74 / 100
二魂の心は相違して
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 74話
しおりを挟む
今、フェズは零術使用状態。
ソレイユたちの事は後ろに下げ、対峙するはゼニスのみ。
フェズ「この一戦にかかってるからな。
ここでお前が負ければ、後ろの奴らも全滅だ」
ゼニス「心配いらないよ。…負ける気は無いから」
………
ゼニス『……何だ、この力……あ、あれ…急に立っていられな…っ』
フェズ『……お前、何でそこまで自己を犠牲にする?
そこまでして誰かを助けようとする?』
ゼニス『…大事な、仲間だからだ……! 目の前で誰かが傷つくのは見たくないからだ…!』
フェズ「あの時は、本当に弱っちかったのにな…」
ゼニス「だから、いつの頃の話してるんだ…
あれからお前達に何度も襲撃されて、強くならない方がおかしい」
ただ、静寂が流れる。嵐の前の静けさ、というか…
緊張感だけはある感じ。
フェズ「戦利品は、お前の仲間だ! それなら本気で来るだろ!?」
ゼニス「言われなくても、本気で戦うよ!」
ゼルシェード「フェズ、こいつは、お前を超えるぞ…必ずな…!」
ゼルシェード………
ここまで期待されてるなら、負けられないよな。
そして、どちらからともなく、剣を構えて踏み込んだ。
ゼニス「時双波!!」
フェズ「っ! 悪命絶!!!」
キンッと音…
ゼニス「この…! 連絶剣!!」
フェズ「まだ弱ぇ! 死黒乱!」
カンッと音…
何度も剣がぶつかって、弾かれるように距離が離れて、
また踏み込んで…
フェズ「死狼断鎧!」
ゼニス「っ! 五連刃!!」
双方ダメージを負いながらも、ずっと打ち合う。
手加減なんて一切なし。全力の試合。
ゼニス「属性変換!
絶光・魔法剣!!」
フェズ「ちっ…流変剣の力か…!
ダークアロー!!」
ゼニス「っ!」
光を纏った剣を盾にして凌ぐ。
フェズ「今のお前が覚えてるか知らねぇが、
こうして手合わせした事あったなぁ!!」
ゼニス「ついさっき思い出したところだよ!
僕が…ゼファが君に手合わせしてって頼んだんだったね!」
また剣戟音。
ゼニス「でも、何が懐かしいだよ!
以前は零術使ってないだろう!?」
フェズ「その通りだな! 今は正真正銘の死合だ!」
互いに、相手を瀕死にしないと止められない事を知っている。
だから、「死合」になる。
どちらか一方のワンサイドにならない戦いは、
不謹慎だが傍から見れば、綺麗に見えて…
画家がこの場にいたのなら、筆をとっていたのではないだろうか?
ゼニス「裂創真楼!」
フェズ「ゼファの……っ! 暗黒連義!!」
ゼファの技に反応ができ、反撃までできるのは
フェズだからなのか…。
ゼニス「やるね、フェズ! 会心刻印斬!」
フェズ「ゼファと手合わせしたのは俺だけだからなぁ!
八連殺傷!!」
剣から火花が散る。
ソレイユ(二人とも…もう体力限界なんだよね…?)
サルファー(まるで落ちない動き…)
ビオレ(まだ全然元気みたいに見える…)
パリス(今の二人の実力は…え、互角なんですか…!?)
エルブ(………1万年越しに出会った、強者…
探していた律零王様にして、最高の強者…
フェズさん…今、楽しいですか…?)
