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二魂の心は相違して
月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 67話
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メリディエムとの戦いを終えて、さらに上へ駆けあがる。
道中にもまだ魔物はいたが、さっさと片付けて上へ。
ソレイユ「ゼニス! サラテリの事は私にお願い!」
ゼニス「……いいの、ソレイユ」
走りながらもそれに頷く。
ソレイユ「もちろん、零術を使われてからでいい。
あの事は決着つけないといけない。私が。
……色々、その他もろもろも…」
その他もろもろって何だ???
パリス(恋愛事情ですかね…)
ビオレ(恋のライバルだもんね…)
……サラテリは四零士の中でも上位…
でも…
サルファー「ゼニス、こういう時の女性って、死なないものなんですよ、結構」
ゼニス「え…」
エルブ「…そうですね。譲れないものがある女性って、死なないんですよ」
二人はそういう経験あるのか? サルファーはジューンの事だろうが。
ジューンが生を譲れなかったから、生き延びてくれた。
じゃあ、エルブは? 昔の事だろうか…。
ゼニス「…分かった。任せるよ、ソレイユ」
ソレイユ「ん、ありがとう!」
そうしている間に、最後の階段の前につく。
ゼニス「………よし」
階段を上った先。屋上の柵の上にサラテリは立っていた。
ゼニス「ちょっ、サラテリ危ないからせめて降りてよ!?」
サラテリ「あーあー、来ちゃったかー。ごめん、心配?」
ヒョンっとこちらに降りてくる。
サラテリ「ゼニス君達なら、あたし達に勝てると思ってたよ。
…メリディエムは?」
パリス「生きてます。あの子には、魔物との和解の役目を頼みました」
サラテリ「そっか…良かった。
あの子、臆病だから生かしてくれて感謝してるよ」
サラテリも心配していたみたいだ。
ゼルシェード「サラテリ。俺達は誰一人殺す気は無い。
だが、お前も捕虜になれと言ったところですぐには聞かないだろう」
サラテリ「ゼルシェード様……生きていたんだね…以前の力は無いけど…。
…うん、あたしは戦わずして降伏する気は無いよ。」
そういうサラテリは、あまり元気がない。
メリディエムが言ったとおりだ。
サラテリ「あーあ、どうしてこうなっちゃったんだろう。
陛下は大罪の力を駆使してクレセディアを復活させようとしてる。
国民も全員生き返らせて。
でも…大罪は人の身には過ぎたる力。
クレセディアを復活させた後、陛下は大罪に耐えきれずに死ぬ」
!?
ソレイユ「それって、ゼニスも死ぬじゃない!?」
ゼルシェード「あの馬鹿…自分の命を軽視するなと言ったのに…」
サラテリ「…あたしは、陛下とみんなと笑っていられればそれで良かった。
でも陛下はいなくなる。…この道を選んだ時点で、陛下を止められなかった時点で、
こうなる事は決まっていた、のかな…。
みんなは英雄二人を止めたのに…」
それは、彼らの気持ちを知ったからこそ止めたんだ。
でもサラテリはきっと、陛下の想いを知ったからこそ、止められなかった。
その結果が、これ。
ゼニス「……」
サラテリ「ごめんね、ゼニス君。
死にたくないよね、そうだよね…」
ゼニス「僕が気にしてるのはそれじゃない。できることなら、君とは戦いたくないんだ。
友達、なんだから…でも、退かないんだろう?」
少し沈黙ができた後…サラテリが静かにうなずいた。
サラテリ「あたしは陛下の騎士、サラテリ。
あたしの剣は陛下の望みのために…! たとえ陛下が死ぬ事を選んでいるとしても!!」
ゼルシェード「本当に…どうしてこうなったんだろうか…」
ビオレ「話は後! 来るわよ!」
ゼニス「歪みの阻止!」
カーン…まず先に能力を封じる。
これを使われたら勝ち目がない。
サラテリ「やっぱり使うよね。うん、想定内! ブリリアレイ!」
光魔法。サラテリはどっちかというと魔法の方が威力が高かったはず。
ゼルシェード「ゼニス、闇属性を付与するのは自分だけにしろ!
