月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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二魂の心は相違して

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 77話

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フェズとの決着がついた。

ゼニス「は…はぁ…はぁ…」

フェズ「……やっぱ、命ってのは…

生きようと、もがいてる時が一番輝いてるな……」

フェズの声に振り替える。

透過…まずい…ただでさえ肉体的に限界だったところへ

さらに戦闘を長引かせた…急がないと間に合わない!

ゼルシェード「ゼニス急げ!」

ゼニス「う、うん!」

慌てて悲鳴を上げてる足を踏み込んだ。

ゼニス「君だけを消すなんてするものか…! 間に合え!

彼の時の歪曲アクセプト・エグゼスト!」

他の四零士よりもかなり透過が進んでいたが、

止まった。元に戻って行った。

フェズ「……お前…」

ゼニス「間に合った……良かった…」

安心して、今度こそゼニスも膝をつく。

ソレイユ「フェズ。あんたをギルド、天馬に送るわ。」

サルファー「他の四零士の皆さんもいらっしゃいます。」

フェズは無言だったが、反論する様子もなく、

深手を負っていた事もあり、いつの間にか気を失った。

パリス「じゃあ…」

パリスがフェズをギルドへ送り飛ばす。

ビオレ「はあ…やっと、一段落ね…」

エルブ「まさか、あれに勝てるなんて…」

口々に言いながらその場に座り込む。

疲労が笑えなかった。

ゼニス「……ラージャ…皆さんも…もう戻ってください…

疲れたでしょうから…僕らも、後を追いますので…」

そう言われて、ラージャは全員率いてそこを移動。

疲れていたが、ブライトはそこに残っていた。

動けないゼニス達は、しばらくそこでぼーっとしている事態に。

それが、仇になるなんて思っていなかったんだ。


………

ゼルシェード「……!!

魔力が…近付いてくる!!」

え……

そう思っていると、目の前に現れたのはセピアだった。

ゼニス「セピア!? …っ」

慌てて立ち上がろうとするが、限界だった足は動かない。

それは他の人達も同様だった。

唯一ブライトが前に立ってくれているのだが…

セピア「いやですわ。今日は別に戦いに来たんじゃありませんのよ」

ブライト「どういうことだ」

セピア「まさか、を倒してしまうとは思いませんでしたわ。

けれど、さすがに体力の限界のようですわね」

……何が、言いたいんだ……戦いに来たんじゃないんだろう?

セピア「四零士が全員負かされる事は誤算ですわ。

でも、貴方方が疲れ切る事は分かっていましたの。

……貴方方は満身創痍…絶好の機会ですわ。エピナール!!」

どこから出て来たか、エピナールがソレイユのすぐ隣にいる。

ソレイユ「エピナール!?」

エピナール「すみません」

瞬間、ソレイユが弾き飛ばされた。

エピナール「指輪。確かに頂きましたよ」

ビオレ「なっ!?」

サルファー「今の一瞬で!?」

しまった……。

ゼニス「エピナール…! ……!?」

次にゼニスの背後に瞬間移動してきたエピナールが

ゼニスの腕をしっかり掴んでしまっている。

エピナール「……これも、クレセディアの為です」

ブライト「この…!」

エピナールの動きには誰もついてこれない。ブライトさえ間に合わない。

連れ去られるのは目に見えた。だから…

ゼニス「ゼルシェード!!!」

流変剣をその場に投げ捨てた。

その直後、エピナールとゼニスは転移で消えてしまった。

ゼルシェード「ゼニス!!」

エルブ「ゼニス師匠!?」

パリス「……嘘……」

クレセディア王と、姫君の魂が宿った指輪が奪われた…。

セピア「おほほほほほ!!!! ああ、最高に気分が良いですわ。

これで世界は終わり…最期の日を楽しみにしていてくださいな!!」

ブライト「貴様……!!」

ブライトが斬りかかろうとした時、セピアが制止した。

セピア「ブライト。貴方、ゼニスが大事なのですわよね?

