月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ

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二魂の心は相違して

月が響鳴-カナデ-るカプリッチオ 63話

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ゼニスとエルブがエピナールと交戦していた頃…

ソレイユたちは先へ進み、グラファイトと対峙していた。

ソレイユ「グラファイト!!」

グラファイト「あれ、ゼニスとエルブどうしたの?」

サルファー「エピナールと交戦中ですよ。」

はあ…とため息を一つつく。

グラファイト「君達じゃ僕の能力スキルは防げないって知ってるだろ。

ゼニス達の事は何? 見殺し? 勝てるわけない、とか思わない?」

パリス「エピナールはオーブは使えません。

それなら、ゼニスさんとエルブさんは勝ってくれます…!」

ビオレ「二人をなめないで」

しばらく黙り込んでから

グラファイト「アークアムが敗れてる。プリムローズとトニートゥラにも勝った…

そうだね。能力スキルを奪われたとはいえ、エルブはこっち側だったし、

ゼニスは陛下の力も入ってる。」

……色々不満だが。

ゼニスはゼニスだ。ゼニスの実力だ。


グラファイト「まあ、良いや…ゼニス達が来る前に終わらせてあげる、よ!

苦しむ獣パーティ・ベスティア!」

全員一斉に状態異常にかかる。

サルファー「っ! 今は、貴方の状態異常なんて解除できる人がいます!」

パリス「邪を払え…リキュペレイト!」

ソレイユ「光よ癒せ…エーテルキュア!」

パリスが状態異常を。ソレイユがそれによって受けた傷を回復する。

ビオレ「この二人がいる限り、あんたの力は封じれる!」

それを聞いた途端、少しグラファイトの口角が吊り上がった気がした。

グラファイト「ああ、そう…ありがとう…」

ん? 今、何か言ったか?

サルファー「グラファイト! ここでけりをつける! 海羅流弓!」

グラファイト「はあっ!」

鎌でそれを切り落としてサルファーに向かって踏み込む。

グラファイト「鎌獄葬水!」

サルファーも後ろに飛びのいてそれを回避。

ビオレ「闇毒牙…!!」

毒纏った技を放って、グラファイトに傷を付ける。

が、どうにも毒にはかかってないようだ。

グラファイト「僕は状態異常には耐性があるからね…無駄だよ」

パリス「彼の者に枷を…セイントクロス!」

魔法を鎌で防ぐ。

グラファイト「距離……二年前に倒された魔族の中に、

触れずに斬れる鎌使いがいたらしいよ…羨ましいなぁ…」

ソレイユ「よく言うよ! グラファイトだって、詠唱無しで魔法使えるじゃん!」

その時点で遠距離も補えるんだから、良いだろう。

サルファー「もちろん、させませんが! シールアロー!!」

グラファイト「ちっ!」

状態異常に耐性があるといっても病系のだけ。

封印系は対象外だ。

ソレイユ「たああっ! 光臨舞!!」

ソレイユが飛び上がってグラファイトの鎌にぶつける。

そのまま連撃をかますが、全部鎌で受け止められている。

グラファイト「っ! うざった…!! ……なんてさ」

イラついた表情が、変わった。

ビオレ「ソレイユ! 下がって!」

グラファイト「苦しむ獣パーティ・ベスティア!」

ソレイユが反応して下がる前に、その腕を掴まれ能力スキルを使われる。

ソレイユ「ま、麻痺…!!」

パリス「ソレイユさん!! 邪を払え…リキュ…」

詠唱を終えるより先にグラファイトがソレイユを通り抜けてパリスの腕をつかむ。

グラファイト「無駄。苦しむ獣パーティ・ベスティア!」

パリスまで麻痺に陥る。

サルファー「え…自らかける状態異常を選んだのですか!?」

グラファイト「僕の能力スキルは直接対象に触れて使う事で、

かからせる状態異常を選べるんだ。この二人が回復の要なんだよね。

良い事聞いたよ、ありがとう」

さっきの……言葉で判断して…

サルファー「グラファイト!!」

グラファイト「で、どうする? あとみんな始末すれば、指輪ぐらい簡単なんだけどさ」

ビオレ「させると思う!?」

今、グラファイトの能力スキルは喰らいたくない…。


そこへ……

足音が響いてくる。洞窟内だ。良く響く。

ビオレ「!!」

サルファー「……ああ、きっと…」

走ってくる人など、エピナールじゃないのは確かだ。

だとすれば……

グラファイト「……退けたわけ…?」

ゼニス「はああ! 歪みの阻止アレスト・スキル!」

カーンとグラファイトの武器の辺りで音が鳴る。

能力スキル停止成功だ。

それと同時にパリスとソレイユの麻痺も解ける。

グラファイト「……ちっ」

エルブ「無事ですか!?」

ソレイユ「二人とも!!」

パリス「良かった…」

すぐにゼニスとサルファーがグラファイトに視線を向ける。

ゼルシェード「久しぶりだな。グラファイト」

グラファイト「は? ゼルシェード……様? 何でそっちに…って、

そうだよね。多分陛下のやり方は納得しないと思ってた」

ゼルシェード「ああ。俺はこの世界を守らねばならん。

元々俺が管理していた世界だ。…お前達の勝手で奪わせるわけにはいかん」

何か言いたそうにしてるが、言葉にならないのか黙ったまま。

その隙を逃しはしない。

サルファー「水月矢!!」

ゼニス「裂創真楼!!」

間髪などいれない。畳みかける。即反応できなかったグラファイトはそれをまともに喰らう。

グラファイト「うっ!? ゼファ…陛下の技…!」


グラファイト『ゼファ様…ここの問題以前もやりましたよね?』


『この二人の事、連れて帰らない?』


『分かったよ、僕に任せて』


………


グラファイト「陛下の…ためなら…神なんて知るか…!

……この世界に生きる奴らの未来なんて知るか…!!」

グラファイトが鎌を天に掲げる。プリムローズと同じだ。

ゼルシェード「零術、来るぞ!」

グラファイト「オーバースキル! 零術・ドミニス・インフィルム!」

黒い光が辺りを包み、水魔法の音が鳴る。


次の瞬間には、グラファイトは黒い騎士正装のような姿に。



どうやらみんな似たような衣装みたいだ。

顔を上げてこちらを睨みつける。

サルファー「グラファイト……」
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