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二魂の心は相違して
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 70話
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船で遠目で見た限り、ソムニウム城下町は魔物がうろうろしている。
あんまり正面突破はしたくないけど…隠し通路なんてあるものか?
船の着岸なんてとんでもない。
ブライト「……イナニスに停めるぞ。」
イナニスの村…ゼニスが流れ着いた村で、ソレイユと会った場所だ。
イナニスの村の海岸に船を停めて、全員降りる。
ゼニス「懐かしいな…」
ソレイユ「私の村が壊されて、ここにブライトさんの手紙を頼りに来たんだったなぁ」
二人は感傷に浸っているが、残りは置いてけぼりである。
サルファー「いい村ですね…小さいですが、静かで」
ビオレ「自然豊かで良いじゃない。…でも、村人は他にいないの?」
パリス「多分……幽閉されているのでは?」
……無事なのは間違いないだろう…
担当がフェズなのだから…
エルブ「……あ、皆さん!」
エルブが指さした方を見ると、二人の人影が。
二人だから、フェズじゃない。側近格の二人? 魔力が違う。
ゼニス「……シュロ…レオノティス!!」
その声で気付いたのか、二人がこっちに向かって来る。
シュロ「君達!! 無事だったのか!」
レオノティス「なぜここに来た?」
実は…と、今までの経緯を話す。
レオノティス「すごいな…お前達は…で、次はこの大陸を解放しようと」
ソレイユ「二人はどうしてここに? 捕まってたんじゃ…」
シュロ「城に捕まっているのはラージャさんと国王だけ。
町の人達はどうあったってフェズに勝てないってんで、野放しにされてる」
野放して…まあ、フェズに挑んだところで…勝ち目は…
ソレイユ「どこにいるの?」
レオノティス「ルーナの里だ。長が避難場所にしてくれた。」
ビオレ「姉様が!? …そっか…そうなんだ…」
リラ『…里総出で応援しようじゃないですか。
ここまでしてくれるような人がいるなんて思わなかった…
ごめんなさい、大丈夫? ゼニスさん』
今が、その時…応援してくれたんだ。
だから、人々を里へ…
シュロ「けれど…皆さんまだ不安が強いようで…」
ブライト「俺がその里に向かう。お前達は行け。城へ」
レオノティス「……俺達も…」
…気持ちは嬉しいけど、それは無理だ。二人が危険になるだけ。
サルファー「お二人は各地にいる魔物の討伐をお願いします。
あいつらの味方をしている魔物が、まだ溢れているでしょうから」
パリス「こちらは大丈夫です」
エルブ「どうか」
しばらく渋っていたが、最後にはシュロとレオノティスも頷いてくれた。
シュロ「じゃあ、僕らは出るよ。君達も、気を付けて」
ゼニス「うん、わかった。二人も」
ソレイユ「ブライトさんも気を付けて」
サルファー「ブライトさん。里に、ジューン様もいると思います。どうか、お願いします」
ブライト「ああ」
三人と別れ、こちらは城に向かって歩き始めた。
ビオレ「問題はどうやって入り込むかね…」
サルファー「正面突破は…あの量は…
隠し通路など知っていたりは?」
…………シーン………
パリス「不明…ですか…」
しばらく悩んで、思い出したようにゼニスがはっとした。
ゼニス「そうだ…あれなら…!」
エルブ「なにか、思い出したんですか?」
ゼニス「うん…城下町正面門の左の木の……え?」
何か踏んだ? な、え、地面が光って…!?
ソレイユ「何これ!?」
ゼニス「っ!?」
瞬間ゼニスとソレイユ、二人の姿が消える。
ビオレ「えっ!? どこ行ったの!?」
エルブ「転移式の術式!!」
パリス「罠…!?」
サルファーが地面にわずかに残った術式の文様を確認する。
サルファー「これは…特定の魔力に反応してその者を転移させるやつ…!
…今回のは、ゼニスとソレイユの魔力に反応したのでしょう…」
エルブ「…多分、フェズさんです。ゼニス師匠の事は気に入っていましたし…
ソレイユさんもこの前、サラテリさんに勝ちましたから…気に入ったのかと」
じゃあ、今二人は、城内へ!?