闇と光は互いが弱点だ。闇属性を付与したら光に弱くなる。」
ゼニス「全員にかけたら危険だって事か…! 属性変換!」
魔法を避けて即能力を使う。
ゼニス「裂闇・魔法剣!」
ビオレ「魂を喰らえ…ソウルイーター!!」
同時に闇属性で攻撃を仕掛ける。
サラテリ「っ! まだ! 煌蝶凛!!」
レイピアをこちらに突き出してくる。
眼前にいたゼニスの頬にかすり傷がついた。
パリス「ゼニス!」
ゼニス「平気、これぐらいは! 無明剣!!」
サラテリとゼニスの剣がぶつかる。
ソレイユ「炎閃脚!!」
それに割って入るようにソレイユが攻撃を仕掛ける。
サラテリ「くっ…っ! シャインティア!」
その攻撃を弾いて距離を取り魔法を撃ってきた。
ソレイユ「わっ!? やるじゃないサラテリ!」
サラテリ「これでも陛下の護衛騎士だったんだよ! そっちもやるじゃん!」
傍から見たら手合わせに見えるのかもしれない。けど、そんな緩いものじゃない。
サルファー「風に舞え…シルフィード!」
パリス「飲み込め…タイダルウェーブ!!」
エルブ「氷の刃…アイシクル!」
遠くに距離を置いていた三人も魔法で応戦。
でもそれだってサラテリの想定内。遠方が何もしないとは思っていない。
サラテリ「はっ! シルバーソーン!!」
魔法に当たるのと引き換えに三人に魔法。
パリス「っ!!」
サルファー「自らのダメージは、考えて、いない…!?」
エルブ「サラテリさん…!」
サラテリ「はあっ……ごめん、もう使える……勝利の光!」
しまった、効果が切れたのに反応できなかった。
喰らって全員その場に膝をつく。けど、死んでない。
ゼニスだけならともかく、全員死んでない。
ソレイユ「……殺さないの…? 私達は、計画に賛同する気は、無いよ?」
サラテリ「……それは……
い、いいじゃない! ここまできたら降伏するでしょ、さすがに!」
でも、立ち上がる。ソレイユとゼニスだけはまだ動ける。
ビオレ「ふ、二人とも…」
エルブ「ソレイユさん…師匠…」
サラテリ「……あの時も、そうだったね。ソレイユは立ち上がって来て、私を退かせた…」
イテールナ城で戦った時だ。
ソレイユ「まけられないから…! 火炎輪!!!」
ゼニス「裂創真楼!!」
ソレイユに合わせてゼニス攻撃を仕掛ける。
サラテリ「…っ!!」
サラテリ『ちょっと何でここまで来たの!? 早く帰って!』
『これで四零士になるんだね!』
『あーやだやだ、デリカシーないんだから!』
………
ゼニス「サラテリ……もう…!」
サラテリ「あ、あはは…さすがに応えた、かな…
……まだ…まだだよ、まだ私は負けてない…!」
レイピアを構え直し、天に掲げる。
サラテリ「オーバースキル! 零術・フォリブス・オラクリ!」
サラテリの零術!
ゼルシェード「サラテリ…お前は…迷って…」
光が収まった時には、彼女も同様の騎士正装。
サラテリ「…さあ、続きしよう!」
ソレイユ「ねえ、友達になりたいって、そう言ってたよね!? だったら…」
サラテリ「うん、信頼し合える関係に混ざりたい。
でも、そうなるにしても、ここで妥協はできない。」
迷いながらも、そう答えるのか…。
ソレイユ「ゼニス、下がって。私が後は…!」
ゼニス「…分かった…」
道中にもまだ魔物はいたが、さっさと片付けて上へ。
ソレイユ「ゼニス! サラテリの事は私にお願い!」
ゼニス「……いいの、ソレイユ」
走りながらもそれに頷く。
ソレイユ「もちろん、零術を使われてからでいい。
あの事は決着つけないといけない。私が。
……色々、その他もろもろも…」
その他もろもろって何だ???
パリス(恋愛事情ですかね…)
ビオレ(恋のライバルだもんね…)
……サラテリは四零士の中でも上位…
でも…
サルファー「ゼニス、こういう時の女性って、死なないものなんですよ、結構」
ゼニス「え…」
エルブ「…そうですね。譲れないものがある女性って、死なないんですよ」
二人はそういう経験あるのか? サルファーはジューンの事だろうが。
ジューンが生を譲れなかったから、生き延びてくれた。
じゃあ、エルブは? 昔の事だろうか…。
ゼニス「…分かった。任せるよ、ソレイユ」
ソレイユ「ん、ありがとう!」
そうしている間に、最後の階段の前につく。
ゼニス「………よし」
階段を上った先。屋上の柵の上にサラテリは立っていた。
ゼニス「ちょっ、サラテリ危ないからせめて降りてよ!?」
サラテリ「あーあー、来ちゃったかー。ごめん、心配?」
ヒョンっとこちらに降りてくる。
サラテリ「ゼニス君達なら、あたし達に勝てると思ってたよ。
…メリディエムは?」
パリス「生きてます。あの子には、魔物との和解の役目を頼みました」
サラテリ「そっか…良かった。
あの子、臆病だから生かしてくれて感謝してるよ」
サラテリも心配していたみたいだ。
ゼルシェード「サラテリ。俺達は誰一人殺す気は無い。
だが、お前も捕虜になれと言ったところですぐには聞かないだろう」
サラテリ「ゼルシェード様……生きていたんだね…以前の力は無いけど…。
…うん、あたしは戦わずして降伏する気は無いよ。」
そういうサラテリは、あまり元気がない。
メリディエムが言ったとおりだ。
サラテリ「あーあ、どうしてこうなっちゃったんだろう。
陛下は大罪の力を駆使してクレセディアを復活させようとしてる。
国民も全員生き返らせて。
でも…大罪は人の身には過ぎたる力。
クレセディアを復活させた後、陛下は大罪に耐えきれずに死ぬ」
!?
