月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

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二魂の心は相違して

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 68話

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これがサラテリの零術。

確か武器に触れるとこちらの運はやたら下がるとか…

サラテリの方は常に運が上がっている状態、だったな。

サラテリ「一撃必殺は、今のあたし相手に狙わない方がいいよ?

どうせ、急所には当たらないから」

ソレイユ「必ずじゃない。万に一回は当たるかもよ?」

………

サラテリ「強いね。本当に…。」

ふとエルブの方を見る。

サラテリ「エルブはそっちなんだね、もう絶対に」

エルブ「…はい。僕は、陛下のいないクレセディアなんていりませんから」

サラテリ「…あたしもだよ…」

そして次にゼニスに向いた。

サラテリ「ゼニス君! あたしはゼニス君が好き!

だから、陛下とゼニス君が別人になったら…なんていまだに思ってるの。

あたしが勝ったら必死にその方法探してあげる! だから、あたしが勝ったら付き合って!」

ぶっ!?

ソレイユ「ちょっとサラテリ!」

ふふっ、とソレイユに笑いかける。

ゼニス「……まったく……緊張感が無いよ…

……僕は二人友達だ。だから、こう言う。二人とも、頑張ってくれればいい。

僕は、信じている」

その信じてる、をどちらに言ったのかは分からない。

サラテリは、ソレイユに言ったものだと解釈しているが。

ソレイユだけサラテリの前へ行く。

サラテリ「…あたしは殺す気で攻撃する! だからソレイユも!」

ソレイユ「…いいよ! 行くよ、サラテリ!!」


サラテリ「はあっ!」

ソレイユ「やあっ!」

レイピアとスピナーのぶつかり合う音が響く。

互いに軽めの武器なのだが、リーチが長い分

サラテリの方が有利かもしれない。

サラテリ「光閃華!!」

ソレイユ「くっ! 回火裂舞!」

ダメージを受けながらも反撃してその勢いで一度距離を取る。

ソレイユ「燃え盛れ…イフリティア!!」

サラテリ「! シャイニングスコール!!」

光と炎の魔法の衝突故か、熱がすごい…。

二人は慣れているんだろうけど…。

サラテリ「はあっ…はあ…そう言えばさ! ベレイザ倒したんだって?」

ソレイユ「そ、そうだよ! どこでそれ…」

サラテリ「エピナールが教えてくれた。ありがとね。

あいつが、みんなが狂った原因だったから、助かったよ」

戦っている相手にそう言われると、どうにもやりにくい…。

それで、良いじゃないか。もうそれで、真の仇はいないじゃないか。

サラテリ「煌羽天翼!!」

ソレイユ「なっ!」

間一髪しゃがんで躱す。

ソレイユ(やりにくい…!)

「今日ほど、剣の方を使いたいと思った事ないよ!」

サラテリ「おりょ? ソレイユって剣使えるの? 友達なら教えてあげるのに!」

そう言いながら斬りかかってくる。

ソレイユ「そうね! この戦いが決着したら、教えてもらおうかな!?」

ソレイユが勝ったらね。と言ってまだ剣の打ち合いを続ける。

ソレイユ「爆ぜろ…バーンブレイズ!!」

サラテリ「ジャッジフォトン!」

また、強い閃光が走った。

もう三度目にもなるとなれた感覚だ。


ゼファ『ね、ねえ君! 一人で奥に行く気かい!?』

サラテリ『へ、え、は? 何でここに人が!! 危ないから帰りなさいよ!』

???『そうはいかんの。我らはここの魔物を倒しに来たのじゃ』

ゼファ『魔物が暴れているらしいから。村を守りにね』

サラテリ「あたしは一人で平気! これでも騎士の家系! 問題ない!』

グラファイト『それでも、一人よりはマシだと思うけど?』

サラテリ『いいよ! 来なくって!』

………

サラテリ『どうして…来てくれたの…!?』

ゼファ『あれぐらいでへこたれると思ったかい? さ、君は下がって』

???『後は任せるのじゃ』

グラファイト『怪我してるじゃん…無理しないでよ』

サラテリ『…まだ、戦える。…あたしはサラテリ。速攻で倒すからね!』

ゼファ『ははっ、わかったよ!』


サラテリ「……陛下…っ、みんな…っ!」

ソレイユ「サラテリ…! 決着つけるよ!」

ソレイユが武器を構え直すのを確認して、サラテリもレイピアを構える。

ビオレ「大丈夫…なの?」

サルファー「…ええ、言ったでしょう。あの子達は死ぬ気がない。互いに」

エルブ「…ただ、勝ち目があるのは揺るがない信念の方。」

パリス「……サラテリさんは…」

ゼニス「………」

皆が見守る中で、両者限界の中でサラテリが動く。

サラテリ「零勝光明突!!」

ソレイユ「……っ

私の戦う理由…村の敵討ちなんかじゃない。愛する人と友達のために…!」

スピナーが光る。こうなればもう…ソレイユも…!

ソレイユ「アモーラプラウディット!!」

やはり、万等属性だ。

サラテリの技は、かなり押されている。

ソレイユ「っ…やあああああああ!!」

サラテリ「……っ…揺るがない信念と、迷いがある信念…勝つのは一目瞭然、だね…」

それを最後にサラテリの奥義は破られた。


サラテリ「……負けちゃった……」

その場に崩れたサラテリに、すぐにソレイユが駆け寄る。

ゼニスもそれに続いた。

サラテリ「……二人とも……」

ゼニス「大丈夫? お疲れ様、二人とも」

誰一人殺さないと言っているから、死ぬ恐怖は無いと思うが、

それにしたって傷は限界だろう。

サラテリ「…強くなったね…あの時は私に勝てなかったのに…」

あの時…多分ステラの谷で初めて会った時だ。

ソレイユ「どれだけ経ったと思ってるの」

ゼルシェード「サラテリ。自害とかは考えるなよ。」

サラテリ「考えないよ…でも、どうするの? このままだとあたし、多分消え…」

そういうのと同時にサラテリの身体が透過する。

ゼルシェード「! ゼニス!」

ゼニス「うん、彼の時の歪曲アクセプト・エグゼスト!」

よし、透過が止まった。

サラテリ「今のは……?」

ゼルシェード「俺の神の力をゼニスに貸している。

これでお前はもうこの時代の者だ。消える事はない」

仲間はみんな気を遣ってか、口をはさんでは来ない。

……

サラテリ「あり、がとう……」

ゼニス「ほら、サラテリ、三人で握手」

ゼニスとソレイユが差し出した手には

サラテリがシュネーとして動いた時に渡した腕輪。

サラテリ「…まだ、持っててくれてたの…?」

ソレイユ「大事にするって約束」

その手をサラテリが取る。

サラテリ「……二人の手、あったかいね…

陛下も、みんなも、こんな暖かさがあったんだよ……ありがと…」

ぐったりと気を失った。


サルファー「…終わりましたね」

パリス「じゃあ、ギルドへ送りましょう」

ビオレ「後は下にいるメリディエムね。マスターには連絡入れておくわ」

ビオレが連絡を入れ始めた。

ゼルシェード「ここが終われば後はフェズだ。」

ゼニス「…フェズか…気を付けないとね。

取りあえず、降りようか。メリディエムをギルドに送って、

ブライトさんと合流しないと」

ビオレが連絡をし終えたところで、階段を下り始めた。
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