ビオレ「急がないと!?」
パリス「城下町の正面門の左の木の…なにが隠し通路!?」
サルファー「分かりませんが、その木を調べる必要がありそうですね。
とにかく、町まで急ぎましょう!」
ゼニス「っと…!? え…ここは…イテールナ城の中…?」
ソレイユ「私達だけ、飛ばされちゃったの?」
ゼルシェード「そうみたいだな…フェズ辺りだろう。
お前達との戦いを望みらしいな」
うわぁ……二人でフェズ相手か……。
………ファーム遺跡での事を思い出すな。
あの時は自分とソレイユの二人だけで、ゼルシェードもいなかった。
ソレイユ「………勝てるかな、私達」
ゼニス「勝てるよ…あの時とは違う…いや…勝つんだ、必ず」
ただ、それだけ…フェズとは、二人して因縁がある。
ゼニスは城を襲撃された事、ソレイユは村を滅ぼされた事。
飛ばされた部屋を出て、玉座を目指す。
道中にも魔物はいたが、城下町にいたほどではない。
ゼニス「時双波!!」
ソレイユ「燃え盛れ…イフリティア!!」
時間が無いとばかりに蹴散らしていく。
成り行きとはいえ、ディレオン大陸の解放が一番最後になった。
民の不安も酷いものだろうから。
……そして……
玉座の扉前。綺麗に閉じられていた。
ソレイユ「フェズ、中?」
ゼニス「いや、フェズの魔力じゃない…多分、龍だよ」
ゼルシェード「……闇、か……こちらの体力を吸い取って回復する、何てあるかもしれん」
面倒な敵だな……フェズの龍だけはあるか。
ゼニス「…………」
その扉をゆっくり開ける。
いたのは紅い龍だった。
テネブリス「私はテネブリス…フェズ様の武器から生まれた龍だ。
ゼファ様…いや、ゼニスにソレイユ。フェズ様は随分とお前達を買っている」
ゼニス「やっぱり、か…」
テネブリス「フェズ様には、二人が来たら通すように言われているが、
弱者を私は通しはせん。勝ってみせろ。弱者になってくれるなよ」
……フェズ同様、血の気盛んだな。強者しか認めないってか。
ソレイユ「ゼニス、やろう」
ゼニス「うん、もちろん!」
そう言った瞬間にテネブリスも動き出す。
その爪から逃れるために、両端に分散して躱す。
ゼニス「五連刃!!」
攻撃するが、すぐに反撃が来る事も考えて、すぐに後ろに飛びのく。
ソレイユ「光臨舞!!」
相手は闇属性。光は効くようだ。
テネブリス「ほう…なかなかやるな…!」
ダークブレス! やたら範囲が広く、どれだけ躱しても腕を掠った。
ゼニス「っ! 属性変換!
絶光・魔法剣!!」
光に属性を変えて、魔法剣を放つ。
テネブリス「魔法剣か…流変剣も使いこなせているようで何よりだ。
さすがはゼファ様という事か」
ソレイユ「ゼニスは、ゼニスだよ! 光線刺し穿て…レイスピアー!」
テネブリスにはそれなりにダメージは与えているはず。
弱点ばかり突いているのだから。
でも……
テネブリス「まだだ! 闇旋翼!!」
ゼニス「なっ!」
ソレイユ「きゃっ!?」
攻撃をくらうが、とりわけ何か状態異常になった感じはない。
だけど、変化は向こうだ。
ゼニス「……傷が!?」
ソレイユ「回復した!!」
ゼルシェードの予想通りだ。相手の体力を喰らって自らを回復する。
テネブリス「さあ、私を倒すには、回復量以上のダメージが必要だ。
どうするつもりだ?」
テネブリスが攻撃の構えを取る。
いつも、他の龍が撃ってきた強い技…
テネブリス「シャドウウィンディア!!」
止まればやられる。相殺するしかない。
ゼニス「無に帰せ…流れを変えろ…無白流変斬!!」
ソレイユ「燃えろ切り裂け…光炎の精霊よ…フレアスピナーロア!」
ソレイユもそれは分かっていたようで、二人で奥義を叩きこむ。
強い衝撃音がした。技は…相殺された。
テネブリス「!!」
後は…間に合わないぐらいの威力の技を…!