ソレイユ「それって、ゼニスも死ぬじゃない!?」
ゼルシェード「あの馬鹿…自分の命を軽視するなと言ったのに…」
サラテリ「…あたしは、陛下とみんなと笑っていられればそれで良かった。
でも陛下はいなくなる。…この道を選んだ時点で、陛下を止められなかった時点で、
こうなる事は決まっていた、のかな…。
みんなは英雄二人を止めたのに…」
それは、彼らの気持ちを知ったからこそ止めたんだ。
でもサラテリはきっと、陛下の想いを知ったからこそ、止められなかった。
その結果が、これ。
ゼニス「……」
サラテリ「ごめんね、ゼニス君。
死にたくないよね、そうだよね…」
ゼニス「僕が気にしてるのはそれじゃない。できることなら、君とは戦いたくないんだ。
友達、なんだから…でも、退かないんだろう?」
少し沈黙ができた後…サラテリが静かにうなずいた。
サラテリ「あたしは陛下の騎士、サラテリ。
あたしの剣は陛下の望みのために…! たとえ陛下が死ぬ事を選んでいるとしても!!」
ゼルシェード「本当に…どうしてこうなったんだろうか…」
ビオレ「話は後! 来るわよ!」
ゼニス「歪みの阻止!」
カーン…まず先に能力を封じる。
これを使われたら勝ち目がない。
サラテリ「やっぱり使うよね。うん、想定内! ブリリアレイ!」
光魔法。サラテリはどっちかというと魔法の方が威力が高かったはず。
ゼルシェード「ゼニス、闇属性を付与するのは自分だけにしろ!
闇と光は互いが弱点だ。闇属性を付与したら光に弱くなる。」
ゼニス「全員にかけたら危険だって事か…! 属性変換!」
魔法を避けて即能力を使う。
ゼニス「裂闇・魔法剣!」
ビオレ「魂を喰らえ…ソウルイーター!!」
同時に闇属性で攻撃を仕掛ける。
サラテリ「っ! まだ! 煌蝶凛!!」
レイピアをこちらに突き出してくる。
眼前にいたゼニスの頬にかすり傷がついた。
パリス「ゼニス!」
ゼニス「平気、これぐらいは! 無明剣!!」
サラテリとゼニスの剣がぶつかる。
ソレイユ「炎閃脚!!」
それに割って入るようにソレイユが攻撃を仕掛ける。
サラテリ「くっ…っ! シャインティア!」
その攻撃を弾いて距離を取り魔法を撃ってきた。
ソレイユ「わっ!? やるじゃないサラテリ!」
サラテリ「これでも陛下の護衛騎士だったんだよ! そっちもやるじゃん!」
傍から見たら手合わせに見えるのかもしれない。けど、そんな緩いものじゃない。
サルファー「風に舞え…シルフィード!」
パリス「飲み込め…タイダルウェーブ!!」
エルブ「氷の刃…アイシクル!」
遠くに距離を置いていた三人も魔法で応戦。
でもそれだってサラテリの想定内。遠方が何もしないとは思っていない。
サラテリ「はっ! シルバーソーン!!」
魔法に当たるのと引き換えに三人に魔法。
パリス「っ!!」
サルファー「自らのダメージは、考えて、いない…!?」
エルブ「サラテリさん…!」
サラテリ「はあっ……ごめん、もう使える……勝利の光!」
しまった、効果が切れたのに反応できなかった。
喰らって全員その場に膝をつく。けど、死んでない。
ゼニスだけならともかく、全員死んでない。
ソレイユ「……殺さないの…? 私達は、計画に賛同する気は、無いよ?」
サラテリ「……それは……
い、いいじゃない! ここまできたら降伏するでしょ、さすがに!」
でも、立ち上がる。ソレイユとゼニスだけはまだ動ける。
ビオレ「ふ、二人とも…」
エルブ「ソレイユさん…師匠…」
サラテリ「……あの時も、そうだったね。ソレイユは立ち上がって来て、私を退かせた…」
イテールナ城で戦った時だ。
ソレイユ「まけられないから…! 火炎輪!!!」
ゼニス「裂創真楼!!」
ソレイユに合わせてゼニス攻撃を仕掛ける。
サラテリ「…っ!!」
サラテリ『ちょっと何でここまで来たの!? 早く帰って!』
『これで四零士になるんだね!』
『あーやだやだ、デリカシーないんだから!』
………
ゼニス「サラテリ……もう…!」
サラテリ「あ、あはは…さすがに応えた、かな…
……まだ…まだだよ、まだ私は負けてない…!」
レイピアを構え直し、天に掲げる。
サラテリ「オーバースキル! 零術・フォリブス・オラクリ!」
サラテリの零術!
ゼルシェード「サラテリ…お前は…迷って…」
光が収まった時には、彼女も同様の騎士正装。
サラテリ「…さあ、続きしよう!」
ソレイユ「ねえ、友達になりたいって、そう言ってたよね!? だったら…」
サラテリ「うん、信頼し合える関係に混ざりたい。
でも、そうなるにしても、ここで妥協はできない。」
迷いながらも、そう答えるのか…。
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