その後もしばらく剣をぶつけ合った後、
一旦双方距離を置く。
ゼニス「無限の力を…インフィニットゼロ!」
フェズ「ブラックホール!!」
二人の魔法が衝突する。
この時も、ゼニスには流れ込んできた…。
ゼニス「ぐ……っ!!」
ゼファ『君と友達になりに来た』
???『…は?』
セピア『それが当然の反応ですわよ…』
エピナール『この方の奇行はいつでも突然ですから』
エルブ『あはは、そうですね』
???『俺は化け物だ…』
ゼファ『だから、君は人間』
???『この状態でどうやって連れてくつもりだよ…』
グラファイト『それは僕がどうにかできる。あんたの力を封じるよ。』
???『……できるのか?』
ゼファ『もちろん、無理強いはしないけど、どうする?』
???『………やってくれ…』
………
ゼファ『うん、成功したね」
サラテリ『あれ、結構イケメンじゃん! 後は性格の問題かなぁ?』
フェズ『…………』
ゼファ『行こう、クレセディアへ。君の名前は?』
フェズ『…フェズだ』
プリムローズ『フェズ、かっこいい』
???『これからは友としてよろしく頼むぞ。フェズよ』
ゼニス(え……今のは…今の魔物…は?
まさか………ぐっ、頭が痛い…!)
フェズ「はっ…今の受けても立ってるか…!」
ゼルシェード「……ゼニス、平気か?」
ゼニス「うん…ちょっと頭痛がしただけだよ。
……フェズ、次の一撃で決めよう…これ以上は互いにきついんじゃない?」
少し顔を伏せたが、「ああ」と一言言った。
ゼニス「全力で来ていいよ!」
フェズ「ククゲゲヒャヒャヒャアァ!! なら、全力でやってやる!
負かしてみろよ、ゼニス君! 零飢闇黒閃!!」
ゼニス「……僕は……世界を守るなんて大層なものは持ってない。
大事な人達と、お前達を救うため、ここにいる…!」
流変剣が光った。
ゼニス「過去を見てるな、フェズ! これが僕の覚悟だ!
リュンクティス・ドゥオ!!」
双方の奥義は、一歩も譲らない。けど…
過去を振り返る意志が、今を生きる意志を破るなど不可能で…
ゼニス「終わりだ、フェズ」
フェズ「! が、はっ…俺が、敗れ、た…」
フェズが膝をついたのを確認すると、後ろからソレイユたちが駆けてきた。
ビオレ「ゼニス、やったわね!」
エルブ「フェズさんに勝つなんて、やっぱり師匠はすごいです!」
ソレイユ「て、いうか、怪我…! 癒せ…エーテルキュア!」
ソレイユが怪我を回復させる。
ゼニス「あ、ありがとう…さすがに応えるな…最強との戦いは…」
サルファー「その最強に勝ったんですよ、あなたは」
パリス「お疲れ様です…」
そんな話をしていると、その後ろから大勢来た。
ルーナの里に避難していた人々だ。
里の人達も、王都の人達も、他の村や町の者もいる。
ブライト、ラージャ、リラ、レオノティスとシュロもいる。
ロココとバレヌもだ。
ロココ「おーい! みんなー!!」
バレヌ「お前らなら、やれるって信じてたぞ」
ブライト「成し遂げたか、ゼニス」
ラージャ「フェズ倒したか! お疲れさん!」
リラ「さすがね、ゼニスさん。…カテドラル王は国の立て直しに残っているわ。」
レオノティス「六人で、よくやったな」
シュロ「やっぱり今の英雄は君達だな、ははっ」
……まったく、避難しててもいいのに、来てくれるとは…
ソレイユ「あとは、フェズを現世に留めて…だね」
ゼニス「うん、そうだね」
ゼルシェード(……フェズ……このまま何もしないよな?)
エルブ(平気、ですよね…フェズさん…まさか、そんな事しないです、よね…?)
ソレイユたちの事は後ろに下げ、対峙するはゼニスのみ。
フェズ「この一戦にかかってるからな。
ここでお前が負ければ、後ろの奴らも全滅だ」
ゼニス「心配いらないよ。…負ける気は無いから」
………
ゼニス『……何だ、この力……あ、あれ…急に立っていられな…っ』
フェズ『……お前、何でそこまで自己を犠牲にする?