ゼニス「ソレイユ!」
ソレイユ「分かってる、ゼニス!」
二人の考えは同じ。
ゼニス「時双波!」
ソレイユ「空天翔!!」
ゼニス・ソレイユ「時に迷え! 天翔刃・時空!!」
二人の連携技がテネブリスに炸裂。
これで終わってくれないと困るな…何と思っていた。
でも、それは杞憂で…
テネブリス「くっ…見事だ…弱者ではないようだな…」
ソレイユ「か、勝った……」
ゼニス「さ、さすがに…強いな…」
……にしても、真面目な龍だな…致命傷は、与えていない。
与えられていない。どちらかというと、試練に打ち勝った、感じで止まっている。
ゼルシェード「テネブリス。魔物との和解を手伝え。
メリディエムだけでは荷が重い」
メリディエムの名を聞いて、はっと顔を上げる。
テネブリス「……私を救う気か?」
ゼルシェード「お前からはそこまで酷い殺意は感じない。
……全ての決着がついたあとの、お前達の味方に付いた魔物達の説得を頼みたい」
しばらく黙っていたテネブリスが口を開く。
テネブリス「魔物達のあれを止められず、今後も戦いが続き傷付くのは見たくないな…
わかった。だが、それはお前達がフェズ様に勝ったらだ。
それを条件で、俺はそちらに行こう」
……何だ、そんな事か。
ゼニス「勝つよ。だから、ここで待っていてくれ」
ソレイユ「フェズも助けて来るからさ!」
…………
テネブリス「フェズ様は、ここの奥の部屋の魔法陣に乗った先におられる。
外に出るぞ。かつて…フェズ様とゼファ様が初めて出会った場所だ。」
??? まあ、いいか。外なら広いし戦いやすい。
ゼニス「仲間たちが来たら、みんなにも教えてあげて。
あ、戦おうとしないでくれないかな」
テネブリス「お前達の仲間なら強者だ。それが分かるなら戦わん。」
それを聞いて、ゼニスとソレイユは奥の部屋へ入っていく。
テネブリス「……さて…フェズ様に勝てる者が、現れるのかどうか…」
あんまり正面突破はしたくないけど…隠し通路なんてあるものか?
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イナニスの村…ゼニスが流れ着いた村で、ソレイユと会った場所だ。
イナニスの村の海岸に船を停めて、全員降りる。
ゼニス「懐かしいな…」
ソレイユ「私の村が壊されて、ここにブライトさんの手紙を頼りに来たんだったなぁ」
二人は感傷に浸っているが、残りは置いてけぼりである。
サルファー「いい村ですね…小さいですが、静かで」
ビオレ「自然豊かで良いじゃない。…でも、村人は他にいないの?」
パリス「多分……幽閉されているのでは?」
……無事なのは間違いないだろう…
担当がフェズなのだから…
エルブ「……あ、皆さん!」
エルブが指さした方を見ると、二人の人影が。
二人だから、フェズじゃない。側近格の二人? 魔力が違う。
ゼニス「……シュロ…レオノティス!!」
その声で気付いたのか、二人がこっちに向かって来る。
シュロ「君達!! 無事だったのか!」
レオノティス「なぜここに来た?」
実は…と、今までの経緯を話す。
レオノティス「すごいな…お前達は…で、次はこの大陸を解放しようと」
ソレイユ「二人はどうしてここに? 捕まってたんじゃ…」
シュロ「城に捕まっているのはラージャさんと国王だけ。
町の人達はどうあったってフェズに勝てないってんで、野放しにされてる」
野放して…まあ、フェズに挑んだところで…勝ち目は…
ソレイユ「どこにいるの?」
レオノティス「ルーナの里だ。長が避難場所にしてくれた。」
ビオレ「姉様が!? …そっか…そうなんだ…」
リラ『…里総出で応援しようじゃないですか。
ここまでしてくれるような人がいるなんて思わなかった…
ごめんなさい、大丈夫? ゼニスさん』
今が、その時…応援してくれたんだ。
だから、人々を里へ…
シュロ「けれど…皆さんまだ不安が強いようで…」
ブライト「俺がその里に向かう。お前達は行け。城へ」
レオノティス「……俺達も…」
…気持ちは嬉しいけど、それは無理だ。二人が危険になるだけ。
サルファー「お二人は各地にいる魔物の討伐をお願いします。
