月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜

文字の大きさ
上 下
67 / 100
二魂の心は相違して

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 67話

しおりを挟む
メリディエムとの戦いを終えて、さらに上へ駆けあがる。

道中にもまだ魔物はいたが、さっさと片付けて上へ。

ソレイユ「ゼニス! サラテリの事は私にお願い!」

ゼニス「……いいの、ソレイユ」

走りながらもそれに頷く。

ソレイユ「もちろん、零術を使われてからでいい。

あの事は決着つけないといけない。私が。

……色々、その他もろもろも…」

その他もろもろって何だ???

パリス(恋愛事情ですかね…)

ビオレ(恋のライバルだもんね…)

……サラテリは四零士の中でも上位…

でも…

サルファー「ゼニス、こういう時の女性って、死なないものなんですよ、結構」

ゼニス「え…」

エルブ「…そうですね。譲れないものがある女性って、死なないんですよ」

二人はそういう経験あるのか? サルファーはジューンの事だろうが。

ジューンが生を譲れなかったから、生き延びてくれた。

じゃあ、エルブは? 昔の事だろうか…。

ゼニス「…分かった。任せるよ、ソレイユ」

ソレイユ「ん、ありがとう!」

そうしている間に、最後の階段の前につく。

ゼニス「………よし」


階段を上った先。屋上の柵の上にサラテリは立っていた。

ゼニス「ちょっ、サラテリ危ないからせめて降りてよ!?」

サラテリ「あーあー、来ちゃったかー。ごめん、心配?」

ヒョンっとこちらに降りてくる。

サラテリ「ゼニス君達なら、あたし達に勝てると思ってたよ。

…メリディエムは?」

パリス「生きてます。あの子には、魔物との和解の役目を頼みました」

サラテリ「そっか…良かった。

あの子、臆病だから生かしてくれて感謝してるよ」

サラテリも心配していたみたいだ。

ゼルシェード「サラテリ。俺達は誰一人殺す気は無い。

だが、お前も捕虜になれと言ったところですぐには聞かないだろう」

サラテリ「ゼルシェード様……生きていたんだね…以前の力は無いけど…。

…うん、あたしは戦わずして降伏する気は無いよ。」

そういうサラテリは、あまり元気がない。

メリディエムが言ったとおりだ。

サラテリ「あーあ、どうしてこうなっちゃったんだろう。

陛下は大罪の力を駆使してクレセディアを復活させようとしてる。

国民も全員生き返らせて。

でも…大罪は人の身には過ぎたる力。

クレセディアを復活させた後、陛下は大罪に耐えきれずに死ぬ」

!?

ソレイユ「それって、ゼニスも死ぬじゃない!?」

ゼルシェード「あの馬鹿…自分の命を軽視するなと言ったのに…」

サラテリ「…あたしは、陛下とみんなと笑っていられればそれで良かった。

でも陛下はいなくなる。…この道を選んだ時点で、陛下を止められなかった時点で、

こうなる事は決まっていた、のかな…。

みんなは英雄二人を止めたのに…」

それは、彼らの気持ちを知ったからこそ止めたんだ。

でもサラテリはきっと、陛下の想いを知ったからこそ、止められなかった。

その結果が、これ。

ゼニス「……」

サラテリ「ごめんね、ゼニス君。

死にたくないよね、そうだよね…」

ゼニス「僕が気にしてるのはそれじゃない。できることなら、君とは戦いたくないんだ。

友達、なんだから…でも、退かないんだろう?」

少し沈黙ができた後…サラテリが静かにうなずいた。

サラテリ「あたしは陛下の騎士、サラテリ。

あたしの剣は陛下の望みのために…! たとえ陛下が死ぬ事を選んでいるとしても!!」

ゼルシェード「本当に…どうしてこうなったんだろうか…」

ビオレ「話は後! 来るわよ!」


ゼニス「歪みの阻止アレスト・スキル!」

カーン…まず先に能力スキルを封じる。

これを使われたら勝ち目がない。

サラテリ「やっぱり使うよね。うん、想定内! ブリリアレイ!」

光魔法。サラテリはどっちかというと魔法の方が威力が高かったはず。

ゼルシェード「ゼニス、闇属性を付与するのは自分だけにしろ!

闇と光は互いが弱点だ。闇属性を付与したら光に弱くなる。」

ゼニス「全員にかけたら危険だって事か…! 属性変換エレメント・クロス!」

魔法を避けて即能力を使う。

ゼニス「裂闇・魔法剣!」

ビオレ「魂を喰らえ…ソウルイーター!!」

同時に闇属性で攻撃を仕掛ける。

サラテリ「っ! まだ! 煌蝶凛!!」

レイピアをこちらに突き出してくる。

眼前にいたゼニスの頬にかすり傷がついた。

パリス「ゼニス!」

ゼニス「平気、これぐらいは! 無明剣!!」

サラテリとゼニスの剣がぶつかる。

ソレイユ「炎閃脚!!」

それに割って入るようにソレイユが攻撃を仕掛ける。

サラテリ「くっ…っ! シャインティア!」

その攻撃を弾いて距離を取り魔法を撃ってきた。

ソレイユ「わっ!? やるじゃないサラテリ!」

サラテリ「これでも陛下の護衛騎士だったんだよ! そっちもやるじゃん!」

傍から見たら手合わせに見えるのかもしれない。けど、そんな緩いものじゃない。

サルファー「風に舞え…シルフィード!」

パリス「飲み込め…タイダルウェーブ!!」

エルブ「氷の刃…アイシクル!」

遠くに距離を置いていた三人も魔法で応戦。

でもそれだってサラテリの想定内。遠方が何もしないとは思っていない。

サラテリ「はっ! シルバーソーン!!」

魔法に当たるのと引き換えに三人に魔法。

パリス「っ!!」

サルファー「自らのダメージは、考えて、いない…!?」

エルブ「サラテリさん…!」

サラテリ「はあっ……ごめん、もう使える……勝利の光ルクス・ヴィクトーリア!」

しまった、効果が切れたのに反応できなかった。

喰らって全員その場に膝をつく。けど、死んでない。

ゼニスだけならともかく、全員死んでない。

ソレイユ「……殺さないの…? 私達は、計画に賛同する気は、無いよ?」

サラテリ「……それは……

い、いいじゃない! ここまできたら降伏するでしょ、さすがに!」

でも、立ち上がる。ソレイユとゼニスだけはまだ動ける。

ビオレ「ふ、二人とも…」

エルブ「ソレイユさん…師匠…」

サラテリ「……あの時も、そうだったね。ソレイユは立ち上がって来て、私を退かせた…」

イテールナ城で戦った時だ。

ソレイユ「まけられないから…! 火炎輪!!!」

ゼニス「裂創真楼!!」

ソレイユに合わせてゼニス攻撃を仕掛ける。

サラテリ「…っ!!」


サラテリ『ちょっと何でここまで来たの!? 早く帰って!』


『これで四零士になるんだね!』


『あーやだやだ、デリカシーないんだから!』


………


ゼニス「サラテリ……もう…!」

サラテリ「あ、あはは…さすがに応えた、かな…

……まだ…まだだよ、まだ私は負けてない…!」

レイピアを構え直し、天に掲げる。

サラテリ「オーバースキル! 零術・フォリブス・オラクリ!」

サラテリの零術!

ゼルシェード「サラテリ…お前は…迷って…」


光が収まった時には、彼女も同様の騎士正装。



サラテリ「…さあ、続きしよう!」

ソレイユ「ねえ、友達になりたいって、そう言ってたよね!? だったら…」

サラテリ「うん、信頼し合える関係に混ざりたい。

でも、そうなるにしても、ここで妥協はできない。」

迷いながらも、そう答えるのか…。

ソレイユ「ゼニス、下がって。私が後は…!」

ゼニス「…分かった…」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

堕天使の黙示録-アポカリプス-

瑠璃✧*̣̩⋆̩☽⋆゜
ファンタジー
記憶を取り戻すための旅。 記憶は、あった方がいいのか、それとも戻らない方がいいのか…。 見たくない過去なら? 辛い運命なら? 記憶の無い者達が導かれ、めぐり逢い、旅をしていく物語。 真実を見た先に、彼らの出す答えは…。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

処理中です...