そこまでして誰かを助けようとする?』
ゼニス『…大事な、仲間だからだ……! 目の前で誰かが傷つくのは見たくないからだ…!』
フェズ「あの時は、本当に弱っちかったのにな…」
ゼニス「だから、いつの頃の話してるんだ…
あれからお前達に何度も襲撃されて、強くならない方がおかしい」
ただ、静寂が流れる。嵐の前の静けさ、というか…
緊張感だけはある感じ。
フェズ「戦利品は、お前の仲間だ! それなら本気で来るだろ!?」
ゼニス「言われなくても、本気で戦うよ!」
ゼルシェード「フェズ、こいつは、お前を超えるぞ…必ずな…!」
ゼルシェード………
ここまで期待されてるなら、負けられないよな。
そして、どちらからともなく、剣を構えて踏み込んだ。
ゼニス「時双波!!」
フェズ「っ! 悪命絶!!!」
キンッと音…
ゼニス「この…! 連絶剣!!」
フェズ「まだ弱ぇ! 死黒乱!」
カンッと音…
何度も剣がぶつかって、弾かれるように距離が離れて、
また踏み込んで…
フェズ「死狼断鎧!」
ゼニス「っ! 五連刃!!」
双方ダメージを負いながらも、ずっと打ち合う。
手加減なんて一切なし。全力の試合。
ゼニス「属性変換!
絶光・魔法剣!!」
フェズ「ちっ…流変剣の力か…!
ダークアロー!!」
ゼニス「っ!」
光を纏った剣を盾にして凌ぐ。
フェズ「今のお前が覚えてるか知らねぇが、
こうして手合わせした事あったなぁ!!」
ゼニス「ついさっき思い出したところだよ!
僕が…ゼファが君に手合わせしてって頼んだんだったね!」
また剣戟音。
ゼニス「でも、何が懐かしいだよ!
以前は零術使ってないだろう!?」
フェズ「その通りだな! 今は正真正銘の死合だ!」
互いに、相手を瀕死にしないと止められない事を知っている。
だから、「死合」になる。
どちらか一方のワンサイドにならない戦いは、
不謹慎だが傍から見れば、綺麗に見えて…
画家がこの場にいたのなら、筆をとっていたのではないだろうか?
ゼニス「裂創真楼!」
フェズ「ゼファの……っ! 暗黒連義!!」
ゼファの技に反応ができ、反撃までできるのは
フェズだからなのか…。
ゼニス「やるね、フェズ! 会心刻印斬!」
フェズ「ゼファと手合わせしたのは俺だけだからなぁ!
八連殺傷!!」
剣から火花が散る。
ソレイユ(二人とも…もう体力限界なんだよね…?)
サルファー(まるで落ちない動き…)
ビオレ(まだ全然元気みたいに見える…)
パリス(今の二人の実力は…え、互角なんですか…!?)
エルブ(………1万年越しに出会った、強者…
探していた律零王様にして、最高の強者…
フェズさん…今、楽しいですか…?)
その後もしばらく剣をぶつけ合った後、
一旦双方距離を置く。
ゼニス「無限の力を…インフィニットゼロ!」
フェズ「ブラックホール!!」
二人の魔法が衝突する。
この時も、ゼニスには流れ込んできた…。
ゼニス「ぐ……っ!!」
ゼファ『君と友達になりに来た』
???『…は?』
セピア『それが当然の反応ですわよ…』
エピナール『この方の奇行はいつでも突然ですから』
エルブ『あはは、そうですね』
???『俺は化け物だ…』
ゼファ『だから、君は人間』
???『この状態でどうやって連れてくつもりだよ…』
グラファイト『それは僕がどうにかできる。あんたの力を封じるよ。』
???『……できるのか?』
ゼファ『もちろん、無理強いはしないけど、どうする?』
???『………やってくれ…』
………
ゼファ『うん、成功したね」
サラテリ『あれ、結構イケメンじゃん! 後は性格の問題かなぁ?』
フェズ『…………』
ゼファ『行こう、クレセディアへ。君の名前は?』
フェズ『…フェズだ』
プリムローズ『フェズ、かっこいい』
???『これからは友としてよろしく頼むぞ。フェズよ』
ゼニス(え……今のは…今の魔物…は?