彼の傍にいてあげなくていいんですの? ……見捨てないのでしょう?」

そう言われると、迷いもなくブライトは剣を収めた。

ソレイユ「ブライトさん…!?」

ブライト「……俺があいつを律零王になる前に救い出してくる。

そのためには、敵陣にいなければならん。

……それに、弟子は見捨てられないのでな。安心しろ、お前達と敵対する気は無い。

…あいつを、救って来るだけだ」

ブライトがセピアの傍へ歩いて行く。

サルファー「大丈夫、なのですか!?」

ビオレ「そうよ、罠だったら…!」

答えない。分かってる。どれだけブライトが強いかは…

だけど……

ブライト「連れて行け」

セピア「せっかちですわね。連れて行きますわよ」

それだけ言うと、セピアとブライトも転移して行ってしまった。

エルブ「………」

ゼルシェード「…エルブ。儀式までに何日かかる?」

エルブ「分かりません…陛下の意識が戻り次第…になります。」

……早くするに越した事はない…?

でも、クレセディアはどこに??

エルブ「……皆さん、ギルドに一度戻ってください。

……クレセディアの場所を、教えます…」

ソレイユ「エルブ……」

そこへ、アクバールとエーリカが駆けてきた。

アクバール「みんな!! …く、ゼニス君は連れて行かれたか!」

ビオレ「マスター!?」

先ほどのアニマメアサチャルフキメラの

尋常じゃない魔力を見つけて駆けつけてくれたのだろう。

エーリカ「ギルドの浮遊魔力が戻りました。

事態は急を要します。一度お戻りを」

丁度、エルブにギルドへと言われたところだ。

問題はない。

ゼルシェード「……ソレイユ。流変剣、お前が預かれ」

ソレイユ「え、あ、うん…そうだね」

ソレイユが流変剣を拾い上げる。

そして、アクバールとエーリカに連れられる形でギルドへ転送してもらった。


ギルドのマスター室にて、ソレイユたちは集められていた。

アクバール「まず…各大陸の解放、お疲れ様。

四零士はみんな部屋に閉じ込めてあるよ。今のところ、暴れる様子はない」

エーリカ「…けれど…ゼニスさんと指輪が奪われました。

このまま傍観していれば、三国は滅びます。」

…………

エルブ「……クレセディアの場所は、元々あちら側だった僕が知っています。

この四大陸から離れた地。

一万年前、地図上から消された、今となってはおとぎ話でしかない、幻の大地。

その大陸は、他者に害される事の無いよう、空中に浮かび、

周りに竜巻を起こして、誰も近付けないようになっています。」

パリス「空中って……」

エルブ「絶命前に陛下が施したんです。もう二度と、荒らされたくないと…」

……律零王、ゼファ…。

サルファー「竜巻…ですか…空中なのはこのギルドでどうにでもなりますが…」

ビオレ「竜巻はどうするのよ?」

アクバール「それもこのギルドで何とかなるよ」

え!?

エーリカ「浮遊魔力を修復したと同時に、魔力の強化を行いました。

それで結界を張り、竜巻の中を突破します。

恐らく、このギルドはビクともしないでしょう」

なんて…デタラメな…。

でも、これで…

ソレイユ「活路は、見えるね。」

アクバール「向こうは側近格が二人。

でも、彼らに協力していた魔物もいるだろう。だから…」

エーリカ「少なくとも、城への道中の魔物。

それらには、ギルド天馬。セイクレイ城。

イテールナ城。ルーナの里の忍び。彼らに対応してもらおうと思っています。」

…彼らなら、確かに事情を説明すれば協力してくれるだろう。

アクバール「君達は、城へ直行。

儀式を止めて来てほしい。頼めるかな?」

ここで断る人はいないだろう。

ソレイユ「……はい。行かせてください!」

サルファー「仲間を放っておけませんし」

ビオレ「世界の破滅なんて絶対阻止よ」

パリス「ゼニスに、そんなことさせません!」

エルブ「フェズさん達も、今はそんな事望んでいないはず。

陛下にしてゼニス師匠の命、枯らさせたくはありません!」

全員の意志を確認すると、アクバールは頷いた。

アクバール「各国への協力を頼むのと、クレセディアに辿り着くまで。

二日は掛かると思う。だから、君達はそれまで準備をしていて」

エーリカ「エルブさん。クレセディアの位置を教えてくれますか?」

エルブ「はい!」

二日……間に合えば、良いのだが…。
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