あいつらの味方をしている魔物が、まだ溢れているでしょうから」
パリス「こちらは大丈夫です」
エルブ「どうか」
しばらく渋っていたが、最後にはシュロとレオノティスも頷いてくれた。
シュロ「じゃあ、僕らは出るよ。君達も、気を付けて」
ゼニス「うん、わかった。二人も」
ソレイユ「ブライトさんも気を付けて」
サルファー「ブライトさん。里に、ジューン様もいると思います。どうか、お願いします」
ブライト「ああ」
三人と別れ、こちらは城に向かって歩き始めた。
ビオレ「問題はどうやって入り込むかね…」
サルファー「正面突破は…あの量は…
隠し通路など知っていたりは?」
…………シーン………
パリス「不明…ですか…」
しばらく悩んで、思い出したようにゼニスがはっとした。
ゼニス「そうだ…あれなら…!」
エルブ「なにか、思い出したんですか?」
ゼニス「うん…城下町正面門の左の木の……え?」
何か踏んだ? な、え、地面が光って…!?
ソレイユ「何これ!?」
ゼニス「っ!?」
瞬間ゼニスとソレイユ、二人の姿が消える。
ビオレ「えっ!? どこ行ったの!?」
エルブ「転移式の術式!!」
パリス「罠…!?」
サルファーが地面にわずかに残った術式の文様を確認する。
サルファー「これは…特定の魔力に反応してその者を転移させるやつ…!
…今回のは、ゼニスとソレイユの魔力に反応したのでしょう…」
エルブ「…多分、フェズさんです。ゼニス師匠の事は気に入っていましたし…
ソレイユさんもこの前、サラテリさんに勝ちましたから…気に入ったのかと」
じゃあ、今二人は、城内へ!?
ビオレ「急がないと!?」
パリス「城下町の正面門の左の木の…なにが隠し通路!?」
サルファー「分かりませんが、その木を調べる必要がありそうですね。
とにかく、町まで急ぎましょう!」
ゼニス「っと…!? え…ここは…イテールナ城の中…?」
ソレイユ「私達だけ、飛ばされちゃったの?」
ゼルシェード「そうみたいだな…フェズ辺りだろう。
お前達との戦いを望みらしいな」
うわぁ……二人でフェズ相手か……。
………ファーム遺跡での事を思い出すな。
あの時は自分とソレイユの二人だけで、ゼルシェードもいなかった。
ソレイユ「………勝てるかな、私達」
ゼニス「勝てるよ…あの時とは違う…いや…勝つんだ、必ず」
ただ、それだけ…フェズとは、二人して因縁がある。
ゼニスは城を襲撃された事、ソレイユは村を滅ぼされた事。
飛ばされた部屋を出て、玉座を目指す。
道中にも魔物はいたが、城下町にいたほどではない。
ゼニス「時双波!!」
ソレイユ「燃え盛れ…イフリティア!!」
時間が無いとばかりに蹴散らしていく。
成り行きとはいえ、ディレオン大陸の解放が一番最後になった。
民の不安も酷いものだろうから。
……そして……
玉座の扉前。綺麗に閉じられていた。
ソレイユ「フェズ、中?」
ゼニス「いや、フェズの魔力じゃない…多分、龍だよ」
ゼルシェード「……闇、か……こちらの体力を吸い取って回復する、何てあるかもしれん」
面倒な敵だな……フェズの龍だけはあるか。
ゼニス「…………」
その扉をゆっくり開ける。
いたのは紅い龍だった。
テネブリス「私はテネブリス…フェズ様の武器から生まれた龍だ。
ゼファ様…いや、ゼニスにソレイユ。フェズ様は随分とお前達を買っている」
ゼニス「やっぱり、か…」
テネブリス「フェズ様には、二人が来たら通すように言われているが、
弱者を私は通しはせん。勝ってみせろ。弱者になってくれるなよ」
……フェズ同様、血の気盛んだな。強者しか認めないってか。
ソレイユ「ゼニス、やろう」
ゼニス「うん、もちろん!」
そう言った瞬間にテネブリスも動き出す。
その爪から逃れるために、両端に分散して躱す。
ゼニス「五連刃!!」
攻撃するが、すぐに反撃が来る事も考えて、すぐに後ろに飛びのく。
ソレイユ「光臨舞!!」
相手は闇属性。光は効くようだ。
テネブリス「ほう…なかなかやるな…!」
ダークブレス! やたら範囲が広く、どれだけ躱しても腕を掠った。
ゼニス「っ! 属性変換!
絶光・魔法剣!!」
光に属性を変えて、魔法剣を放つ。
テネブリス「魔法剣か…流変剣も使いこなせているようで何よりだ。
さすがはゼファ様という事か」
ソレイユ「ゼニスは、ゼニスだよ! 光線刺し穿て…レイスピアー!」
テネブリスにはそれなりにダメージは与えているはず。
弱点ばかり突いているのだから。
でも……
テネブリス「まだだ! 闇旋翼!!」
ゼニス「なっ!」
ソレイユ「きゃっ!?」
攻撃をくらうが、とりわけ何か状態異常になった感じはない。
だけど、変化は向こうだ。
ゼニス「……傷が!?」
ソレイユ「回復した!!」
ゼルシェードの予想通りだ。相手の体力を喰らって自らを回復する。
テネブリス「さあ、私を倒すには、回復量以上のダメージが必要だ。
どうするつもりだ?」
テネブリスが攻撃の構えを取る。
いつも、他の龍が撃ってきた強い技…
テネブリス「シャドウウィンディア!!」
止まればやられる。相殺するしかない。
ゼニス「無に帰せ…流れを変えろ…無白流変斬!!」
ソレイユ「燃えろ切り裂け…光炎の精霊よ…フレアスピナーロア!」
ソレイユもそれは分かっていたようで、二人で奥義を叩きこむ。
強い衝撃音がした。技は…相殺された。
テネブリス「!!」
後は…間に合わないぐらいの威力の技を…!
ゼニス「ソレイユ!」
ソレイユ「分かってる、ゼニス!」
二人の考えは同じ。
ゼニス「時双波!」
ソレイユ「空天翔!!」
ゼニス・ソレイユ「時に迷え! 天翔刃・時空!!」
二人の連携技がテネブリスに炸裂。
これで終わってくれないと困るな…何と思っていた。
でも、それは杞憂で…
テネブリス「くっ…見事だ…弱者ではないようだな…」
ソレイユ「か、勝った……」
ゼニス「さ、さすがに…強いな…」
……にしても、真面目な龍だな…致命傷は、与えていない。
与えられていない。どちらかというと、試練に打ち勝った、感じで止まっている。
ゼルシェード「テネブリス。魔物との和解を手伝え。
メリディエムだけでは荷が重い」
メリディエムの名を聞いて、はっと顔を上げる。
テネブリス「……私を救う気か?」
ゼルシェード「お前からはそこまで酷い殺意は感じない。
……全ての決着がついたあとの、お前達の味方に付いた魔物達の説得を頼みたい」
しばらく黙っていたテネブリスが口を開く。
テネブリス「魔物達のあれを止められず、今後も戦いが続き傷付くのは見たくないな…
わかった。だが、それはお前達がフェズ様に勝ったらだ。
それを条件で、俺はそちらに行こう」
……何だ、そんな事か。
ゼニス「勝つよ。だから、ここで待っていてくれ」
ソレイユ「フェズも助けて来るからさ!」
…………
テネブリス「フェズ様は、ここの奥の部屋の魔法陣に乗った先におられる。
外に出るぞ。かつて…フェズ様とゼファ様が初めて出会った場所だ。」
??? まあ、いいか。外なら広いし戦いやすい。
ゼニス「仲間たちが来たら、みんなにも教えてあげて。
あ、戦おうとしないでくれないかな」
テネブリス「お前達の仲間なら強者だ。それが分かるなら戦わん。」
それを聞いて、ゼニスとソレイユは奥の部屋へ入っていく。
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