まさか………ぐっ、頭が痛い…!)
フェズ「はっ…今の受けても立ってるか…!」
ゼルシェード「……ゼニス、平気か?」
ゼニス「うん…ちょっと頭痛がしただけだよ。
……フェズ、次の一撃で決めよう…これ以上は互いにきついんじゃない?」
少し顔を伏せたが、「ああ」と一言言った。
ゼニス「全力で来ていいよ!」
フェズ「ククゲゲヒャヒャヒャアァ!! なら、全力でやってやる!
負かしてみろよ、ゼニス君! 零飢闇黒閃!!」
ゼニス「……僕は……世界を守るなんて大層なものは持ってない。
大事な人達と、お前達を救うため、ここにいる…!」
流変剣が光った。
ゼニス「過去を見てるな、フェズ! これが僕の覚悟だ!
リュンクティス・ドゥオ!!」
双方の奥義は、一歩も譲らない。けど…
過去を振り返る意志が、今を生きる意志を破るなど不可能で…
ゼニス「終わりだ、フェズ」
フェズ「! が、はっ…俺が、敗れ、た…」
フェズが膝をついたのを確認すると、後ろからソレイユたちが駆けてきた。
ビオレ「ゼニス、やったわね!」
エルブ「フェズさんに勝つなんて、やっぱり師匠はすごいです!」
ソレイユ「て、いうか、怪我…! 癒せ…エーテルキュア!」
ソレイユが怪我を回復させる。
ゼニス「あ、ありがとう…さすがに応えるな…最強との戦いは…」
サルファー「その最強に勝ったんですよ、あなたは」
パリス「お疲れ様です…」
そんな話をしていると、その後ろから大勢来た。
ルーナの里に避難していた人々だ。
里の人達も、王都の人達も、他の村や町の者もいる。
ブライト、ラージャ、リラ、レオノティスとシュロもいる。
ロココとバレヌもだ。
ロココ「おーい! みんなー!!」
バレヌ「お前らなら、やれるって信じてたぞ」
ブライト「成し遂げたか、ゼニス」
ラージャ「フェズ倒したか! お疲れさん!」
リラ「さすがね、ゼニスさん。…カテドラル王は国の立て直しに残っているわ。」
レオノティス「六人で、よくやったな」
シュロ「やっぱり今の英雄は君達だな、ははっ」
……まったく、避難しててもいいのに、来てくれるとは…
ソレイユ「あとは、フェズを現世に留めて…だね」
ゼニス「うん、そうだね」
ゼルシェード(……フェズ……このまま何もしないよな?)
エルブ(平気、ですよね…フェズさん…まさか、そんな事しないです、よね…?)
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
堕天使の黙示録-アポカリプス-
瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜
ファンタジー
記憶を取り戻すための旅。
記憶は、あった方がいいのか、それとも戻らない方がいいのか…。
見たくない過去なら? 辛い運命なら?
記憶の無い者達が導かれ、めぐり逢い、旅をしていく物語。
真実を見た先に、彼らの出す答えは…。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……


推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~
ことのはおり
ファンタジー
渡会 霧(わたらい きり)。36歳。オタク。親ガチャハズレの悲惨な生い立ち。
幸薄き彼女が手にした、一冊の辞典。
それは異世界への、特別招待状。
それは推しと一緒にいられる、ミラクルな魔法アイテム。
それは世界を救済する力を秘めた、最強の武器。
本棚を抜けた先は、物語の中の世界――そこからすべてが、始まる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる