはビオレと。

……じゃあ……

フェズ「俺はエルブな。」

エルブ「ふ、フェズさんと!? お、お手柔らかにお願いします;;;」

フェズはエルブと。

フロスティ「ソレイユは、言ったとおり我とじゃ。」

ソレイユ「…うん。」

ゼルシェード「あとは何とかやれ。俺は待ってる。」

あれ…ゼルシェードは…というか、待ってる…って?

フロスティ「ゼルシェード様は休んでいる事にしたのじゃよ。

待ってるというのはここで待っているという話じゃ。

全員は………この空間内で散り散りじゃ」

そう言うと、全員が転移させられた。その場にゼルシェードだけ残して。

ゼルシェード「……ゼニス。お前は生きていい。これだけ愛されているんだ。

………俺も覚悟を決めないとな。

能力の消耗の大きさを考えたら…あれが最後になるか…」


フロスティ「ソレイユ」

ソレイユ「フロスティ…今、どうなったの?」

フロスティ「分断して、皆別の所に飛んだ。

ここは我とそなただけじゃ」

いっぺんに同じところで戦うとごちゃごちゃするからだろうか。

フロスティ「…他の所より、そなたが一番厳しいぞ。

流変剣に適する魔力に変化させるため、

そなたの体内魔力を我の能力スキルでいじくる。

その際の痛みは相当じゃ。そなたの能力スキルで回復しながら、我に攻撃してくるが良い」

ソレイユ「……要は拷問染みてるわけね…

……分かった。やる…!」


プリムローズ「また戦う事になるなんてね…」

ビオレ「前みたいに憎しみは無いけど。…いいの?

私達は貴方達の王の願いを阻止しようとしてるのよ?」

少しプリムローズは黙った後に

プリムローズ「本音は誰も陛下に犠牲になってほしくない。

私達はそっちに負けた。じゃあ、陛下を止めるために協力する。」

ビオレ「……そっか。」

プリムローズ「いい? この空間で死ぬ事はない。

だから、全力で打ち込んできて」

そう言って魔刃を展開させる。

ビオレ「…そっくりそのままお返しするわ! ゼニスを取り戻すために、負けない」


グラファイト「無難にあんたにしたけど、あんたはそれで良かった?」

サルファー「ええ、あなた相手の方が慣れていますし。」

散々戦ったからだが……

サルファー「…それより、ありがとうございます。

ジューン様が治ったのは本当だったんですね」

グラファイト「会ったの?」

サルファー「いいえ。あのあとゼニスが攫われたりで会えませんでした。

ですが、悲報が私に来ない時点で、大きな問題は起きてないと思いましたから」

少しグラファイトが呆れた感じで頭をかいた。

グラファイト「お人好し。…ほら、さっさと始めるよ。

あんた達は急いでるんだし」

サルファー「ええ、始めましょうか」


サラテリ「パリスと一騎打ちは初めてだよね。

同じ魔法得意同士よろしく!」

パリス「は、はい…!」

サラテリはレイピアを持ってるとはいえ、魔法の方が得意である。

サラテリ「んー、パリスはもしかして、セピアを止める気でいるのかな?」

パリス「……はい。同じ貴族。彼女の態度にはいろいろ気になるところがありますし。

何より、無理矢理人を手に入れようとするのが許せないです」

サラテリ「ほほう。じゃあ、あたしは厳しくするか。

セピア、結構容赦ないからさ」

そう言ってレイピアを抜く。

パリス「……はいっ、お願いします!」


フェズ「お前と戦った事あったっけか?」

エルブ「いえ、無いですね。

僕の戦闘技術を教えてくれたのはプリムローズさんとサラテリさんでしたから」

フェズ「……エルブ。ゼニス君を師匠に持って、どうだった?」

エルブ「…楽しかったです。僕にとって、フェズさん達とは別の家族みたいに。

だから、僕はゼニス師匠を助け出します。そして、陛下も止めます」

それを聞いて、ちょっとほほ笑む。

一度エルブが経験した事のある顔だった。

フェズ「言うようになったな。……良かったぜ。

俺もゼニス君は放っておきたくないしなぁ、ゼファもこうなったらもう死なせたくねぇ。

…いいか、エルブ。手加減しねぇぞ!」

エルブ「望むところです、フェズさんに、勝ちます…!」


エルブ「絶氷・魔法剣!!」

フェズ「おっとぉ! 悪命絶!」

エルブ「ぐっ!」

フェズの反撃を刀で受け止める。

フェズ「ククゲゲヒャヒャヒャアァ!! 魔法剣は全部ゼニス君から教わったんだよな!?

コンフィージェの塔で変装したお前が邪魔して来た事はまだ覚えてるぜ!」

エルブ「うっ…そ、そうですか、それはどうも!」

会話しながらも打ち合いは続く。

フェズ「黒竜貪裂牙!!」

エルブ「っ!? うわっ!?」

フェズの奥義に弾かれる。

フェズ「エルブ。ゼファに勝つにはまず相手の気をそらす事が第一だ。」

…気をそらす?

フェズ「一撃当てる必要があるんだよ。でもそれが当たらない。

……お前がやるか?」

エルブ「……はい!」

フェズ「…だったら、やってみろよ!? シャドーヴェール!」

エルブ「…はあっ!」

確かにフェズを斬りつけたはずだった。けど、すり抜けた…ような?

エルブ「え、えっ!?」

フェズ「俺のこの技もゼファと似たようなものだ。

一撃当てないと解除されない。だが、当たらない!」

エルブ(……なんとか、当てるには…!?)


パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」

サラテリ「ブリリアレイ!!」

同じ光属性の魔法が衝突する。

サラテリ「おおっ! 光属性で私と渡り合えるのはソレイユとパリスぐらいじゃない!?

相殺させるなんてやるじゃん!」

パリス「あ、ありがとう…ございます…!」

サラテリの光属性はかなり強い。それと渡り合えるならいい線をいっている。

サラテリ「ねえねえ、パリス。そっちのメンバーに緊急時の立て直しが効く人っている?」

パリス「え…ソレイユの能力スキルはありますけど…」

サラテリ「陛下の一振りに対抗できるものは?」

それを聞いてハッとする。あれは戦闘不能に追い込まれるものだ。

サラテリの酷い版…というか。

サラテリ「戦闘不能なぐらい追い込まれても立て直せる技がいる、ってこと!

ディアブリリアントスピアー!!」

パリス「あっ、く…!!」

サラテリの奥義が放たれて、その場に転げる。

この状態から立て直さないといけない。

ソレイユの能力スキルは戦闘不能間際までなら使えるが…こうなると無理だ。

サラテリ「どうする? パリス。みんなを守るのは、あんただよ?」

パリス(私が…できること…!)


サルファー「風裂弓!!」

グラファイト「亜水鎌!!」

風切り音が鳴る。

グラファイト「前より、威力増した?」

サルファー「各国解放しましたからね…!」

グラファイトが口数少ないため、あまり会話にならないのだが、

しばらく打ち合いが続いたあとに、口を再度開いた。

グラファイト「ゼファの力、全部厄介だけどさ…面倒なのが一つある。

…それが、大罪による状態異常」

サルファー「何ですか、それは…」

グラファイト「その名の通り、大罪一つ一つに状態異常があってね。

それは、並の状態異常回復じゃ治せない、特殊な奴。」

それにかかると色々面倒だそうだ。魔力が持続的に減らされたり、

常に体力を吸い取られたり、敵味方の区別がつかないetc...

グラファイト「……あんたが助けてみる? 水刃鎌没抄!!」

サルファー「くっ!」

グラファイトの奥義が腕を斬りつけていった。

グラファイト「……アクエヴォイド」

毒の魔法が腕の傷に直撃する。

グラファイト「仮にもあの子の治そうとしてたなら、医学の心得は結構あるでしょ。」

サルファー(私が…治せるようにしないと…!)


ビオレ「風殺剣!!」

プリムローズ「雷破殺環!!」

衝撃音が轟き続ける。

ビオレ「あーあ、すっかり憎しみ消えたわ!」

プリムローズ「私も、あの時よりは気が楽…」

相変わらずプリムローズはそっけない感じだが、

気の狂った虚ろな感じは少し薄れた。

プリムローズ「少し、強くなった? ……動きが前より良い気がする」

ビオレ「貴方にそう言われるとはね!」

剣を交え続けるが、そこに悪意や殺意という者は全くなかった。

厄介な相手との手合わせ、ぐらいな感じ。

プリムローズ「…陛下を止められる?」

ビオレ「止めるに決まってる。ゼニスの事もあるしね」

プリムローズ「陛下は…時々ダメージを通らなくする。

それを破れる技が……必要になる! 悪鬼戦雷凶!!」

ビオレ「なっ!? う…っ!」

プリムローズの奥義に吹っ飛ばされた。

すぐに立て直して向かうが…

プリムローズ「ウォールガーディア…!」

ビオレ「っ!? と、通らない!!」

プリムローズ「これを貫通させるだけの技が必要。どうする?」

ビオレ(…これを、破るには…私は…!)


…………


ビオレ「私がその壁、討ち破る…! 貫く意志エクシィトゥム・ムールス!」

プリムローズ「っ!? 破られた!?」

ビオレ「燕は翔け…風に殺し葬る…風葬殺燕翔!」


サルファー「大罪からさえ、救い出す…! 救済の妖精テルサス・ソルディダム!」

グラファイト「っ…浄化魔法の無いこいつが、治した…!」

サルファー「風と水に…裂けろ弾けよ…風裂水泡弓!」


パリス「私は、誰も失いたくありません…!光の道標エヴィレーレ・ルーディス!」

サラテリ「っ!? 今の状態から立ち上がった…!!?」

パリス「涙の意味を…光よ貫け…ライトティアーレイ!」


エルブ「僕が突破口、開いて見せます…! 捉える刃ポーテスト・エヴァーデレ!」

フェズ「ぐっ!? 影が…見切られた…!?」

エルブ「桜舞え、凍れ…この一閃に…祈桜氷一閃!」


各メンバーがそれぞれ戦っていた頃…

ソレイユはフロスティと戦っていた。
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